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動画でタンク アメリカンの歴史と魅力をご覧になる方はこちらから↓
この記事では、カルティエの代表モデルである『タンク』を進化させた『タンク・アメリカン』について解説して参ります。
カルティエの時計が好きな方は、ご存知の通りタンクを引き伸ばしたデザインですが、その誕生は実は1989年であり意外にも30年前なんですね。
このタンクアメリカンですが、一言で言うとタンクが手にする事ができなかったものを補うことが出来たモデルと言えるでしょう。
タンクが好きな方は、きっとアメリカンも好きになって頂けると思います。
この動画では、そんなアメリカンとはどんなモデルなのか、どんな魅力があるのか、どんな歴史を辿ってきたのか、など詳しく解説します。
この動画を最後まで見終わった頃には、タンクにはなくてアメリカンにはあるものを理解して頂けると思いますので、どうか最後までお付き合い下さい。
タンクってどんなモデルなの?
カルティエには、様々なモデル名の先頭に『タンク』という名前が入るものがありますが、これは『タンク』から派生していることを表しています。
というわけで、まずタンク・アメリカンのご先祖様に当たるタンクについて、もう一度一緒に見ていきましょう。
タンクは1917年に誕生したモデルで、そのデザインはフランス製の戦車『ルノーFT-17』の平面図のデザインからインスピレーションを受けて作られたものです。
こちらの画像をご覧ください。
戦車の平面図を真上から見た時に、そのデザインがそのまま今のタンクの形になっているのです。
詳細に解説すると、文字盤の部分は戦車の本体部分であり、文字盤の両隣にあるケースフレームが戦車のキャタピラ部分ということですね。
タンクというモデルは、1917年にこのように誕生し当時のアールデコ時代の芸術感とマッチして、大ヒットしていくことになったのです。
タンクのことが理解出来たと思いますので、次にアメリカンの歴史を見ていきましょう。
カルティエ腕時計『タンク アメリカン』の歴史
カルティエが得意とする、直線を使ってデザインされたタンクシリーズは、アールデコ時代に流行った『直線』と『曲線』をメインに使っておりそのデザインは、ローマ数字がプリントされ、細長い文字盤とケースであることが特徴です。
このように、デザインから見ていくと1920年代に誕生したかのように思われがちですが、タンク アメリカンが誕生したのは、意外にも近年で1989年になります。
しかし、1920年代が全く関係ないかというとそうではありません。
実は1921年にカルティエは、『タンク サントレ/ tank Cintree』というモデルを発表しています。
こちらの画像をご覧ください。
左側がタンク アメリカンで右側がサントレになるのですがデザインは、現在のタンクアメリカンとほぼ同じで違うところといえば、針がブレゲ針になっているところと、リューズが尖ってるか削られてるかくらいでしょう。
ちなみにサントレというのは、フランス語で『曲線』を意味します。
そして、このアールデコ時代に誕生したサントレを元に現代的に生まれ変わらせたのが、『タンク アメリカン』だったんですね。
ちなみに、なぜアメリカンなのかと言いますと、アールデコの芸術はアメリカで大きなムーブメントとなったために、アメリカの人々がサントレをたくさん購入しました。
それに敬意を込めて、オマージュ版であるサントレの名称を『アメリカン』とし復活させたのです。
では次に、タンク アメリカンの魅力を見てみましょう。
タンク・アメリカンの魅力はどこにある?
