木漏れ日の森へ誘う、35.5cmの大作
19世紀末から20世紀初頭にかけて、フランス・ロレーヌ地方の古都ナンシーは、自然そのものを芸術の師と仰ぐ「アール・ヌーヴォー」の一大拠点として栄えました。
エミール・ガレとともにその頂点に立ったドーム兄弟(ドーム・ナンシー)が、1900年頃に制作したのが本作「ペイサージュ・フォレスティエ(Paysage forestier/森の風景)」文の花瓶です。
高さ35.5cmの堂々とした器全体に、夏の陽射しを受けて輝く森の情景が広がり、見る者をそのまま木漏れ日の中へと誘い込むような臨場感を湛えています。
技法:緑と黄が溶け合う、夏の光のグラデーション
本作は、透明なガラスを二層に重ね、その間に緑と黄の色ガラス粉末を溶かし込むという、ドームが得意とした手法でつくられています。
ガラスの内側で溶け合う緑と黄は、生い茂る葉の間から差し込む夏の陽光そのもののように輝き、器全体に明るく瑞々しい空気感を与えています。
その上で、酸(アシッド)によるエッチングで木々の幹や枝葉を彫り出し、エナメル彩で丁寧に描き込むことで、手前の木立から奥へと続く森の深い奥行きが表現されています。
大きな器面は、職人にとって構図と技量のすべてが試される舞台です。本作では、その広い画面を余すところなく使い、一枚の風景画のような完成度に仕上げられています。
モチーフ:森の風景 ― ロレーヌの自然とナンシー派の眼差し
ナンシーを擁するロレーヌ地方は、豊かな森に恵まれた土地であり、身近な森の風景はナンシー派の芸術家たちにとって尽きることのない着想の源でした。
ドームの風景文の中でも、季節ごとの森を描いたシリーズは特に人気が高く、夏の森は生命力に満ちた明るい色調で、冬景色とはまた異なる魅力を放っています。
器を回すと、木々が途切れることなく続き、まるで森の小道を歩きながら、刻々と移り変わる光と影を眺めているかのような感覚を味わうことができます。
底面には黒エナメルで「DAUM NANCY」のサインと「ロレーヌ十字」が記されており、本作がナンシーの工房で制作された正真の作品であることを示しています。
歴史的価値:黄金期に生まれた、希少な大型作品
1900年頃は、同年のパリ万国博覧会でドームがグランプリを受賞し、その名声が国際的に確立された、まさに黄金期にあたります。
35.5cmという大型の作品は、制作の難しさから小品に比べて現存数が少なく、さらに制作当時のままのオリジナルの状態を保った本作は、大変貴重な一点といえます。
その存在感は、リビングやエントランス、応接室などの主役として、空間全体の格調を一段と高めてくれることでしょう。
森の情景を室内に迎え入れるという、当時の富裕層が愛した「アンダーステート・ラグジュアリー(控えめな贅沢)」を、現代の暮らしの中でお楽しみください。
サイズ
高さ 35.5 cm
状態
目立つ大きな欠け、割れ、傷なく基本的良好な状態です。
ドーム兄弟の歴史についての詳細はこちらから↓
フランス仕入れレポート動画はこちらから↓
・化粧箱について
弊社では商品をより大切に扱いたいお客様に向けて、化粧箱をオーダーメイドで製作しております。
化粧箱の詳細は下記の動画からご確認くださいませ。
化粧箱をご希望の際には、お手数をおかけしますが『お問い合せ』もしくは『購入時の備考欄』からご連絡をお願い致します。
・弊社が扱う商品について
弊社で販売している商品は全て真贋を保証しております。
万が一偽物であった場合は、返品返金致します。