ヘレンド

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      ヘレンドの歴史と魅力


      マイセンとかウェッジウッドのことなら知ってるんだけど、ヘレンドって言われると

      『う〜ん、あの花が描かれてるブランドかなぁ?でも他のブランドもそうだし・・・』

      そういった感じで、ヘレンドって名前は知ってるんだけど、そもそもどこで作られているものなんだっけ?
      どんなモデルがあるんだっけ?

      ってのはあんまり知らないと思うんですよね。

      ということで、この記事では、ヘレンドの歴史とヘレンドのおすすめモデル5選、そしてサインについてお話をして参ります。


      目次はこのようになっております。


      1.ヘレンド創業時の話
      2.モデル名 ヴィクトリア誕生の秘話
      3.モデル名 ロスチャイルドバード誕生の秘話
      4.モデル名 アウガルテンからヘレンドへウィーンの薔薇の以降
      5.モデル名 アポニーグリーンの誕生秘話
      6.モデル名 トゥッピーニの誕生秘話
      7.このサインってどういう意味なの?1級品から3級品まで
      8.まとめ

      それでは、早速やってまいりましょう。

       

      ヘレンドの歴史

      時は遡ること1862年。場所はハンガリーになります。

      ハンガリーの首都は、『ブダペスト』ってとこなんですよね。

      そのブダペストから、120キロくらい離れたところにヘレンド村って所があるんですね。

      そのヘレンド村で、1826年にヴィンツェンツって方が創業開始したことによって、ヘレンドというブランドが誕生します。


      しかし、このヴィンツェンツさんはどちらかというと技術者寄りで、ヘレンドという会社を起動に載せたのは、2代目のモールフィッシャーって方なんですね。

      ヘレンド創業者 モール・フィッシャー

       

      ロンドン万博でヴィクトリア女王に認められる

      ヘレンド ヴィクトリア ティーセット

      このモールフィッシャーさんの、功績は色々あります。

      1851年、この時にロンドン万博が開催されました。

      この万博でどんなものを出したかと言いますと、牡丹の花と、蝶々が描かれていたカップ&ソーサーやプレートを出していました。

      そして、この模様は何かって言いますと、シノワズリ様式だったんですね。

      そのシノワズリ様式を模倣して、作った作品をロンドンの万博に出していたということなんです。

      そんな時に転機が訪れます。

      ヴィクトリア女王は、この絵柄を気に入りウィンザー城で使うための一式セットを注文したのです。

      元々こちらのデザインには、モデル名は存在しなかったのですが、このようにヴィクトリア女王が大量注文したことから、ヴィクトリアというモデル名が与えられました。

       

       