カルティエというブランドの根源には、宝飾品ブランドがあり他社と比べると時計に宝飾品としての視点も大きく含んでいます。
要するに、人の腕に乗った時に一番美しく見えるように設計されているのです。
よって腕時計を通して、手元に調和の取れた流線型を与えるというのは、カルティエにとって腕時計の開発の1つの重要なテーマでした。
それを実現させるためには、残念ながらそれ以前に出ていたモデル(サントスやタンク)では実現させることは不可能だったのです。
なぜなら、サントスは物理的に長さが足りず、腕に馴染む流線型を作り出すことは出来ませんし、それよりも長さのあるタンクでも、長さが足りなかったのです。
そこで、タンクを意図的に引き伸ばし、流線型を作ることができる長さを確保したのです。
ではこちらの画像をご覧ください。
左側がタンク ルイ カルティエで、右側がタンク アメリカンになります。
同じレディースのSMサイズで比較してるのですが、画像からも一目で分かりますし、実際のカルティエの公式サイトに記載されているサイズを見て頂くとわかる通り、タンクと比較して、タンク アメリカンはケース直径は細く、高さが長くなってるのが分かりますね。
また、注目して頂きたいところですが、厚さも2mmほど厚くなっています。
これはケースを細くするだけだと、薄くなってしまい立体感と重厚感がなくなってしまうからです。
要するに、横が細くなった分を高さと厚さが補うことで、タンクでありながらも立体感という違った魅力を生み出しているのです。
しかし、これがタンクアメリカンの最大の魅力ではありません。
最大の魅力は、『ケースの湾曲』にあります。
タンク アメリカンはケースの延長によって得られた長さを使い、手首の形にフィットするようにケースは湾曲された形になっています。
下記の画像をご覧ください。
黄緑のラインを確認して頂きたいのですが、腕時計を側面から見た時に、時計が弧を描いてるのが分かりますよね。
この弧の角度を見れば、どれだけ湾曲しているかがご理解頂けると思います。
サントレの方も見てみましょう。
下記の画像をご覧ください。
こちらの左のデッサンは、アメリカンの原型であるサントレなのですが、1935年にムディバニ王女に送るために描かれたものになります。
右側にあるのが、サントレ100周年を記念して2017年に製作されたサントレの復刻モデルなのですが、こちらも大きく湾曲してるのが分かりますよね。
このように、『タンク』に出来なくて『タンク サントレ』や『タンク アメリカン』に出来ることはこの『湾曲』だったんですね。
タンク アメリカンのサイズ展開を見てみよう
アメリカンには、ミニからLMまでのサイズで展開されており、レディースとメンズまで全てが対象になっております。
ミニサイズなのですが、サイズをご覧頂いたら分かるとおり物凄く小さいです。
ミニは日本限定で販売されているモデルであり、華奢な日本人専用の特別仕様となっております。
ミニをつけてる女性は可愛らしいですし、時計!って感じではなくアクセサリーとしての役割も果たしてくれるので、軽やかで使いやすいサイズだと思いますね。
SMサイズなのですが、こちらはミニと比較するとだいぶ大きくなってるのでしっかりと、時計としての役割を果たしてくれます。
レディースようですがレディースウォッチでここまで細長いモデルというのは、そうそうないと思いますので他の人と被りたくない方や、アールデコ時代の造形が好きな方にとっては素敵な一本になることでしょう。
ミニとSMサイズは、ムーブメントがクオーツになってるのでムーブメントを巻き上げる必要がないのは、私生活においてとても使いやすいですよね。
MMサイズですが、ここからはユニセックスになります。
メンズも範囲に入ってくるので、ムーブメントは自動巻になっています。
他社の時計と比較すれば、メンズモデルの中ではまだ小さい方ですが、それでもこれくらいの大きさをつけてる男性は気品が感じられます。
今はとりあえずでかい時計が流行っていますが、時計が主役ではなく脇役としての時計というのは、おしゃれだと思いますね。
最後は、LMサイズになりますがこちらは完全にメンズモデルになります。
やはりアメリカンの湾曲が一番生かされるサイズだと思いますし、湾曲されてることで腕にすんなり馴染み大きさを感じさせません。
