IWC&ジャガールクルトは最高傑作のミリタリーウォッチ(腕時計)Mark XI(マーク11)の魅力

ヴィンテージミリタリーウォッチ マーク11 mk.11 IWC ジャガールクルト

おそらく、歴史上の腕時計の中でマーク11ほど「実用時計」の意味を体現しているものはありません。
 
イギリス国防省が求めたスペックに基づいてIWCとジャガー・ルクルトが製造したマーク11は、機能性と実用性を重視してゼロから設計されました。
 
その結果マーク11はパイロット用腕時計の見本ともいえる腕時計となり、1949年に誕生してから現在までいくつものデザインに影響を与えました。
 
その歴史的な作品をじっくりと見ていきましょう。
 
Mark XI マーク11 ミリタリーウォッチ


マーク10とは

1940年代初頭、イギリス国防省が軍事用の腕時計として必要なスペックの一覧を作成し、


・Buren(ビューレン)

・Cyma(シーマ)

・Eterna(エテルナ)

・Grana(グラナ)

・IWC

・Jaeger LeCoultre(ジャガー・ルクルト)

・Lemania(レマニア)

・Longines(ロンジン)

・Omega(オメガ)

・Record(レコード)

・Timor(ティモール)

・Vertex(バーテックス)


の12社がそれらのスペックに基づいた腕時計の製造を許されました。
 
その結果製造された腕時計は“Dirty Dozen(ダーティ・ダース)”、または狭義的に“Mk. X(マーク10)”と呼ばれ、現在でもコレクターにとって非常に価値の高い腕時計として扱われています。
 
W.W.W. ダーティ・ダース ミリタリーウォッチ


マーク11とは

ダーティ・ダースの名のもとに支給された腕時計は軍事用として認められたものの、航空用として使用するには精度の低いものでした。
 
そのため1946年~47年、イギリス国防省は航空士用に新たな腕時計の基準を設けました。
 
それが、“6B/346”または“Mk. 11(マーク11)”と呼ばれる腕時計です。

マーク11のスペック

Mark XI マーク11 スペック
 
マーク11には、以下のようなスペックが必要とされていました。
 
まず、マットブラックの文字盤に、アラビア数字で1~12のインデックスを配置すること。
 
一分ごとに配置された目盛りは白で、3時・6時・9時・12時を表す太めの印には夜光塗料が使われる必要がありました。
 
次に、大きさ12リーニュ(約27mm)、36時間のパワーリザーブで平均日差が-4/+4秒以内のスイス製高性能ムーブメントの使用が義務付けられました。
 
さらにGlucydur(グルシジュール)製のテンプとNivarox(ニヴァロックス)製のヒゲゼンマイを搭載し、中心に配置された秒針は同期のためのハック機能を備えている必要があります。
 
ケースは水深20フィート(約609m)まで耐えられる防水性があるもので、磁気帯びを防ぐFaraday(ファラデー)製のケージを使用。
 
減圧による分離を防ぐため、アクリル製の風防は止めネジで固定すること。
 
ヴィンテージミリタリーウォッチ マーク11 mk.11 IWC ジャガールクルト

Bonklip(ボンクリップ)社のステンレススチール製ブレスレット(型番6B/2763のもの)は、ケースに固定されている必要がありました。
 
イギリス国防省は、このスペックリストをイギリスに拠点を置くジュエリーショップGoldsmiths & Silversmiths(ゴールドスミス&シルバースミス)社へと持ち込みました。
 
ゴールドスミス&シルバースミス社はこのスペックを満たす腕時計を製造してくれるメーカーを探し、最終的にIWCとジャガー・ルクルトに委託されました。
 
そうして1949年、完成したマーク11は英国空軍、連邦航空局、王立オーストラリア空軍(以下 豪空軍)、王立ニュージーランド空軍(以下 新空軍)をはじめ、その他の部隊や最終的には民間企業にまで供給されました。
 
供給前に、全ての腕時計に対し厳しい性能テストが行われました。
 
ハーストモンソーにあるグリニッジ天文台のクロノメーター作業室で、5つの異なる位置や様々な温度に耐えられるよう、2週間以上かけて調整が行われます。
 
さらにこの性能を維持するため、供給後であっても年に1度の再テストが行われました。

マークXIのデザイン

Mark XI マーク11 側面


イギリス国防省が規定したスペックは非常に厳格なものであったため、IWCとジャガー・ルクルトが製造したマーク11は構造や外観のどちらをとっても非常に似通っています。
 
どちらもケースはステンレススチール製で、大きさもIWCが直径35.98mm、ジャガー・ルクルトが35.3mmとほぼ同じ。
 
どちらも長めのラグに、スプリングバーが固定されています。
 
文字盤はカップのような形をしており、耐磁性を実現するため鉄製の裏蓋またはファラデー製のケージが使用されています。
 
どちらのマーク11もIWCとジャガー・ルクルトが委託された年代に製造されたもので、似通ってはいるものの文字盤、針、裏蓋に刻印されたマークなど数か所の違いも見られます。
 
