オールドノリタケ 日本の最高芸術品「戦うカエル」

オールドノリタケ 「戦うカエル」


オールドノリタケの「戦うカエル」は、棒で叩き合っているかのようなカエルが特徴的なデザインで、緑色を背景に、正面には三匹のカエルが、反対側には一匹のカエルが盛り上げ技法で描かれています。

オールドノリタケの戦うカエルの水差し
 
オールドノリタケの戦うカエルの花瓶 
 
オールドノリタケの戦うカエルの花瓶



「戦うカエル」は、徳利、花瓶、ファーナー(鉢入れ)、湯のみ、水差しなど、様々な食器に取り入れられてきました。

これらの盛り上げ技法で装飾されたもの作品の大半は、バックスタンプは入っておりませんが、少数ながらもメープルリーフ印が入った物も存在します。

こうした物の大半は、今日入手困難で希少価値が高く、大変高価なものとなっています。

「戦うカエル」は、平安時代の仏僧、覚猷(かくゆう)、俗称:鳥羽僧正(1053~1040年)によって描かれた、鳥獣人物戯画に類似しています。

オールドノリタケのデザインの原型の鳥獣人物戯画
 
オールドノリタケのデザインの原型の鳥獣人物戯画



墨で描かれた鳥獣人物戯画の四本の絵巻物は、日本の国宝とされ、京都府右京区の高雄山の山中にある高山寺に秘蔵されてきました。

4本の絵巻物には秋の植物や動物や鳥が描かれており、仏僧の世界や当時の世俗をユーモラスかつ嘲笑的に現したものだとされ、動物の踊りや水浴びや喧嘩、さらには僧侶の服を着た猿がカエルを崇拝する絵までが収められています。

鳥羽僧正は動物を擬人化することで、虚無的で退廃的な生活を送っていた貴族や武士、その他の民衆を描き、当時の世俗を風刺しています。

このように動物を擬人化する手法は、当時の検閲から逃れるためでもありました。 動物が人間のように振る舞う姿を描く芸術手法は、日本において古きにわたって楽しまれてきたもので、「戦うカエル」はこうした初期の芸術技法を取り入れたものだと考えられます。

日本では大変有名な鳥獣人物戯画が、この作品のインスピレーションの源となったのでしょう。