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クロノグラフ腕時計 ユニバーサル・ジュネーブ UNIVERSAL GENEVEの歴史
ユニバーサル・ジュネーブは、1894年1月18日にNuma Emilie DescombesとUlysse Geroges Perretが、時計産業が盛んだったスイスのジュラ山脈のふもとの町にコンプリケーションウォッチの会社を設立した時から始まります。最初の社名は、創業者2名の名前をとって「Descombes&Perret」でした。同年、彼らは24時間表示の時計で特許を取得します。しかし3年後の1897年7月、創業者の一人であるNuma-Emile Descombesが34歳の若さで亡くなってしまい、Louis-Edouard Berthoudという人物が新たに共同経営者となります。
コンプールとコンパックス
1898年、同社はクロノグラフと30分レコーダー付きの高品質な腕時計を製作し、「ユニバーサル・ウォッチ」というブランド名で、ヨーロッパと南北アメリカにおいて高い評価を得ました。1919年には本社をジュネーブに移転し、腕時計の自動巻きシステムの研究を始めます。1925年、スプリングバッファを備えた回転錘をもつ自動巻きシステム「Auto-Rem」が完成しました。1933年8月にGeroges Perretが亡くなると、彼の息子のRaoulが経営権を握り、新たな投資家たちの支援を受けて、翌年には会社名が「ユニバーサル・ウォッチ・カンパニー・ジェネーブ(Universal Watch Co Ltd.Genève)」に変更されました。同年、2つのプッシュボタンを持つ最初のクロノグラフ腕時計「コンプール」を発表し、その後すぐに、世界初の12時間レジスターを追加したクロノグラフ「コンパックス」を誕生させます。
1937年に「ユニバーサル・ジュネーブ」というブランドを商標登録し、新たなロゴが導入されました。世界的な経済不況にもかかわらず、モデル「コンプール」と「コンパックス」は大成功し、ジュネーブの工場は需要に追い付かなくなります。その結果、1941年にPont-de-Martelに新たなクロノグラフの工場がオープンし、1944年には会社の創立50周年を記念して、有名な「トリ・コンパックス」モデルが発表されました。30分積算計と12時間積算計を持つクロノグラフに加え、月、日、曜日、ムーンフェイズを装備したこの時計は、20世紀最大の商業的成功を収めます。
キャリバーの開発
1947年3月にLouis-Edouard Berthoudが亡くなり、その翌年には単方向巻きの回転錘を備えた新しい精密自動巻きムーブメント、キャリバー138が導入されます。1954年4月にはジュネーブで新たな工場が開設され、キャリバー138を搭載したモデル「ポールルーター」が発表されます。この時計は強力な磁場に耐えることで、スカンジナビア航空が初めて北極を超えてヨーロッパ-米国間を飛行したときに、クルー全員に使用されました。翌1955年3月、ユニバーサル社は新たに小型化したローターを自動巻きムーブメントに組み込んだ「マイクローター」ことキャリバー215を開発し、特許を取得します。第2世代のポールルーターは当時最も薄い自動巻きムーブメントとなり、その後10年間、より薄いムーブメントの開発は目覚ましい進歩を遂げました。1966年4月、「ゴールデン・シャドウ」というモデルが発表されます。これはジェラルド・ジェンタ(Gerald Genta)によって設計されたキャリバー66と67を搭載しており、厚みはわずか2.5mmでした。
時代が前後しますが、1962年、ねじり振動子を備えた最初の電気時計が、Movado社との共同開発によって誕生します。その後、Bulova社とのコラボレーションによって1968年に「チューニング・ユニソニック」という電気時計が発表されます。1975年には、世界で最も薄いアナログ・クォーツムーブメント(キャリバー74)を発表し、当時の日本製クォーツ時計に対抗しました。
高い品質と伝統
