揺れる花の耳飾り ― ナンシーが生んだ小さな宝石
1900年代初頭、フランス・ロレーヌ地方の古都ナンシーは、自然を芸術の源とする「アール・ヌーヴォー」の中心地として、ヨーロッパ中から注目を集めていました。
エミール・ガレと並び称されるドーム兄弟(ドーム・ナンシー)が、1905年頃に手がけたのが本作「フューシャ(Fuchsia/フクシア)」文の花瓶です。
高さ12cmの愛らしい器には、しなやかな枝先から垂れ下がるフクシアの花が、今にも風に揺れ出しそうな姿で描かれています。
技法:白と青紫が織りなす、ガラスの奥の色彩
本作は、透明なガラスを二層に重ね、その間に白と青紫の色ガラス粉末を溶かし込むという、ドームが得意とした手法でつくられています。
色がガラスの「内側」に閉じ込められているため、表面に塗った色とは異なる、深みのあるやわらかな発色が生まれます。
そこへ酸(アシッド)によるエッチングで器の周囲にフクシアの枝葉を浮き彫りにし、エナメル彩で花や葉に色を差しています。
内側からにじむ色と、表面に置かれた色。この二重の色彩が、小さな器に驚くほどの奥行きを与えているのです。
モチーフ:フクシア ― 「貴婦人の耳飾り」と呼ばれた花
南米原産のフクシアは、18世紀末にヨーロッパへ伝わると瞬く間に人気を集め、19世紀には数多くの園芸品種が生み出された、当時の人々の憧れの花でした。
下向きに咲く独特の花姿から「レディース・イヤードロップ(貴婦人の耳飾り)」とも呼ばれ、優美さと気品の象徴として親しまれてきました。
器を一周する構図の中で、花々はそれぞれ異なる角度で垂れ下がり、手に取って回すたびに新しい表情を見せてくれます。
器に浮き彫りで刻まれた「DAUM NANCY」のサインと「ロレーヌ十字」は、本作がナンシーの工房で仕上げられた正真の作品であることを示す証です。
歴史的価値:円熟期のドームが小品に注いだ技
1905年頃は、ドームがガラス粉末による色彩表現と、酸・エナメルによる装飾技法を高い水準で融合させた円熟期にあたります。
限られた面積に構図を収める小品は、職人の技量がそのまま表れるため、コレクターの間でも根強い人気を誇ります。
12cmというサイズは、書斎の机や飾り棚、ドレッサーの上など、日々の暮らしのすぐそばに置いて楽しむのに最適です。
120年の時を経た「アンダーステート・ラグジュアリー(控えめな贅沢)」を、身近な空間でお楽しみいただけます。
サイズ
高さ 12 cm
状態
目立つ大きな欠け、割れ、傷なく基本的良好な状態です。
ドーム兄弟の歴史についての詳細はこちらから↓
フランス仕入れレポート動画はこちらから↓
・化粧箱について
弊社では商品をより大切に扱いたいお客様に向けて、化粧箱をオーダーメイドで製作しております。
化粧箱の詳細は下記の動画からご確認くださいませ。
化粧箱をご希望の際には、お手数をおかけしますが『お問い合せ』もしくは『購入時の備考欄』からご連絡をお願い致します。
・弊社が扱う商品について
弊社で販売している商品は全て真贋を保証しております。
万が一偽物であった場合は、返品返金致します。