クロノグラフ腕時計 実生活におけるクロノグラフの活用方法
日常生活の中でのクロノグラフ
クロノグラフをファッションとして愛用している人は多いですが、日常生活の中でクロノグラフを活用している人は、意外と少ないようです。
しかし、クロノグラフにはとても便利な機能がたくさんあるのです。
是非、その機能を存分に活用して、クロノグラフをもっと身近に感じてみましょう。
カラオケの時間確認
カラオケボックスに入ると、つい時間を忘れてしまうということはありませんか。
盛り上がってくると、今入店から何分くらいたっていて、あと何分で退出しなくてはいけないのかが、わからなくなってしまうということは、よくあります。
お店によっては、時間が経過しても連絡がなく、淡々と料金だけが加算されてしまうというところもあるようです。
そんなときに、しっかり入店からの時間を計測できたら便利ですよね。
クロノグラフは、そんなときにも活躍してくれます。
まず、お店に入店して受付を済ませた時点でクロノグラフのスタートボタンを押しましょう。
クロノグラフが、入店からの時間を計測してくれます。
これで、あと何分?なんて気にすることなく、存分に退出の時間まで歌を楽しむことが可能となるのです。
この機能は、何もカラオケだけではありません。
居酒屋での飲み放題の時間、食べ放題のお店でのラストオーダーまでの時間など、さまざまな場面でしっかりと活躍してくれることでしょう。
駐車時間の計測
ショッピングに出かけるときに、帰りの荷物のことを考えたら、やはり電車で出掛けるよりも車で出かけたほうが便利なもの。
利用するお店によっては、専用駐車場がありますが、そんな駐車場でもっとも多いのが「2時間まで無料」という文字。
2時間もあれば買い物するのに十分。
そんな風に思いながら買い物していても、ついつい買い物に夢中になってしまうと、気が付けば2時間をすぎてしまい、超過料金を支払うはめになってしまった、なんてこともあるのではないでしょうか。
しっかりと無料駐車時間内に、車を出すためにクロノグラフを活用しましょう。
車を駐車場に停めた時点で、クロノグラフのスタートボタンを押しましょう。
クロノグラフが、駐車時間を計測してくれます。
これで「何分に停めたっけ?」なんて頭を悩ます必要もありません。
クロノグラフが、駐車してからの時間をキッチリ表示してくれます。
安心して、ゆっくり気兼ねなくショッピングを楽しむことができますよ。
インスタント食品の計測
カップラーメンを作っていて起こりやすいのが、「今お湯を入れて何分か?」ということ。
カップラーメンの完成までの時間なんて、せいぜい3分~5分。
しかし、この短時間が意外と計測難しいものなのです。
3分あるから、その間にあれをしておこう、なんて違うことをやっていたら「あれ、何分からだったっけ?」なんてことにもなるのです。
蓋を開ければ、すっかり伸びてしまった麺とご対面なんてことにも。
ですから、カップラーメンにお湯を入れた時点で、クロノグラフのスタートボタンをプッシュしましょう。
そうすれば、クロノグラフがカップラーメンが完成するまでの時間を教えてくれます。
これは、スパゲッティの麺を茹でるときも、そうめんを茹でるときも活躍してくれます。
これでもう、伸びてブヨブヨになった麺をすするなんて悲しい思いからは、おさらばできますよ。
陸上競技のタイム計測
クロノグラフは、タイマーとして使うだけではありません。
他にもさまざま便利な機能があるのです。
それが、陸上競技などのスポーツ。
ラップタイムなどの計測をするのに、とても便利なのがクロノグラフの大きな特徴の1つでもあります。
競技する選手がスタートしたら、クロノグラフのスタートボタンをプッシュしましょう。
そして、選手がトラックを一周した時点でストップボタンを押してください。
そうすれば、2本あるクロノグラフ針のうち1本だけがストップします。
このストップした場所が、1周目のタイムとなります。
しかし、もう1本は動いたままです。
まだ走り続けている選手のタイムを追いかけています。
1周目のタイムを記録したあとに、再スタートすると、止まっていた針は動いている針に追いつき、計測を開始してくれます。
