クリストフル(Christofle)シルバーのマーク・刻印の歴史をご紹介
こんにちは。
アンティークテーブルウェアの妹尾です。
さて、今日はこのようなご質問をいただきました。
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初めまして。
いつもこちらの食器関係のブログを楽しみに読ませていただいております。
私もクリストフルをいくつか、コレクションしています。
コレクションしているのですが、
これって本当にクリストフルなのかなぁ。
そんな風に私の中に、ちょっとあやふやな記憶のマークがあります。
それには、当然ですがクリストフルっていう文字はちゃんと書いてあるんです。
書いてあるのは分かるんですけど。
鶏のマークがどんな風だったのか、ちょっとハッキリ思い出せない部分がありまして。
ですから、もしよければクリストフルのこれまでの歴代マークなんていうものを
教えていただけないでしょうか。
お手数をおかけして申し訳ありません。
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確かに確かに。
クリストフルのマークというのは、たまに、あれこれはクリストフルだったかな。
クリストフルのマークってこれかな。
なんていうものもありますもんね。
せっかくリクエストも頂きましたので、今日はこれまでのクリストフル
歴代のマークたちを一挙大紹介してしまいます。
今では、しっかりと間違いないように
「Christofle」って刻印がどれにもされているものです。
しかし、創業当時はそんな刻印もされていませんでした。
実は、クリストフルは最初はgalliaというブランド名で展開をしていんです。
今からおよそ170年ほど前に創業したクリストフル。
現代まで脈々と続くフランスの有名銀細工師会社なのです。
そんなクリストフルは、安価なのに高品質な銀メッキのアイテムを大量に生産することに
成功したシルバーアイテム界の先駆者の一人でもあるのです。
それでは、さっそくクリストフルマークの銀メッキに関するうんちくを入れながら、
新しく見つけられたクリストフルマークをご紹介していきます。
図 1a と 1b は 1844-1862 年に使われていたクリストフルの初期の規格マークです。
このマ ークの主要構成要素は以下のようになっています。
1)楕円形に4つの星。
ヤシのような2つの枝の上の真ん中にチャールズ・クリストフルの 頭文字 CC
このような楕円マークを CC 楕円マークと呼びます。
2)カルトゥーシュのクリストフル銘(CHRISTFLEの刻印)
3)アイテム番号 149240
4)CC 楕円マークのサイズは、2.1×3.4mm の間です。
図1a初期クリストフルマーク 1844-1862 年使用
図 1 b CC 楕円マーク
図2a,2b, 2c は、1862~1935 年頃の第二期クリストフル規格マークに使用されたマークです。
では、まずこのマークと初期のマークを比較してみましょう。
大きな違いとして見られるのは、図1aで指したCC楕円のマークが、光年には四角いボックスの中に入っているところです。
それをCC楕円マークと呼ぶのです。
キャサリン・バーレ氏から知ることの出来た情報からすると(文献 4)四角の中のマークは
poincon de respousabili と呼ばれているもののようです。
これはフランスの銀メッキ陶器で制定された3つのうちの1つなのです。
銀メッキグッズの使用というのは、フランスでは四角いボックスでメーカーの
イニシャルとシンボルを明記するという条件のもとに1860年の5月に公認を受けることが
できました。
天秤の中にあるミツバチのイメージの代わりとなっているのが、
花(ローゼット)です。
もう1つ新しく加わったものとして、もともとあった菱形の代わりに四角いボックスの銀メッキ称号です。
そしてもっとも印象的な新しい要素として、菱形のMETAL BLANK銘が加えられるようになったのです。
この銘のことをmb菱形マークと呼ぶのです。
1878年以降からいくつかマークが見られるようになり、Maillechort(Alpacca)金属(図 2b)を
マークとするために使われるようになったのです。
銀メッキ器に使われている他の金属には、マークが見当たりません。
しかし(図 2a)というような他の金属には、少しではありますが菱形マークが続けて使われるようになったのです。
1878-1935 年に生産されたクリストフルの銀メッキアイテムのうち、およそ40%のものには、
これらのmb菱形マークがないようです。
図 2 a 規格フルマーク 1862-1935 年使用
図 2 b 規格フルマーク 1862-1935 年使用(Maillechort 金属ひし形サイン)
図 2 c CC 楕円四角形マーク
1862-1935 年に使われていた規格フルマークですが、この内側の
第3の公認マークはmarque de fabricant か、ただ単に製造者名を記したものでしょう。
今回の場合は、カルトゥーシュのクリストフルの銘と思われます。
