アール・ヌーヴォーの先駆者エミール・ガレにとって、トンボは単なる昆虫ではありませんでした。水面を軽やかに舞うその姿に、彼は自然界の神秘と「変容」の美学を見出しました。本作は、39cmという堂々たるサイズの「ディアボロ(独楽)型」の器体に、夕暮れ時のような幻想的な色彩で水辺の情景を閉じ込めた、ガレの詩情が溢れる名品です。
本作の卓越した点は、その大胆な色彩設計にあります。 冷涼な印象を与える「氷のような白(fond blanc givré)」をベースに、鮮やかな「オレンジ」と重厚な「ダークブルー」のガラスを重ね、酸化腐食彫り(アシッド)によって情景を削り出しています。
オレンジの光: 夕日に照らされた水草やトンボの羽の輝きを表現。
ブルーの影: 水底の静寂や、刻一刻と変化する水辺の陰影を表現。 [Image: Detailed contrast between the orange dragonfly and dark blue aquatic plants] この「補色に近い色彩のぶつかり合い(因果関係)」が、39cmの大型作品に引き締まった緊張感と、圧倒的な生命力を与えています。
日本を「秋津島(あきづしま:トンボの島)」と呼ぶことを知っていたガレにとって、トンボは最も親しみ深い東洋のアイコンでした。 [Image: Dragonfly in flight over marsh plants, a hallmark of Japonisme] 上部で羽を広げるトンボと、底部から伸びる水生植物(沼地の植物)。この垂直の構図は、空間を上へと引き上げ、見る者の視線を自然と天へと誘います。単なる写実を超え、風の動きや水の匂いまでを感じさせる描写は、植物学者でもあったガレならではの眼差しと言えるでしょう。
底部に向かって緩やかに広がる「ディアボロ型」のフォルムは、39cmという高さがありながらも安定感と優雅さを両立させています。 [Image: "Gallé" signature in relief within the décor] 器体には、背景の装飾と一体化した「Gallé」の陽刻サインが記されています。
サイズ
直径 10 cm
高さ 39 cm
状態
目立つ大きな欠け、割れ、傷なく基本的良好な状態です。
一定金額以上のジュエリーは第三者機関を通して鑑定を行なっております
珍しく貴重な逸品を取り揃えております。大量仕入れは行わず一つ一つ厳選した商品のみ販売しておりますのでご安心ください。
一本一本に異なる魅力を持つからこそ、ゆっくりと時計に向き合っていただきたい。その想いから「予約制」とし、お客様だけの空間・時間をご用意しております。
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現代の既製品にはない、手仕事ゆえのゆらぎや、経年変化による風合い。それらを「傷」ではなく「物語」として愛でる、豊かなライフスタイルの提案。
アンティークは、お客様が手にした瞬間から新しい歴史を刻み始めます。いつかまた誰かの手に渡る時まで、共に時を刻む喜びを分かち合いたいと考えております。