チェコのガラス工芸 ロブマイヤーとボヘミアングラスの関係

チェコのガラス工芸 ロブマイヤーとボヘミアングラスの関係


現代において、ボヘミアクリスタルとも称されるボヘミアガラスは、現チェコ共和国の一部であるボヘミアと、ポーランド南西部からチェコ北東部に属するシレジアと呼ばれる地域で生産されているガラス製品のことをさします。


高い品質、熟練した職人の技術、類い稀な美しさ、そして時に革新的なデザインで国際的に認知されてきた長い歴史を誇ります。

シャンパングラスから巨大なシャンデリア、装飾品、置物、その他のガラス製品にいたるまで、ハンドカットされ、 吹き製法で作られた上に繊細な彫刻を施されたガラス製品は、チェコの最も有名な輸出品の一つであり、観光客のお土産として非常に人気があります。

 

チェコ共和国は、現在に至るまで数多くのガラススタジオや学校を抱えており、 ガラス製作現場の最古の考古学的発見と言われる発掘現場は、およそ1250年前のもので北ボヘミアのルザティアン山脈で発見されました。

中でも有名なロブマイヤーは、家族経営企業として現在6代目となります。
 

素材への愛情、製品への想い、個々の持てる力が注がれたその手仕事は、すべての世代において深い軌跡を残しています。

 

吹きガラス、手作業によるカッティング、彫刻、研磨-ロブマイヤーのガラス製品は完成まで少なくとも18人の職人の手にかかり、均整のとれたフォームや機能を、その細部にいたるまできめ細かく仕上げられています。

 

ロブマイヤーは、1823年にヨーゼフ・ロブマイヤー・シニアによってウィーンのヴァイブルクガッセに設立され、その後まもなくオーストリア・ハンガリー帝国のハプスブルク家の王室御用達となりました。

 

ヨーゼフ・ロブマイヤーの二人の息子、ヨーゼフ・ジュニアとルートヴィヒ(18551917)のうち、特にルートヴィヒは、オーストリアにおけるボヘミアンガラス製作の中心人物でありました。

彼は、第一回万国博覧会に出展し、ロブマイヤーの名を広く知らしめたのです。
 

1864年にルートヴィヒは、仲間と共に、現「オーストリア応用美術博物館」を設立しました。

彼は、甥のシュテファン・ラース・シニア(1902-1960)にロブマイヤーの経営を譲り、1912年にはオーストリアの職人協会の設立にも携わりました。

 

ハンス・ハラルド・ラース(19381968)は、戦後、オーストリアのガラス製造を再構築し、革命的なクリスタルのシャンデリア(ウィーンのオペラハウスなど)を生産しました。

 

ハラルド、ペーター、シュテファンー3人のラース一族(19682008)は、企業を設立し、アラブ諸国と日本での市場を拡大し、ザルツブルクには支社もできました。

1972年からは、シャンデリア製造会社のZahnによって引き継がれました。

 

ニューヨークのメトロポリタンオペラとの契約は、ロブマイヤーにとって大きな意味を持つものでした。

そこに設置したシャンデリアのデザインは、20世紀において最も有名なものと言えるでしょう。

それは世界的に有名なロブマイヤーの代名詞というだけでなく、一時代を通してシャンデリアデザインの基礎となったのですから。
 

2000年以降はアンドレアス、レオニード、ヨハネス・ラースがインターナショナルな経営を始め、若い世代のデザイナーとの共同作業に特に力を入れています。