      ヘレンドの出世作であり1つ目の功績が認められるということなんですね。

      元々はこのデザインには、モデル名がなかったのですが、ビクトリア女王が大量発注したということで、ビクトリアという名前になったわけですね。



      ロスチャイルドバードの誕生秘話

      ヘレンド 炉スチャイルドバードのカップ&ソーサー

      そこから9年後の1860年、ロスチャイルドバードを作ります。

      この作品の名前の由来なのですが、ロスチャイルド家に向けて作られたものであるために、ロスチャイルドバードと名付けられました。

      そして、このロスチャイルドバードには秘話があります。

      ロスチャイルドバードってのは、2匹のが描かれているわけですよ。


      そして、よ〜く見たらこの枝の部材にネックレスが引っ掛けてあるんですね。

      ヘレンド ロスチャイルドバードの構図 枝にネックレスが引っ掛けてあるところ

      これは逸話がありまして、ビクトリア女王のネックレスがある日突然無くなったらしいです。

      「あら、私のネックレス、無くなっているじゃない。どこへ行っちゃったのかしら。
      あら~、あそこの小鳥さんが私のネックレス持っていっちゃってる。

      しかも、小鳥さんがあそこの枝に引っかけてる。」

      あの枝にぶら下がってる、ネックレスにはそういった意味が込められてると言われています。



      ウィーン窯のウィンナーローズをウィーンの薔薇として継承へ

      ヘレンド ウィーンの薔薇のカップ&ソーサー
      突然ですが、ここで話はハンガリーを統治していた、オーストリアに移ります。


      1864年、この時にウィーン窯が財政難から休止モードに入ります。

      このウィーン窯が何かって言いますと、オーストリアがありますよね。

      そのオーストリアの、専属窯だったんですよ。

      アウガルテンってブランドがあるんですが、日本ではあまり知られてないんですがそれはウィーン窯のことなんですよね。

      ウィーン窯(アウガルテン)についてはこちらの動画をご覧ください↓



      そして、その窯をヘレンド引き継ぐという流れになります。

      この時に、アウガルテンで作っていたウィーンのバラっていうモデルがあったんですが、このウィーンの薔薇ってのは、ハプスブルク家だけが使うことができるディナーセットでした。

      だから、この薔薇ってのはこのハプスブルク家のシンボルだったんですね。

      このウィーンの薔薇というのも、1918年のハプスブルク家が、終焉してしまうまで、本当に一切外には出てこない、一般市民には、公開されなかったモデルというふうに言われてるわけなんですね。

      そのモデルも、ウィーンの窯からヘレンドに移行して、ヘレンドがそのままウィーンの薔薇を継承していった。

      という流れがあるわけなんですね。

      だから、ヘレンドとそっくりなアウガルテンの『ウィーンの薔薇』というのが存在するんです。

      インドの華の裏話

      ヘレンド インドの花のティーセット
      1867年にフランスでパリ万博が開催されます。

      この時のフランスのパリを仕切っていたのは、あのナポレオン3世ですね。

      ナポレオン3世の妃(きさき)である、ウジェニー氏という方が、ヘレンドの作品に注目します。

      その時にヘレンドは何を出してたのかと言いますと、インドの花ってのを出しており、ウジェニーさんがインドの花を非常に気に入ったことで大型の発注が舞い込みます。

      このように、ヘレンドは各国の重要人物からも一目置かれるブランドへ成長していくことになります。

      アポニーグリーンの誕生秘話

      ヘレンド アポニーグリーンのティーセット

      その次、1860年代後半なんですけども、アポニーグリーンが生み出されます。

      アポニー伯爵という方がいました。

      このアポニー伯爵もインドの花が好きで、ヘレンド社に注文を出したのですが

      アポニーさんが望む納期に間に合わせることができない、ということでインドの花よりももっと簡単な絵付けのものでしたら大丈夫ですよ。

      ということで、インドの花の絵付けを簡素化させたデザインが採用されたのですが、このセットを持ってアポニー伯爵のところへ伺うと凄く気に入ってくれて、ここでこのデザインアポニーグリーンという名前がつけらたのでした。

      ヘレンド アポニーグリーンのプレート

      豆智市域なのですが、アポニーグリーンというのはペインターの遊び心が入っていて、上の画像ではフチに6個の花が描かれているのが、わかると思います。


      この花は、よくよく見ていくと全部違うお花なんですね。

      ヘレンド アポニーグリーン 華のパターン

      これはカップにも反映されていて、カップのメインはいつもの花なのですが、裏側はこの6個のパターンの花が、このカップにはこのお花、このカップにはこのお花…みたいな感じで、1個1個違うお花が描かれております。

       

      トゥッピー二の誕生秘話

      ヘレンド トゥッピー二のティーセット


      次の代表作なのですが、1870年、トゥッピーニというモデルが完成します。

      このトゥッピー二は、ヘレンドの中でも最上級ラインであり何がすごいかというと、4回の絵付けを経て4回の焼成を行います。


      こういった非常に根気のいる、技術力の必要な仕事、だからこそこトゥッピー二は非常に高額で取引されております。

      絵付けに手間がかかって作られてますからね。


      このトゥッピー二で描かれているものってのは何かと言いますと、赤い三角がありますよね。
      トゥッピー二の角笛
      この三角は、山羊の角が描かれているらしいです。