このスプリットセコンド機能は、クロノグラフの中でも、とても複雑な機能と言われていますが、計測する機会が多い人たちには、とても重宝される機能でもあるのです。
平均時速の割り出し
クロノグラフの機能を使えば、車の平均時速を計測することや、商品の1時間あたりの生産個数などを算出することも可能です。
それが可能なのは、クロノグラフのダイヤルやベゼルにあるタキメーターのおかげです。
1時間あたりの生産個数を算出するときの計測方法は、まず1個あたりの商品生産時間を計測します。
仮に1個の商品を生産するのに、50秒かかったとしましょう。
そのときのクロノグラフ針が刺すタキメーターの数値は、70。
この70という数値が1時間あたりの生産個数ということになるのです。
では、次に平均時速の算出方法をご紹介しましょう。
まずは、こちらも1km走行した際の時間を計測してください。
このときの時間が、40秒とします。
すると、クロノグラフ秒針はタキメーターの90を指しています。
つまり、このときの平均時速は90kmということになるのです。
このように、タキメーターを使うことで、さまざまなものを算出することが可能となります。
しかし、いずれの場合も、60秒以内の測定のときに限られますのでご注意を。
スピーチ時間の計測
弁論大会や演説など、さまざまな場面でスピーチをする機会も訪れることでしょう。
そのときに気になってくるのが、スピーチの制限時間です。
どんなスピーチでも、この時間内に納めてくださいという時間があります。
原稿の長さだけ見ると、じゅうぶんに制限時間内だけど緊張や興奮でつい長くなってしまったり、逆に予定より大幅に早く終わってしまったすることもあります。
そんなトラブルを避けるためには、しっかりとした練習が必要となってくるでしょう。
そのときに便利なのが、やはりクロノグラフ。
スピーチを開始した時点でスタートボタンを押せば、スピーチの全体時間を把握することが可能です。
第三者にスタートボタンを押してもらい、制限時間がきたところでストップを押してもらうと、原稿のどの時点で時間がすぎてしまうのかという目安にもなります。
弁論大会などだけでなく、結婚式の挨拶や、会議などのプレゼンを練習するときにも、この機能はきっと役に立つことでしょう。
サッカーの時間計測
サッカーというのは、試合の途中で起こったアクシデントなどで試合がストップしてしまうことが、よくあります。
そんないわゆるロスタイムが発生してしまうサッカーの試合において、このクロノグラフは、やはりしっかりと機能を発揮してくれるのです。
まず、試合がスタートしたときに、クロノグラフのスタートボタンを押してください。
このとき、クロノグラフは試合時間の計測をはじめてくれます。
そして、試合中に選手の交代や、タイムなど試合が一時ストップしてしまったら、そのときクロノグラフのストップボタンも押してください。
試合が再スタートしたら、クロノグラフもスタートボタンを押して、リスタート。
このように計測をしていけば、サッカーの純粋な試合時間だけを計測することも可能となってくるのです。
通話時間の計測
電話をしていると、ついついいつも長電話になってしまって、気が付けば驚くほどの時間が経過してしまっている。なんてことないでしょうか。
長電話を防止したい、気をつけたい。
そんな人にもクロノグラフがおすすめです。
電話をかけたとき、電話を受けたとき、それぞれのときにクロノグラフのスタートボタンを押してください。
これで、目に見えて通話をはじめてどれくらいの時間がたったのかということを知ることができます。
通話していた時間は、電話を切ったあとに携帯に表示されたりもしますが、それは電話が終了するまで知ることができないもの。
しかし、クロノグラフで計測すれば、通話中にも今、どれくらいの時間通話しているのかということを判断することができます。
このように、目に見える形で時間を表示されることで、長電話の防止にもつながりますよ。
絶対時間の訓練
絶対音感、という言葉を聞いたことがある人は、多いのではないでしょうか。
