クロノグラフとは?クロノグラフの歴史と代表的なクロノグラフの腕時計の紹介!

クロノグラフの歴史

 

クロノグラフほど、所有者と多くの関わりを必要とするタイプの時計はありません。

精巧に作られたメカニカル・クロノグラフ・ムーブメントとの触れ合いには
確かな喜びがあります。

ほどよい指圧でボタンを押すと気持ちのいいクリック音が聞こえ、秒針が動き始めます。

針が一周するたびに、30分積算計が一目盛り進みます。

もう一度ボタンを押すと、秒針は止まります。リセットボタンを押せば、す
べての針が素早く元に戻ります。

初めて特許を取得したクロノグラフは、2つの競走馬のタイムを比較するために
2つのインク付き針が紙の文字盤上に線を引いていくという、
箱に入ったシンプルな時計機構でした。

「クロノグラフ」という言葉は文字通り「時を刻むもの」を意味しますが、
すぐにその有用性が理解され、時計メーカーたちはよりポータブルでより正確なものを
競って作り始めるようになりました。

初めのうち、クロノグラフは懐中時計の姿をしており、ストップウォッチとして機能するだけで、時計の役割はありませんでした。ストップウォッチだけを開発する方が、時を刻む機能を組み合わせるよりも簡単であることはわかるでしょう。

最初のクロノグラフには、巻き取り式リューズと同軸のボタン1つしかありませんでした。

ボタンを連続して押すことでスタート、ストップ、リセットすることができました。
しかし1915年にガストン・ブライトリングが別々に押すクロノグラフを発明し、その数年後には2つボタンのクロノグラフを発明しました。
以来、レトロなデザインのもの以外は過去を振り返っていません。

初期のクロノグラフ・ムーブメントは簡単な機械的レバーで構成されていましたが、
今でも使われている2つの一般的なタイプのムーブメントは、
コラムホイールとクーリスレバーです。

コラムホイールは、小さな城の塔のようなものが、クロノグラフを1回押すたびに
1歯回転します。

機械式の爪のようなものが、コラムホイールの歯の間に落ちることで機能します。
コラムホイールは正確な設計と構築を必要とするので、通常ユーザーは目に見えるほどスムーズで早い反応として感じることができます。コラムホイールのクロノグラフは大抵、高価で一般的ではありませんが、品質レベルとメーカーによる細部へのこだわりのため、コレクターたちにとって
より魅力的なものです。

クーリスレバーにも利点があります。
製造が簡単な上とても頑丈で、コラムホイールで必要とされる細かな公差はありません。

※クーリスレバー=クーリスレバーとは、クーリスと呼ばれるハート型のカムを前後に動かしたり、クロノグラフをリセットさせたりする時計に内蔵されているにレバー


このタイプでは、クロノグラフボタンを押すたびにハート型のカム(クーリス)が前後に動くことでクロノグラフをスタート、ストップ、リセットします。

クーリスレバーの動きは固く、操作するのにより強い力を必要とするため、触感的に操作するのは楽しくありません。しかし、今日販売されている機械式クロノグラフの大部分は、1974年に初めて導入されたクーリス・レバー・ムーブメントを使用しています。

1960年代後半、いくつかの時計会社が世界初の自動巻き(オートマチック)のクロノグラフを開発するために競っていました。その時点までに自動巻き時計は普及していたにも関わらず、クロノグラフはその複雑さとスペースの制約のために、依然として手巻きでなければなりませんでした。3つのグループが1969年にわずかな差でゴールしました。ハミルトン、ビューレン、ブライトリング、ホイヤーによる共同企業体が協力して、マイクロローターと呼ばれる小さな回転錘を使った自動クロノグラフムーブメントであるキャリバー11を開発しました。

一方、ゼニスはフルサイズのワインディングローターを使用した独自のオート・クロノ「エル・プリメロ」(「最初の」という意味)を発表しました。 しかし、日本でセイコーが独自に開発した6139は、キャリバーもプリメロも打ち負かした可能性があります。誰が最初に作ったかは意味のない問題ですが、その時以来販売されている機械式クロノグラフのほとんどは自動巻きとなり、手巻きのものは希少で魅力的なものとなっています。

自動巻きか手巻きか、コラムホイールかクーリスレバーかに関わらず、クロノグラフはパイロット、宇宙飛行士、カーレースドライバー、兵士および医師のツールとして長い間使われてきました。また、ボタンを押すたびにギアやレバーの芸術に触感的な喜びを味わう人々にも愛用されています。要するに、好みや予算に応じたクロノグラフがあるのです。

5大クロノグラフの腕時計の紹介

ハミルトン Hamilton カーキパイロットパイオニアクロノグラフ腕時計

元々ハミルトンはアメリカの鉄道会社のために懐中時計を作っていたペンシルバニア州のメーカーでしたが、1960年代までにはスイスに工場を持ち、英国空軍のためにクロノグラフを生産していました。カーキパイオニアは、当時と同じ非対称のケースと2つのレジスターによって当時の時計に敬意を表しています。クロノグラフにはハミルトンのH-31キャリバーが搭載され、30分までの時間追跡と60時間の持続時間を誇ります。

タグホイヤー TAG Heuer フォーミュラ1クロノグラフ腕時計

クロノグラフのリストにタグホイヤーがないはずがありません。1860年の創業以来、このブランドは自動車や航空機のクロノグラフのリーダーであり、1960年代と70年代のAutaviaは1つの象徴でした。最新のフォーミュラ1は、Autaviaのトノーケースとボールドベゼルを回想させますが、耐水性とサファイアクリスタルによって新しくなっています。

ロンジン Longines コラムホイールクロノグラフ腕時計

コラムホイールのムーブメントを持つクロノグラフは、時計製作の腕前が高いことを表し、大抵はそれに見合った価格となっています。しかし、ロンジンから誇らしげに名付けられたコラムホイールクロノグラフよりも手頃な価格のものを見つけるのは難しいでしょう。古典的なスタイルというだけでなく、その名にちなんだムーブメントは、明快で正確な動きによって操作する喜びをもたらしてくれます。

ブレモント Bremont ボーイングモデル247クロノグラフ腕時計

ブレモントは、航空機製造の影響を受けた丈夫なクロノグラフの製造からスタートしましたが、この英国ブランドは巨大航空機メーカーであるボーイング社とのパートナーシップによって、腕時計を新しいレベルへと引き上げました。ボーイング社が787の着陸装置で使用しているのと同じスチール製のケースを誇るモデル247は、クロノメーターが保証す正確さで作動しながら、あらゆることに耐えます。

ヴァシュロン Vacheron Constantin コンスタンタンハーモニーモノプッシャークロノグラフ腕時計

複雑化する高度な時計製造において、社内で独自のクロノグラフをデザイン・生産する数少ないブランドがあります。ちょうど今年、ヴァシュロンは1928年に制作された時計からヒントを得て、新しい手巻のクロノキャリバーを導入しました。2つのレジスターと、リューズ搭載のモノプッシュによって、ハーモニーは ただ時間を止めるだけでなく、過去に思いを巡らせてくれます。