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  • スポードの歴史を辿るための道しるべ― バックスタンプ
スポード社は英国4大メーカーの一つとして長年の歴史に裏付けられた技術力と品質を誇っている陶器メーカーです。
 
1770年に陶芸家のジョサイヤ・スポードはイギリスの焼き物の里として知られているストーク・オン・トレント(Stoke-on-Trent)という地方でスポード社を創業しました。

1784年に銅版写技術による絵付け技法を開発し、スポード社の代名詞的なシリーズ、「ブルー・
イタリアン」が生まれました。その後18世紀末にはボーンチャイナ(骨灰磁器)を完成させ、その白くなめらかで美しい陶器は世界中の人々に愛されました。
 

スポード:ブルーイタリアン カップとソーサー


スポード社の道しるべ― バックスタンプ

陶器の歴史を辿るうえで大事な道しるべとなるのが底や裏側に付いているバックスタンプと呼ばれている印です。
 
そこでここではスポード社の名品の歴史をバックスタンプと共に辿ってみようと思います。


スポード社のアーカイブや関連書籍からバックスタンプの種類を調べることができます。しかし1800年代初期のものにはバックスタンプがなく、作られた年代を判別するには長年の鑑定経験による勘が頼りです。

スポードの陶器の年代を判別するには少しだけコツが必要になります。そこでここでは見分け方のコツをいくつかご紹介したいと思います。

スポートでは250年にわたる歴史の中で何百種類ものバックスタンプを作成しました。しっかりと記録に残っているものはその一部に過ぎません。のちにスポード社のオーナーとなるロバート・コープランドはバックスタンプの研究を行い、信頼性のある資料を残しました。

"SPODE&COPELAND MARKS" by Robert Copeland

本:スポード&コープランドマーク (表紙)
この本の中でロバートは300種類という膨大な種類のバックスタンプについて解説しています。ロバートがこの本を執筆した後も新たなバックスタンプが発見されています。



≪1833年:スポード社のはじまり≫
スポード社は1833年に創業しました。創業当時の作品のすべてにバックスタンプが付けられていたわけではなく、作品によってはパターン化された数字のみのものや社名すらないものも少なくありません。当時のバックスタンプは職人が1つひとつ、赤インクで手作業で付けていました。赤インクのものが多いですが、青や黒のインクのものもあります。稀ですが、3色使いのバックスタンプも存在しています。
 
初期作品のバックスタンプの例: 
バックスタンプ:スポード967
「SPODE」の文字の下に「967」と書かれたバックスタンプ。
SPODEの文字の右上の赤の印は職人の印だと考えられています。



≪1833年‐1847年≫
この期間、スポード社の社名はコープランド&ギャレットでした。この時期の陶器は英語で“late Spode”(スポード社後期)と分類されています。この頃、スポード社のブランド名は広く知れ渡っていたのでこのように名前が残ったのだと考えられています。
 
コープランド&ギャレットに社名が変わった時のバックスタンプの例:
バックスタンプ:Copeland&Garrett New Japan Stone
こちらは珍しいバックスタンプです。
コープランド&ギャレットだけでなく陶器の素材もプリントされてます。



≪1847年‐1970年≫
コープランド一家が会社を経営した時期は”Copeland”とバックスタンプに書いています。こちらはW.T.コープランドが使用したものです。

Copelandの文字と番号のみ書いてあるバックアップの例:
バックスタンプ:Copeland 2 1524
こちらのバックスタンプは青と赤の二色使いとなっています。
 

≪1970年≫
創業記念イヤーだった1970年にバックスタンプを一新しました。新たなロゴをデザインしたのはジョン・サザーランド・ホースという人物でした。このロゴは2009年まで使用されました。

ホースがデザインしたスポードのバックスタンプの例:
バックスタンプ:ホースデザイン


 

作品に日付を刻む― デートマーク

陶器の裏側に刻まれている数字はデートマーク(Date Mark)と呼ばれているものです。この日付は歴史を辿るうえでとても重要なヒントになります。

スポードの作品では1800年代から1963年にかけて作られた作品に刻まれています。この刻印はお皿など平たい陶器に施されました。例えばカップとソーサーのセットのようなものでも、デートマークはソーサーのみにありました。