マーク11のデザインは時間の経過とともに何度か著しく変化しました。
 
例えば、初期のマーク11には12時のインデックスとして三角形のマークは使用されておらず、かわりにアラビア数字の「12」に2点のドットが付されていました。
 
このデザインは1952年ごろ、時計の見やすさを改善するために変更されたものです。
 
同様に時針についても、読みやすさを重視して短めで四角いデザインが用いられました(これは現在、IWCマークラインの特徴的なデザインとなっています)。
 
1962年以降に製造されたIWCのマーク11には、文字盤の6時のうえにトリチウムの使用を表すTを丸で囲んだマークを使用するようになります。
 
このころ、イギリス国防省はすでに製造されたラジウムを使用した腕時計についても、トリチウムとの交換を開始しました。
 
ただし、豪空軍および新空軍はラジウムの交換を必要としなかったため、これらの腕時計についてはトリチウムのマークが描かれていません。
 
ボンクリップのブレスレットは生産中止となり、その数年後、代替品としてナイロン製のNATOストラップ(型番:6B/2617)が使用されるようになりました。
 
Mark XI マーク11 裏蓋

 
マーク11の文字盤、ケース、ムーブメントには、政府の所有物であることを示すブロードアローのマークが付されています。
 
同様に、“6B/346”という型番もすべてのマーク11に刻印されています。
 
“6B”は時計以外の製品を含めそれが航空用製品であることを表し、数字の“346”はそれが何番目に作られたモデルであるのかを指しています。
 
さらに、シリアルナンバーと発注年度も各個体に記されており、たとえば“2283/51”と表記されていた場合、1951年に発注された2283番目の個体であることがわかります。


ムーブメント

Mark XI マーク11 ムーブメント


ジャガー・ルクルトのマーク11には、ジャガー・ルクルト キャリバー448/Sbrと呼ばれる非常に精度の高いクロノメーター認定ムーブメントが使用されています。
 
このキャリバーは限られた期間に少量生産されたもので、のち1958年に製造された象徴的なJLC Chronomètre Geophysiqueに使用されているキャリバーP478/BWSbrのもとにもなりました。
 
IWCのマーク11には、これまで作られたなかで最も頑強な三針ムーブメントのひとつとして有名なキャリバー89が使用されています。
 
キャリバー89は18,000bphで駆動し、Breguet(ブレゲ)製のヒゲゼンマイと文字盤中央の秒針を動かす特許技術の間接駆動が特徴です。
 
しばらくすると、耐衝撃性を改善させるためIncabloc(インカブロック)社製の耐衝撃装置が搭載されるようになりました。
 
ジャガー・ルクルトのマーク11は耐衝撃性の低さから、1953年に生産中止となりました。
 
英国空軍や豪空軍に支給するため合計でおよそ2,950点の腕時計が生産されたといわれていますが、1960年代にはそのすべてが使用中止となりました。
 
その後はIWCが唯一のマーク11生産メーカーとなり、1949年から1953年の間に8,000点近くが生産されました。
 
1981年にマーク11は全面的に使用中止となったあとも、1973年から1984年までに1,000点がほどが商業目的で販売されています。
 
ジャガー・ルクルト製マーク11が営利目的で販売されることはありませんでした。

マーク11 様々なバリエーション

Mark XI マーク11


マーク11に関する情報にはいまだ曖昧な点も多いためここでは割愛しますが、このように複雑化した理由のひとつとして、生産過程で様々な改良や微調整が行われたことがあげられます。
 
組織によって求めるスペックが異なった(例えば、英国空軍が文字盤にブロードアローのマーク記載を規定したのに対し、豪空軍用のものにはこのマークは不要でした)ことも、多くの細かなバリエーションが生まれたひとつの要因になりました。
 
さらにIWCによるケースやムーブメントの互換品、NOS製の文字盤や針が使用された個体などバリエーションは多岐にわたりますが、そのなかで一つ素晴らしい製品を紹介するとしたら英国空軍への支給品である写真のものがあげられるでしょう。
 
こちらの製品はパイロットウォッチの象徴的なデザインであり、ジャガー・ルクルトをもとにしたマーク12やETA社製ムーブメントを搭載したマーク15など、のちの様々なデザインに影響を与えました。

Mark XI マーク11 IWC製

現在、マーク11は軍事的遺産として高く評価されています。
 
10年前には状態のいいものでも20万円~30万円ほどで手に入れることができましたが、現在では1点80万円は下りません。
 
長い歴史を持った素晴らしい傑作であるマーク11は、手に入れたいかどうかは別として全ての時計愛好家が知っておくべき製品のひとつです。

 

まとめ

マーク11はマーク10よりもさらに精度をあげたもので、パイロット用に作られたものを言うんですね。
そして、イギリス政府の条件をクリア出来たのも今でも有名なジャガールクルトとIWCであるのは納得出来ますよね。

マーク11の時計はこのように素晴らしいものでは御座いますが、作られた個体も非常に少ないです。ですので素晴らしい時計であってもなかなか手に入れるは難しいのが現状です。

もし、この記事を読まれてマーク11を購入したいと思われた方はお気軽にお問い合わせください。


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