機械式時計・手巻き時計 ロンジン(Longines)の素晴らしきムーブメント
~翼の砂時計は信頼の証~
翼の砂時計のロゴといえば、ロンジンです。
「ロンジン」とはフランス古語で「花溢れ小川流れる野原」という意味です。
かつてリンドバーグは大西洋横断を成功させたのちに、ナビゲーションウォッチの作成を依頼したといいます。
冒険のプロも信頼するのがロンジンです。
ロンジンは高級腕時計のなかでも、最もポピュラーなブランドのひとつです。
身に着けていて、嫌味な感じもなく、周りに対して威圧感を与えるようなデザインでもありません。
あくまで普遍的なスタイルで、高級時計初心者にも安心して、一本目の高級時計としておすすめのできるブランドなのは間違いありません。
高級時計ブランドの売上ランキングが単体で常に1位をとっているのがロレックス。
2位、3位とオメガやカルティエと続くのが、毎年の流れですが、その次に続くのがロンジンなのです。
ほぼ毎年売上ランキングのTOP5に入ってくる、ワールドクラスの時計なのです。
ロンジンは現在オメガなどと同じスウォッチグループの傘下に入っています。
スウォッチグループは全体で合わせると、他の高級時計を展開しているグループの売上を圧倒してナンバー1なのです。
その一角を担うのがロンジンです。
価格は求めやすいものだと、クオーツ式の時計ならば8万円代で手に入りますし、
すべてのモデルが自動巻きの機械式時計になっているマスターコレクションでも30万円しないほどの値段で手に入ります。
その安さの秘訣はETA社のムーブメントを使っているところにあります。
かつては自社でムーブメント開発などもしており、北米の代理店で「ウィットナー」という名前で売り出していたこともあって、
アンティーク時計の愛好家からも人気です。
そんなロンジンも含めた、スウォッチ社の世界観を味わえるのが、東京は銀座7丁目にあるスウォッチグループジャパンの店舗です。
スウォッチグループの扱っているブランドごとに、直通でブランドの店舗につながっているエレベーターで、店舗に入る前からそのブランドの世界観に浸ることができるのです。
ロンジンの時計を買う前に一度見ておくといいかもしれませんね。
■歴史
ロンジンの歴史は名だたるスイスの時計ブランドの中でもかなり古いブランドとなっています。
時計産業で盛んなスイスジュラ山脈のサンティミエに拠点を置いています。
ロンジンはオーギュスト・アガシがアガシ商会を設立した1832年誕生しました。
1852年にオーギュスト・アガシの甥、アーネスト・フランシロンがサンティミエに拠点を移し、
経済学者でもある彼が徐々に家内工業を引き継ぎ、徐々に規模を拡大していきました。
1867年、サンティミエの通称「Es Longines」と呼ばれる土地にアーネスト・フランシロンがロンジンの自社工場を開設し、
その工場で同年に初のムーブメント"キャリバー20A"が製造されます。
この土地名がロンジンの社名になっていることは言うまでもありませんね。
20ラインのこのキャリバーには、アンクル脱進機、リューズによる巻上げと時刻合わせのシステムが搭載されていました。
この“L20A”は、1867年にパリで開催された万国博覧会で賞を受賞します。
そしてこの時から、贋作が市場に流通しないよう、翼の砂時計のロゴが使用されるようになりました。
今のロンジンのイメージが完全に出来上がったのはこの1867年というわけです。
ロンジンは1910年代には従業員数も1000人を突破し、そのブランド力をより強固なものとしていきます。
ラウンド型のムーブメントのみならず、オーバル型のムーブメントを作成し、独創的なムーブメントも多数誕生しています。
1927年大西洋横断に成功したリンドバーグは計器で移動距離と風向きを計測し、コンパスで方向を決めるこの方法は、
周囲に何も見えない大洋上を飛行するには向いていないとその身をもって感じました。
リンドバーグはその経験をもとに、まったく新しいパイロットウオッチのアイディアをFAI(国際航空連盟)に送りました。
それを見た担当者は、ロンジンにその時計の製造を依頼しました。
これが今日もタイムピースとして語り継がれる「アワー・アングル・ウォッチ」なのです。
1930年代から1940年代に勃発した第二次世界大戦中はイギリスに多くの時計を納品し、着々と規模を大きくしていきます。
1967年にはロンジン工場創設100周年と、ウォッチの総販売数1500万本を達成したことを記念して、
これまでより格段に高精度の自動巻腕時計であるウルトラ・クロンを発売しました。
ハイビート10振動毎秒(36,000振動毎時)のCal.L431が搭載されていて、現在でも語り継がれるロンジンを代表するタイムピースとなっています。
このウルトラ・クロンは現在ヘリテージコレクションとして、後継モデルが発表されています。
数々の偉業を成し遂げてきたロンジンですが、大きな試練が待っていました。
1970年代日本のセイコー社が開発したクオーツ機構よって起きた、クオーツショックがロンジンを襲います。
ロンジンは苦渋の決断の上、クオーツ一本で時計を生産する道を一時選択します。
転機が訪れたのは1983年。
スウォッチグループの傘下に入ったのでした。
90年代は機械式時計の復権もあり、また機械式時計を制作し始めます。
現在も機械式時計を製作しているロンジンですが、自社製のムーブメントはなく、ETA社のムーブメントを使っています。
ここが時計愛好家の中では賛否両論別れることになりますが、自社製ムーブメントにこだわる愛好家の方は、ビンテージのロンジンを高値で今も売買することがあります。
その一方で現行のモデルに搭載されているETA社のムーブメントはその精度の良さに定評があること、またムーブメントを外注することによって、
コストを下げることに成功し、高級ブランドの時計の中ではアンダー30万円を切る、驚異的な価格で機械式時計の魅力を世界中に届けています。
■コレクション
1 ウォッチメイキングトラディション
最も一般的なロンジンのラインです。
ロンジン エレガント コレクション、コンクェストクラシック、ロンジン サンティミエ コレクション、ロンジン エヴィデンツァ、
ロンジン マスターコレクションと様々なモデルに細かく分かれますが、特に人気なのが2005年に発表されたマスターコレクションでしょうか。
自動巻きの時計がアンダー30万円で手に入るのが人気の秘密です。
2 ロンジン イクエストリアン コレクション
乗馬に対して作成したコレクションです。
懐中時計を思わせるような丸い形と、轡のような形のバンド部分が特徴的なモデルとなっています。
3 スポーツ
その名のとおり、スポーツウォッチで形成されているコレクションです。
クロノグラフがコンクェスト、ハイドロコンクェストの2モデルに搭載され、陸上、水中と様々な世界で活躍するプロスポーツ選手のタイムマネジメントをします。
4 ヘリテージ
初心者よりも時計好きの方が気になるコレクションなのではないでしょうか。
先にも紹介したアワー・アングル・ウォッチ、ウルトラ・クロンの後継モデルも発表しており、実際にリンドバーグが注文した時計を忠実に現代によみがえらせています。
5 エレガンス
女性専用のコレクションとなっているのがエレガンス。
ラ グラン クラシック ドゥ ロンジン、ロンジン プリマルナ、ロンジン ドルチェヴィータ、ロンジン サンフォネットと様々なコレクションに分かれますが、
数ある女性の高級時計の中でも、華美な装飾がない、おとなしいデザインのものも多くあるのが特徴です。
今、高級時計を買おうか迷っている方はロンジンを一度見てみてはいかがでしょうか。
値段以上のクオリティの高さがきっとわかるはずです。