      その中に入っているこの赤い部分がエカイユ模様って言って、ウロコ紋様のことですね。

      そして、この山羊の角のことをCornucopia(コンコピア)という風に言われているらしいです。

      『宝庫』とか『宝物』とかそういった意味があるらしいです。

      日本でいう、縁起物みたいなところでしょうか。

      どこに向けて作られたのかって言いますと、ペルシャ王室に向けて献上の目的で作られていたものだというふうに言われています。

      そのペルシャ王室が、トゥッピーニ家だったのですが、その人たちがこの模様を気に入って愛用したことによって、トゥッピー二という名前になりました。

       


      職業訓練学校の創設

      1875年、職業訓練学校を作りマスター制度を作ります。

      マスター制度ってどういうものかと言いますと、ヨーロッパの風景をこれぐらいの技術力で描けるようにしてくださいとか、シノワズリの絵柄はこういうふうな傾向があって、こういうふうに描いてくださいとか。

      そういったマスター制度っていうのを作ることによって、一定ラインから上の人しか、絵付けをできないというふうになっているんですね。

      整形の部分は機械を導入していますが、ヘレンドは今も全部一個一個、マスターの資格を持つ職人がハンドペイントで絵付けをしています。


      だから、ヘレンドというのは今も強いですし、量産されるようになったとはいえ、絵付けをするのは、まだまだ職人さんがやっている非常に優秀なブランドだと言えるのです。

       

      ヘレンドのサインについて理解しよう


      最後にサインについてなんですけども、今私たちが一番見ているヘレンドのサインってこのサインと思うんですね。

      このサインに、二本線が入っているのがあるじゃないですか。


      この二本線が入っていることによって、2級品ですよというところを表しているんですね。

      本来の絵付けであれば、ここはこの色で絵付けをしなきゃいけないんだけど、ちょっと違う色になっちゃっているよね。

      とか釉薬はここに緊密に塗らないといけないけど、ちょっと段差があるよねとか、そういったところですね。

      実際のところ、素人目で見てもその判別ってほとんど違いが分からないんですが、そういう2級品とかを出してる会社ってのは、一級品との品質を明確に区別するためのものなんですよね。


      そして今ご覧になってるサインなのですが、これも何かヘレンドって書いてある。

      でも、何かこれってさ、明らかに偽物チックっぽくない?

      っていうサインだと思うんですよね。

      これはどんなサインなのかと言いますと、職業訓練学校の生徒が絵付けしました。

      というサインなんですよ。

      だからレジとかに行って時々、研修生みたいな名札をつけてこう、ピッ…ってしている人がいるじゃないですか。

      あんな感じなんですよ。

      職業訓練の人が絵付けをしたこの商品は、このサインを入れていますよ。

      ということでこのサインが入っているんですね。

      だから一応、ヘレンドです。ただ、研修生です。ということなんですね。

      次、今ご覧になられてるサインなんですけども、TERTIAって書いてるじゃないですか。

      まあTERTIAと読むかわからないですけどね。これはラテン語で第3のという意味らしいんですよ。

      だから、TERTIAと書かれていることによって3級品ですよってところを証明してるんですよね。

      ですので、このサインは2級品で、これが研修生が書いて、これが3級品かというところはわかると思うんですね。

      3級品なら3本線でいいのでは、って私は思うんですが多分最初にTERTIAでやってしまったから、今更変更できないんでしょうね。

      ちなみに、この刻印なのですが、彫ってあるサインもあるんですね。

      ヘレンドって彫ってあるサインが今ここに出てると思うんですけど、これは基本的には2級品と一緒のサインの横に入っていることが多いです。

      そういったことがわかることによって、「あの、実際これ、自分が予想した商品と違うんだけど…」そういったところは回避できるかと思います。