アンティークに魅せられて
アンティークと聞くと少し古ぼけたレトロでお洒落なイメージを持つ人が多いと思いますが、本来「アンティーク」というのは、歴史的な価値や芸術的価値がある骨董品のことをさしています。
たくさんのアンティーク製品を扱っていると、いかに貴重で素晴らしいものであるかを毎日のように感じることができます。
愛着を持たずにいられないと言えばいいでしょうか。
アンティークの素晴らしさ、なぜアンティークに魅せられるのか伝われば幸いです。また多くの人に、アンティークの面白さと価値を知っていただきたいと思います。
※エミール・ガレ フレンチカメオのガラス花瓶
アンティークの6つの魅力
1 当時の歴史や文化を垣間見る
当然ながら、現在ではアンティークと呼ばれるものが作られた時は普通にその製品は人々に使われていました。
例えばクリストフルのシルバーカトラリーは、当時の人々の食卓で実際に磨き上げられ、使用されてきたものですし、エインズレイのコーヒーカップも上流階級の人々がティータイムを楽しんでいた際にそのテーブルの上を華やかに彩っていました。
またアンティークランプは、人々の生活に明かりを灯し毎日の暮らしを見守ってきました。ランプの下でどんな生活がおくられてきたのか、ランプにしかわかりません。
使っていた人々の生活に密着し、歴史や文化をそのままの形で伝えてくれるのがアンティークなのです。
※クリストフルシルバーカトラリー
2 懐かしさを感じさせる見た目と手触り
アンティーク製品を手に取るとなぜか懐かしい、ほっとするような安堵感を感じることがあります。
アンティークと呼ばれるからにはそれなにの時を経て愛されてきた品々ということですから、あるものは磨かれ、あるものは飾られ、そしてあるものは修復されながら現在に残されてきたものばかりです。
その製品を大切にしたい、と思わせる魅力が永い時を越えて現在に残ってきたのです。
たくさんのアンティークを扱う中で、大切にされてきたものを手に取るとやはり見た目にも手触りにも引き込まれてしまうものと、多々出会えることがありアンティーク製品の奥深さを感じるばかりです。
どんな人がこの製品を手にして、どんな時に使っていたのだろうと思いを馳せるのもアンティークならではの面白さです。
3 機械ではできない繊細な手仕事の技
現在は、オートメーション化され同じものがいくつでも量産できるとても便利で合理的な時代です。
精度のよいものがいくらでも作ることができるのですが、アンティークというのはそうはいきません。
量産するにも手作業のため限度があり、人の手によるものですからまったく同じものを大量に生産することは困難であり相当な技術を要しました。
技術の伝承だけではなく、素材の調達までが今とは比べ物にならないほどの労力が必要とされた時代です。
カトラリーを並べると、細かな細工が施されていますがどれも素晴らしい出来栄えばかりです。
なめらかな曲線に手にしっくりと馴染む手触りは、当時の職人たちが何度も何度も手を通し形にしてきたからこそのものです。
王室に愛されてきたロイヤルウースターのカップ&ソーサーに至っては、描かれた絵の繊細さは機械では到底だせない繊細さです。
部屋のディスプレイとしても活躍してくれます。
使うだけではなく、見るだけでも価値を感じさせてくれるアンティーク。
当時の職人の手仕事の素晴らしさを自分のものにできる贅沢をアンティークは味あわせてくれます。
※ロイヤルウースター カップ&ソーサー1926年
4 1点1点が、唯一無二の存在
量産できないという点で、アンティークの多くは1点1点が唯一無二の存在であると言えます。
同じ形をしていても、機械で作られたわけではありませんからそれぞれに人の手が1点1点に加えられています。
手作業だからこそ寸分の狂いも許さない職人たちの渾身の作品が現在も愛され残されてきているのです。
イタリアのベネチアングラスに至っては、職人の手ほどきがそのままガラスの模様となりどれひとつとしてまったく同じものはありません。
それでいて一定の品質を保っていなければ世に送り出されることがないのですから、手に取る者にとっても高い品質のものだけが残るわけです。
手にしたアンティークのカトラリーやグラスなどを使う時のワクワク感、他の人が持っていないものを持てる満足感は心を豊かにし、時として持つ人の生活スタイルまでかえることがあります。
※ベネチアングラス ミルフィオリペーパーウェイト
5 骨董としての価値を探しあてる喜び
アンティークっぽいもの、古めかしいものならなんでもアンティークというわけではありません。
アンティーク風のものは溢れかえっていますが、その中でも骨董として価値のあるものを探し当てた時の喜びというのはひとしおです。
海外では当然のことのように、次の世代へと様々なものが継承され、またリノベーションという言葉も耳に新しいですが古い部分を修正してまた使えるようにするなど、1つの製品を大切にそして永く扱っていく文化があります。
そんな中で生まれてきたアンティークには、人々の想いが詰まっています。
扱うアンティークにはどれも愛着がありますが、その保存状態や貴重さを備えた品に出会えた時には、やはりアンティークを取り扱っていることに誇りを感じずにはいられません。
当店でアンティークを購入してくださったお客様からの、商品を賞賛してくださるお声にいつも喜びを隠しきれません。
※マイセン人形 1860~80年代
6 次の世代へと継承できるアンティーク
永い年月を越え、大切にされてきたアンティークはこれまでにそれぞれの場所で継承され続けてきたものばかりです。
遺品として受け継がれるものもあれば、結婚や出産などのお祝い事の際に受け継がれたものなどどれもが次の世代へと手渡されてきたものです。
子へ孫へと何十年も人の手によって慈しまれてきたアンティークにそれなりの評価と価値が生まれて当然と言えるでしょう。
またアンティークの支えとなっているブランド力というものもあります。
ウェッジウッドやバカラ、マイセン、ミントンなど誰もが耳にしたことがあるブランド名。
これだけ永く愛され、その品質をかえることなく継承されてきたブランドにはそれを裏付けるだけの歴史があります。
なぜ王室御用達になれたのか、なぜ生まれた赤ちゃんにシルバーを贈るのかなどアンティークには時代背景がかならずつきものです。
当時の人々の生活や文化を知ることとあわせて、時にはそのブランドの歴史を知ることもアンティークの面白さでもあります。
※エミールガレテーブルランプ
アンティークを取り扱う幸せ
難しく考えずとも、結局のところアンティークに魅せられ、アンティークが好きでたまらないということにつきます。アンティークはその1点1点がまさに出会いであると思います。
同じものが大量に入荷するということはありません。
アンティーク製品に刻まれた刻印を指でなぞりながらその質感を感じる時、慎重に取り扱いながらもしげしげと細部までを確認しています。
手間のかかる作業ですがこれまでのアンティークの歴史に比べればほんのわずかな時間でしかありません。
1点1点を確認しながらその歴史と文化を感じ、これからも大切にされるアンティークの永い歴史の一部に関われたことを幸せに思います。
またこれから受け継がれていくアンティークの橋渡しとして役立てることにも、醍醐味と面白さを感じています。
アンティークの魅力は奥が深く、飽きることがありません。
取り扱っているアンティークを手にしていただければ、多くの人にこの素晴らしさが伝わると確信をしています。