青紫の花々が咲きこぼれる、22cmの優美な花瓶
フランス・ロレーヌ地方の古都ナンシーで、アール・ヌーヴォーのガラス芸術を切り拓いたのが、巨匠エミール・ガレです。
本作は1920年頃にエミールガレの工房で制作された「シネレール(Cinéraires/サイネリア)」文の花瓶です。高さ22cmのすらりとした器の周りに、青紫の小さな花を房のように咲かせるサイネリアが、ぐるりと描かれています。
1. 素材と技法:淡い黄色に浮かぶ、青と紫の花
本作は、無色透明のガラスの内側に淡い黄色のガラスを被せ、外側に水色と紫の色ガラスを重ねた多層ガラスでつくられています。
その表面を、酸(アシッド)による腐食を何度も繰り返して少しずつ彫り下げることで、花や葉を浮き彫り(カメオ)のように立体的に表現しています。
2. モチーフ:サイネリア ― 春を告げる青紫の花
サイネリア(シネラリア)は、冬の終わりから春にかけて、小さな花をこんもりと咲かせるキク科の花です。
自然を芸術の師と仰いだエミールガレは、身近な草花を数多くモチーフとして取り上げましたが、なかでもこうした青紫の花は、ガラスの色の重なりを最も美しく見せてくれる題材として好まれました。
器を回すと、花房が途切れることなく続き、まるで春の花壇を眺めているかのような華やかさが広がります。
3. 造形とサイン:飾る場所を選ばない、端正なフォルム
肩から裾へとなだらかに細くなる端正なフォルムは、花を挿しても、器だけを飾っても美しく映える、使い勝手のよいかたちです。
底部には、吹きガラスの竿を外した跡(ポンテ跡)を丁寧に磨き上げた仕上げが施されています。
器の側面には、カメオ(浮き彫り)で「Gallé」のサインが入っています。
光の入り方によって、黄色の下地が柔らかく輝き、花の青紫が浮かび上がる表情の変化も、本作の大きな魅力です。窓辺やリビングの飾り棚に置けば、一年を通して春の華やぎを感じさせてくれることでしょう。
サイズ
状態
カメオによる署名:Gallé があります。
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