クリストフル銘のサイズというのは、とくに基準があるわけではありません。
ですから規格フルマークの内側に記されているものも、そのアイテムによって
長さには違いが見られており、5.2mm-10.4mmと、さまざまあります。
その中でも、もっとも多く使われていた長さというのは7.6± 0.2mmです。
第二期のアイテムにおいては、すべてこの長さのようです。
そして実は、銘の高さに関していえば、実は一定なのです。
長さには基準がなく、さまざまなものがあったにも関わらず、高さだけは代わりがないというのも
少し不思議ではありますね。
図 3 クリストフルマーク Salzburg 98 追刻
1935年頃からはイニシャルCCではなく
Orfeverie Christofle(SilversmithChristofle)をいう意味のあるイニシャルである
OCを含んだ第三期規格フルマーク(図 4a)が発表されました。
この、マークは1983年頃まで使用が続けられていたのです。
CCマークは楕円四角形マークでしたが、それに対してOCマークは
線の引かれた長方形のボックスの中にOCマークが入っています。
それがこの2つのマークの大きな違いと言えるのではないでしょうか。
そしてこのOCのマークのことは、OC楕円長方形マークと呼ばれています。
さて、違いはもう1つあるようです。
それは、楕円形内部の図面の中に見受けられます。
規格のOC楕円長方形マークには、ミツバチが描かれています。
しかし、上記のCC楕円四角形マークにはミツバチは描かれていません。
その代わりに、複数の花(ローゼット)が描かれているのです。
楕円のサイズというのは、おおよそで決められているようです。
1.6mm±2.6mm(私有の 4 アイテム中)でした。
これは、CCマーク(上記参照)の楕円サイズとほぼ一致するサイズとなっています。
1935-1983 年に使用されていたフルマークには、四角のボックスの中に
O,Cという2つの文字があります。
その文字の間にチェスで象徴的な騎士が描かれているのです。
この騎士には意味があり、1つはそれが銀メッキであることを示すため。
もう1つは、なんとユニークの要素なのです。
このボックスのサイズはさまざまあります。
1.8mm×1.8mm-2.2mm×2.2mmの間で書かれていることが多いです。
図 4 a
規格フルマーク 1935-1983 年使用(無番号)
図 4 b
OC 楕円長方形マーク(中央のマークはミツバチ)
図 4 c 銀メッキ称号 1935-1983 使用(中央がチェスマーク)
では、ここからは最近発見されたクリストフルの銀メッキマークを
ご紹介していきます。
(図 5a,5b)で表示しているのが、新しい中型規格のマークとなっています。
楕円四角形マーク、OC楕円、楕円長方形などで見慣れた特徴があります。
CC 楕円四角形 マーク(図 2c)と同じようにCC銘というのは、このマークが
1935年より前に使用されたものという証明でもあるのです。
この新しいマークでは、製造名が別の場所に記されています。
これは、CC楕円四角形マークと同じ状態です。
しかし中型マークの楕円はボックスの中に入っています。
そしてOC楕円長方形マーク(図 4c)と同様に、ロゼットではなくミツバチが
そこに描かれているのです。
楕円形のサイズはCC楕円四角形マーク(図 2c)とほぼ同サイズとなっています。
おおよそ 1.6mm ×2.5mm(私有の 2 アイテム中)で描かれているのです。
図 5 a 中型規格クリストフルマーク 1930-1935 番号 3・32 は単に製造日の月と年を表す。
1932年 3月
図5b CC中型クリストフルマーク 楕円四角形マーク
最期になりましたが、クリストフルの中型楕円マークと同時期に出されたのが、
(図 6)Gallia 金属(いわゆる ORFEVRERIE GALLIA)仕様です。
しかし、Galliaアイテムに仕様される楕円形のサイズはとても小さいものでした。
そのサイズはわずか1.1mm×1.6mmだったのです。
クリストフルという刻印はありません。
しかし、このマークも確かにクリストフル製のものです。
是非覚えておいてくださいね。
図6Gallia金属仕様 クリストフル銀メッキアイテム 中型CC楕円四角形マーク
大文字でGALLIAと書かれてます。
図7 馬と鶏のマーク
鶏のマークの下に「Gallia」の刻印
いかがでしたか?
クリストフルのマークというのは、本当にさまざまあります。
やはり、それは170年という長い歴史によるものではないでしょうか。
マーク1つとっても、本当に奥深いものです。
クリストフルと思われるアイテムだけれど、こんなマークあったかな?とか
このマーク、クリストフルみたいだけど確かかな?というように
疑問に思われたときは、是非上記を参考にしてみてくださいね。
クリストフルのカトラリーには、長い歴史があります。
少し興味が沸いてきた人もおられるのではないでしょうか。
当店でも、クリストフルの取り扱いを行っています。
是非一度、ご覧になってみてください。