大きい分、高さがあって立体感がありますしそれに伴って重厚感も出ています。
一番大きいサイズではあるものの、ケース幅が広くないので大きさを感じさせることなく、スリムな印象を与えてくれるのも男性からすれば魅力ポイントですよね。
タンク アメリカンの素材を見てみよう
スタンダードなステンレスモデル、フェミニンなピンクゴールド、高級感のあるピンクゴールドにダイヤモンドがあしらってあるものまで、全てが揃っています。
サイズと素材には、しっかりとした関係があり女性が好むピンクやダイヤモンドには、レディースラインまでの展開しかありません。
ピンクゴールドのケースは、男性も使えるMMサイズまで展開があるのですがLMサイズにはありません。
MMサイズまで展開はあるものの、どっちかっていうとレディースよりのMMサイズで準備されてるのではないかなぁ、と思いますね。
男の人は、ピンクよりイエローの方が好きですからね。
そして、ダイヤがあしらってあるモデルはミニとSMまでしかありません。
これは完全にアメリカンのダイヤモンドモデルでは、メンズまで抑えようとしてないことが分かりますね。
実際の時計なのですが、やはりピンクゴールドやダイヤモンドがあしらってあるモデルになると、とても可愛らしい印象になります。
フォーマルなシーンはもちろんのこと、このような可愛らしい時計であれば洋服に抜けがあっても、そこがワンポイントになるので全体的にバランスの取れたファッションが作れると思いますね。
廃盤品になってしまったモデル
こちらは廃盤になってしまったタンク アメリカンのコレクションですが、これらは全てLMサイズ以上のメンズモデルになります。
以前はこのように、メンズラインにもステンレス以外にイエローゴールドや、ダイヤモンドをあしらったモデルの展開がありました。
特にイエローゴールドモデルは、とてもかっこいいですし今でも非常に人気があって求める人が多いのも事実です。
LMサイズのイエローゴールドは、残しておいて欲しかったのですが残念ですよね。
そして、その隣にあるのがクロノグラフモデルになります。
これはLMサイズよりもさらに大きく、XLサイズに当たります。
ケースサイズが高さ52.0 x ケース直径31.1 mmと、カルティエとしてはかなり大きなサイズでした。
やはりクロノグラフにすると、必然的に大きくなってしまうのですがそれでもカルティエというブランドから考えれば、巨大ですよね。
しかし、前回のバロンブルーの動画でもXLサイズが廃盤になってることを考えると、どうやらカルティエは、大きい時計を作らないようになってきたのかもしれませんね。
そして、こちらも廃盤になってしまったモデルなのですが、かなり短い期間だけ製造されていたダークグレー文字盤モデルになります。
先ほど紹介したのは、メンズモデルだけでしたがこちらのはレディース用のSMサイズの展開もありました。
ケースはホワイトゴールドが使われており、文字盤はギョーシェ彫りが施されていますので、高級ラインに位置付けられていたのだと思われます。
ギョーシェ彫りが出てきたので、簡単に解説します。
文字盤をじっくり見てみると、連続した形状の装飾が見えると思います。
これがギョーシェ彫りであり、この装飾は時計を美しく見せる役割と反射によって、視認性が悪くなることを防ぐ目的があり、一般的に高級ラインのものにしか入りません。
話を戻しましてそのまま文字盤を見てみると、ローマ数字の採用が多いカルティエですがこのモデルは、ビッグアラビア数字が使われ普通のカルティエの時計とは一味違った魅力がありますよね。
とても素晴らしいデザインのこのモデルも生産終了となっていますし、製造されてた期間もかなり短いので今となっては激レアモデルになっています。
まとめ
最後にまとめなのですが、アメリカンというモデルの特徴をご理解頂けたかと思います。
アメリカンの魅力は腕に、すんなり馴染んでくれるその『湾曲』にあります。
アールデコ時代は、カクカクした立体感のある腕時計が好まれましたが、これは今の私たちが見てもかっこいいですし、女性から見ればラウンド型やタンクの薄型と比べるとまた違った魅力を感じられると思います。
タンクを原点にデザインされているので、ぱっと見ではシンプルに感じられますが、奥が深くカルティエを代表する1つのモデルと言えるでしょう。