０２７　ドーム兄弟　夏の風景図花瓶

このシリーズの作品に関しまして、多くの説明は必要無いかと思います。フランス・アールヌーヴォー・アールデコ期のアートグラス製作の代表格であるドームが彼らのガラス装飾技術が円熟を迎えた１８９０年ー１９１０年頃に製作した高名なシリーズであるカメオ彫りとエナメル彩にて様々な四季の風景を表現した作品群の華麗な花瓶作品です。

美術品市場に於いて、このシリーズの作品群は塩入れやリキュール杯の様な比較的小型の作品でも、出来栄えの見事さ故に高額取引されており、本品の様な比較的飾り栄えする高さ１２ｃｍのサイズの作品は入手困難で、店頭に上れば驚く値段が付けられるでしょう。

この作品の題材は、初夏の森林の風景です。

ドームが得意とした色をまぶしつけて色合いの変化を付けるヴィトリフィカシオン彩の下地にさらにヴィトリフィカシオンの層を被せ、その上に誠に丁寧にカメオ彫り（酸化腐食彫り）とグラビュール（手彫り）で森林の風景の木々や葉、枝などの輪郭を浮かび上がらせ、エナメルの彩色を行い、仕上げにさらにジブレとグラビュールで質感を表面に質感を与える、非常に手間がかかった工程が実施された作品です。

特にこの作品のエナメル彩は繊細さと鮮烈さを極め、木漏れ日の中の初夏の森林の爽やかさが眼前に現出する様な存在感を有します。

サイズ

高さ　11cm