音を聞くだけで、それが音階となって判断できるという能力ですが、時間にも絶対時間というものがあるようです。
それが、時計を見なくても「今、何分たった」と判断できる能力なのだそう。
実はその絶対時間は、訓練によって身に付けることもできるようです。
まずは、クロノグラフのスタートを押しましょう。
そして、「1分たった!」と思ったときに、ストップボタンを押してください。
自分が感じた「1分」と、実際の時間がどれほどズレているのか見ることができます。
最初は、このズレが大きいものですが、訓練していくうちにだんだんとその差異は縮まってきます。
計測する時間も、徐々に2分、3分と伸ばしていくことで、あなたの絶対時間もしっかり訓練されていきますよ。
クロノグラフを後世に残した立役者ETA
機械式腕時計と言えば、ETAではないでしょうか。
ETAの力なくして、現在の機械式腕時計のことを語るということは、とうていできないものなのです。
なぜなら、生産されている機械式腕時計の多くがETAと深い関わりを持っているからです。
これほどまで多くの機械式腕時計と、関わりを持っているのはETAを置いて、他にはありません。
スイス製のムーブメントに供給している量は、なんとETAがその全体の8割を占めているのです。
スイス時計界の土台を支えているのは、ETAであると言ってもいいのではないでしょうか。
ではなぜ、ETAがこれほどまでに多くのシェアを占めるようになったのでしょうか。
20世紀のヨーロッパ経済には、さまざまなことがありました。
そんな紆余曲折を経たヨーロッパ経済の中でも、ETAにはうまく乗り越えていく先見の明があったのです。
ETAは1856年に創業した、老舗のムーブメント・メーカーです。
そんなETAは、1926年に同じく老舗のムーブメント・メーカーである、フォンテンメロン社やア・シールド社とともに、乱立気味だったスイス・ムーブメントメーカーの再編を断行していきました。
エボージュSA(連合)を組織していったのです。
その際に、採用したのが近代的な生産システムです。
そのシステムというのは、生産ラインに互換性を持たせるためにキャリバーの種類を絞り、均一的な生産を量産可能にしていくというものでした。
世界恐慌や大戦などが起こりましたが、それを乗り越え、エボージュSAは17ものムーブメントメーカーを参加に収め、スイス時計産業の中核を担う存在にまで成長をしていったのです。
その傘下に入った17社の中には、名門と呼ばれるメーカーも多くありました。
高性能のクロノグラフで一躍時計界の表舞台に登場し、オールドムーブメント搭載モデルで再び注目を浴びている古の名機ヴィーナス。
デイトナの手巻き時代で忘れてはならない存在のバルジュー。
そんな傑作クロノグラフの世界では、欠かせないメーカーがエボージュSAに名前を連ねたのです。
しかし、1960年代末あのクォーツが登場しました。
このクォーツの登場により、再びスイスの時計製造産業は大きな危機にさらされるのです。
クォーツ時計の波は大きく、機械式ムーブメントはもはや風前の灯火。
その存在自体も消えていくのではないかと、危ぶまれた時期もありました。
しかし、ETAの先見の明はここでも冴え渡ります。
これまで創業時からずっと連合形態で進めていきましたが、70年代の後半に入るとETAが単独で主導するような形へと再編をしていったのです。
さらにクォーツムーブメントメーカーすらも、その傘下に収めながら、1983年になると、エボージュSAはとうとうETAの名前のもとに統合をされるのです。
それと同時に、頭角をあらわしてきた日本のメーカーに対抗するべくして、組織化されたスイス時計関連会社の共同体SMHの中で機械部門として現在に至っています。
それからのETAは、まさに機械式時計復興の歴史でもありました。
ですが、あまりにも戦略に長け、クォーツ部門を含めるとおよそ600社という多くの供給先を抱え、年間にすると1億個ともなる生産量から汎用のイメージがついてまわります。
しかし、ETAは20世紀から続く機械式腕時計やクロノグラフを後世に残した、最大の功労者であると言って、過言ではないでしょう。