デートマークの流れは大きく2つに分けることができます。

年代物の作品になるとデート―マークを正確に読み取るのは難しいです。しかも1770年から1870年にかけてデートマークは使われていた痕跡があありません。

 
1870年から1963年にかけて使われたデートマークは数字とアルファベットを組み合わせたものが使われました。

記号化されたデートマークの例:
デートマーク:T23 
このデートマークの場合、数字「23」の上にアルファベット「T」の刻印で1923年8月を示している。
数字は日付を示しています。
月を示すアルファベットの頭文字は以下の通りです。

1月…J
2月…F
3月…M
4月…A
5月…Y
6月…U
7月…L
8月…T
9月…S
10月…O
11月…N
12月…D


1963年から1976年にかけてのデートマークは複雑になります。

複数の文字の組みあわせで商品情報を表しているのです。つまりこのデートマークを正確に読み解けばその陶器はボーンチャイナなのか、ファインストーンなのか一目でわかるのです。この暗号解読のガイドとなるのがロバート・コープランドがマークについて記録した上記の本なのです。
1976年になるとボーンチャイナのマークが統一させました。

AからN: 1976年から1989年
PからW: 1990年から1997年
YからZ: 1998年から1999年
※なおOとXは使用されませんでした。

 
2000年になると新たな表記が現れます。2000年に作られた作品にはA0(アルファベットのAと数字の0), 2001年はA1(アルファベットのAと数字の1)となっています。この表記システムはスポード社が幕を下ろす2009年まで使われ続けました。

デートマークの例:
デートマーク: Copeland&Garrett Late Spode
この画像のバックスタンプにはポートランドベースと呼ばれた模様がグリーンのインクで描かれています。このような描かれたマーク以外にもスタンプのように粘土が乾く前にスタンプのように押印するスタイルのマークもあります。


バックススタンプを見ると正確にその作品が作られた時期を当てることができるのです。


デートマーク:Copeland&Garrett 7487 
こちらはコープランド&ギャレット時代のデートマークです。

この青緑のマークは1838年から1847年にかけて使われました。マークの下に書かれている7487はパターンナンバーと呼ばれている番号です。このパターンナンバーが初めて書物に記録されたのは1846年頃だと言われています。これ以外にアルファベットの「O」のような押印マークもあるのですが、こちらについてその由来などは今なお不明です。

ここまでデートナンバーについて話してきましたが時間軸で考えた時のその正確性には疑問もあると言われています。

 
 

変わったバックスタンプたち

バックスタンプは作品によっては解読するのに時間がかかりました。

例えば下の写真のようにもともとの色のついた天然素材(アゲートなどの天然石)を使った場合、模様の上にマークを描くので、うっすらとコープランド&ギャレットのマークが見えます。

デートマーク:模様の上に押されたデートマーク

20世紀に入るまですべてのマークは職人の手が要で行われていました。すべて手作業で行っているので、マークによっては完全体でないものがちらほらあります。このようなマークのついた作品はマニアックなファンの間では人気となっています。



≪季節限定!一年で一番特別な時間を演出するスタンプ≫
 
20世紀に作られたスポードの作品の中で人気だったのがクリスマスツリーを描いたものです。1938年に発表されたこの作品はアメリカの顧客をターゲットにしたものです。愛らしいツリーのシリーズは大人気商品となりました。

スポード:クリスマスツリー プレート


バックスタンプ:クリスマスツリー 1986
画像は1986年のクリスマス・ツリーのバックスタンプです。


また、アンティークスポードのコレクターたちは作品の信頼性をバックスタンプで判断しています。前述したように、バックスタンプは作品の歴史を辿る上で重要な道しるべなのです。

ちなみに創業間もない18世紀の作品の多くにはこのような仕組みはありませんでした。1700年代から1800年代の作品についてはマーク無しのものとなります。マークを押さなかった理由はいくつか考えられます。創業当初は知名度も低く、ブランド力もなかったため、マークを作る意義がさほどありませんでした。またこの工程が増えることでコストがかかってしまうため、カットしたという説もあります。

 
その後200年間以上、愛好家が増えるにつれて作品を誰が作ったのか、気になるようになりました。1800年初頭には多くの陶器メーカーは似たような食器を作るようになりました。
このように明確な表記のない陶磁器の年代を特定するにはお皿やソーサーなど平らなもので判断するのではなく、ポットのように空間のあるものを使って判断する方が良いそうです。


このように歴史を辿る道しるべであるバックスタンプたちはその作品の歴史を私たちに伝えてくれているのかもしれませんね。