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バカラエンパイアとは?!
バカラのエンパイアは、ナポレオン(注1)の築いた壮大な王国をイメージして作られたシリーズです。
荘厳な質感を持つエンパイアの製品を見れば、そこにある華麗な哲学を理解する事ができるでしょう。
バカラは、1841年からガラスの制作が行われている企業ですが、エンパイアコレクションは、その中でも最も古いシリーズであり、バカラを象徴するかのような優れた出来栄えをもっています。
バカラと言えば、優れたデザインを持つアルクールが有名ですが、このエンパイアは、そのアルクールに金彩を施したシリーズであり、とても豪華で華やかな仕上がりとなっています。
※ベースとなるアルクールのグラス
エンパイアの魅力
バカラのアルクールのグラスは、それだけでも高い完成度を誇り、そこに用いられているガラスのカット技法などは巧緻を極めています。
アルクールのグラスは、ただ眺めているだけでも美しいのですが、エンパイアは、そこにさらなる美を見出そうと挑戦した野心的なシリーズです。
エンパイアの特徴である金彩は、グラスの側面や縁、台座部分に施されており、軽やかなタッチで描かれています。
そして、それが絶妙な美を作り出しており、そこに、見る者を魅了する美しさが表れています。
このエンパイアの金彩は、アンピール様式(注2)と呼ばれており、そこにある独特の美しさは、大変人気があります。
アンピール様式とは、1804~1814年頃のナポレオンの時代に流行した装飾様式であり、食器などの他にも、建築、家具、絵画、彫刻などを含めた装飾様式を指しています。
文様の構造としては、ギリシャやローマ時代の装飾様式に類似しており、全体的には、金彩を施した製品が多い点が特徴です。
アンピールの文様は、バカラの他にも、様々な工房で用いられており、どこかナポレオンの華やかさを思わせる雰囲気があります。
それでいて、今見ても色褪せる事のない、美しさと魅力を有しており、それがバカラのグラスに施される事によって、より華やかな美を演出しているという事ができるでしょう。
エンパイアコレクションは、1917年からローマ教皇の別荘でも使用されており、製品の完成度と人気の高さが有名なシリーズです。
透明感のあるクリスタルと、華やかな金彩の対比はどこまでも美しく、これはエンパイアの魅力のひとつです。
ガラスのもつ清らかさと、金彩のもつ豪華さ、正反対の性質のものを一緒にしてバランスよく仕上げたエンパイアの美は、バカラの職人にしか成し遂げる事のできない優れた技術によって作られています。
アルクールの持つ美をさらに発展させる事に成功したエンパイアには、他のシリーズにはない優れた性質が表れているという事ができるでしょう。
(注1)ナポレオン:1769~1821年。フランス皇帝として有名。現在の我々の概念である実力主義、法の下での平等、財産権といった概念は、ナポレオンの考えが元になっている。現在の西ヨーロッパの半分近くを領土にする大帝国を作り上げた。
(注2)アンピール様式:帝政様式とも呼ばれる。これは、ナポレオン1世のフランス帝政時代に始まったモデルである事から、そのように名付けられている。同シリーズは、イギリスではアダム・スタイル、フランスではルイ16世様式とも呼ばれる。