フランス高級食器 セーブル磁器の歴史

この記事では、フランスの高級食器ブランドである『セーブル磁器』について解説していきます。

この記事を読み終わる頃には、なんでセーブルの作品は高額であり私たちが手にすることができなのかが理解できると思います👍

 

動画で歴史を知りたい方はこちらから↓

 

セーブル磁器の歴史

その頃のフランスの時代背景は、1709年に初めてヨーロッパで硬質磁器を生み出したマイセンに遅れを取らぬよう、国をあげて磁器生産に力を入れていました。

しかし、実際のところはまだまだ技術がなく、必死に寄せていってた結果ファイアンス焼きが主流となっていました。

そんな中、フランスで唯一『軟質磁器』を作ることができるシャンティイー窯のデュ・ボア兄弟がいました。

硬質磁器の主原料がカオリンであるのに対して、軟質磁器の原料はカオリン以外になります。

その後、ウェッジウッドやエインズレイが軟質磁器でも高品質な、ボーンチャイナを生み出しますが、その頃フランスが使っていた原料は硝石でした。

磁器が完成したとはいえ、硬質磁器のように硬さや薄さはなくまだまだ低品質の状態だったのです。

それでも、ファイアンス焼きより、かなり発達した技術であったことから、デュボワ兄弟は当時の国王ルイ15世に招かれる形で、パリのヴァンセンヌで陶磁器を作る実験をするところから始まります。

 

ボア兄弟からクラヴァンへ

セーブルのグリーンのカップ&ソーサー

1738年からヴァンセンヌ窯に招かれた、ボア兄弟でしたが4年後の1742年になっても技術は全く進んでおらず見切りをつけたルイ15世によって首になります。

その次を引き継いだのが、科学者のフランソワ・グラヴァンです。

このグラヴァンの活躍によって、低品質だった軟質磁器が高品質の軟質磁器に変わります。

 

高品質な軟質磁器が完成したことにより、ルイ15世の奥さんであったポンパドール婦人の出資を受ける形で、ヴァンセンヌ窯からセーブル窯へ移動します。

1751年に、国王ルイ15世自身が工場の25%を取得し、工場の名前をフランス王立製陶所に変更し、ダブルLを工場のマークとして使用することを認めました。

そして、更なる品質向上のために彫刻家ファルコネ、化学アカデミー総裁エロー、画家ブーシエが招かれ、4人を筆頭に躍進を続けていくことになるのです。

 

 これが1756年の出来事です。

 

硬質磁器の誕生

セーブルのブルーのボウル

1769年に同じフランス国内の街である、リモージュからカオリンが発見されます。

そのことにより、セーブルでも1772年から念願の硬質磁器の生産ができるようになったのですが、軟質磁器の生産は辞めずに、同時並行して製造していくことになります。

これは、セレスト・ブルーが大きく影響しています。

元々青色を出すのが、得意だったセーブル窯ですが軟質磁器を突き詰めていった軟質磁器でしか表現することができないセレストブルーという青が完成していたのです。

これは、硬質磁器には応用できませんでした。

また、その頃ロシアのエカチェリーナ2世からセーブル窯にセレストブルーを使ったディナーセットの注文が注文が来ていた為、軟質磁器を作らないといけなかったんですね。

 

そのエカチェリーナ2世に向けた作られた食器が、『カメオ・セルヴィス』というセットでセレストブルーの下地に、カメオでギリシャ模様が施されています。

 

これは当時世界がポンペイ遺跡に注目しており、そのポンペイ遺跡の中でギリシャやローマ様式が描かれていたからです。

 

エカチェリーナ2世に向けて作られた カメオ・セルヴィス

※出典 http://coffee.ajca.or.jp/webmagazine/wonderland/art/83art

 

ちなみに、正式にはエカチェリーナ2世がセーブル窯に注文はしたものの、受け取ったのは、ポチョムキンというエカチェリーナの愛人です。

 

その後、フランス革命によってセーブル窯は、民衆から贅沢品だということで壊れてしまいます。

窯にいた技術者たちは、リモージュへと逃れそこで軟質磁器と硬質磁器を同時平行で製造していましたが、1804年に新たな国王としてナポレオンが誕生したときに軟質磁器の歴史が終わります。

その後、セーヴル磁器はナポレオンを含む代々のフランス支配者の加護によって、繁栄を続けてきました。

セーブルの飾り壷

 

ナポレオンはクラシックでありながら精巧な装飾が施され、権力を示す帝国スタイルの大きな作品を好みました。

 

セーヴルは19世紀を通して、変わりゆく王室の好みや影響を反映した製品を作り続けました。

 

また、新しい料理、食べ物や飲み物の好みの移り変わりに合わせて、セーヴルの磁器作りに使う器具も変わっていきました。

 

セーヴルでは、フラゴナードのような著名なアーティストによって最高級な製品を作りだしさらにトップの装飾師が集まってきました。

 

セーヴル磁器は、今も常に最上級の磁器を生産し続けています。

 

長い年月を経て、セーヴル磁器はフランスの磁器が世界を代表する最高級品であることを立証しています。

 

英国のWallace Collectionにはセーヴル磁器の代表的なコレクションがあります。

 

また、バッキンガム宮殿のロイヤルコレクション、ウィンザー城、ワデソンマナーのロスチャイルドコレクションにも素晴らしいコレクションがあります。