最初のクロノグラフ腕時計以来、ユニバーサル社は高い品質とクラシックな風合いを組み合わせることに情熱を注いできました。著名人たちにも多くのファンがいます。アラブ諸国の族長や大臣たちは、豪華なカスタムメイドの時計を注文しています。絶妙なエナメルダイヤルを持つ金の時計は今でもとても人気があります。20世紀の最も有名な腕時計デザイナーの一人であるジェラルド・ジェンタは、1954年に「ポールルーター」、1966年に「ゴールデン・シャドー」をデザインしましたが、 この2つの時計はニューヨークダイヤモンド賞やバーデンバーデンのゴールデンローズ、ヴィル・ドゥ・ジュネーブでのグランプリ、チッタ・ディ・バシリア賞、そして 1964年にはスイス国際博覧会で1位を獲得しています。
ユニバーサル社は長い間、創業者の血縁による経営を続けていましたが、1986年にレナード・オールドマンという人物が新たな社長に任命されました。その後1988年には本社をジュネーブに移し、会社のロゴも現在のデザインに変わります。スイスの時計産業を襲った長期的な不景気の後、ユニバーサル社は香港のSteluxホールディンググループに買収されます。本社は何度か移転しましたが、現在はジュネーブ・アカシアという場所に落ち着き、品質と伝統にフォーカスした時計を生産しています。コレクションのいくつかは、同社の長い歴史において最も魅力的であった「レトロ・デザイン」を参考にしています。ユニバーサル社にとって、長い伝統を守りながら新しい世代のモデルを製作することは今後の目的であるでしょう。
<年表>
1894年 Numa Emilie DescombesとUlysse Geroges PerretによりDescombes&Perret社が設立
1898年 「ユニバーサル・ウォッチ」ブランドを商標登録
1919年 本社をジュネーブに移転
1925年 自動巻システム「Auto-Rem」を開発し、自動巻き腕時計で2つの国際特許を取得
1927年‐1929年 カブリオレットモデルと、8日間パワーリザーブをもつ腕時計を発表
1934年 2つのプッシュボタンをもつクロノグラフ腕時計「コンプール」を製作。初めて使われたムーブメントには2つのコラムホイールが使用される
1935年 12時間積算計と30分積算計を搭載したクロノグラフ腕時計「コンパックス」を発表
1936年 45分積算計を搭載したユニ・コンパックスを発表
1937年 社名をユニバーサル・ウォッチからユニバーサル・ジュネーブに変更。新しいロゴが導入される。また、女性用の最も小さいクロノグラフ腕時計を製作
1940年 12時の位置に、時針と分針を備えた4つめのサブダイヤルを持つエアロ・コンパックスを発表(9時の位置に追加したクラウンで操作する)
1943年 9時の位置に秒針、3時の位置に日付、12時の位置に曜日、6時の位置に月を表示したカレンダーウォッチを発表
1944年 創立50周年を記念したトリ・コンパックスを発表。
1948年 自動巻きムーブメント・キャリバー138を発表
1954年‐1955年 ポールルーターを発表。スカンジナビア航空の北極横断飛行に使用される。
1955年 ムーブメントに回転錘を一体化させた、新しい自動巻きムーブメント「キャリバー215」を発表
1963年 バーゼル見本市にて、レイルルーターとポールルーターの電気モデルを発表
1966年 ゴールデン・シャドウを発表。
1968年 音叉型周波数調整器付き腕時計のチューニング・ユニソニックを発表
1975年 バーゼル見本市にて、世界で最も薄いアナログ表示・クォーツ駆動ムーブメントのキャリバー74を発表
1994年 創立100周年を記念し、カブリオレモデルに着想を得たヤヌスモデルを発表
2005年 2つの新しいコレクションを発表。Okeanos (男性用)と Anthea (女性用)
2007年 バーゼル見本市にて、3つの新しい男性用スチール製腕時計を発表
・マイクローターUG101(自動巻きムーブメント搭載)
・ユニタイマー(2つのカウンターを持つクロノグラフ、キャリバーUG71.5搭載)
・タイマークロノグラフ(3つのカウンターを持つキャリバーUG71.6搭載)
女性用には、46面と132面のブリリアントカット・ダイヤモンドがついたジュエリーモデルのスチール製腕時計を発表
2008年 初めてのリバーシブル腕時計カブリオレット(1928年に発表)に着想を得たマイクローター・カブリオレットを発表。マイクローターUG101というムーブメントを搭載。