シノワズリ

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      シノワズリの歴史

       マイセン シノワズリ文様のカップ&ソーサー

      ※マイセン シノワズリ文様のカップ&ソーサー

       

      シノワズリ(chinoiserie)とはフランス語で「中国趣味」のことを言います。

      一般市民にとって世界旅行はほぼ不可能であった17、18世紀、はるかに遠く離れた国々のことを知るには、工芸品や口コミが頼りでした。

       

      この頃は貿易ルートが世界に広がり、人同士ではなく主に輸入品を通じて、様々な文化の交流が初めて行われるようになりました。

       

      ヨーロッパでは中国製品、特に陶器が流行に敏感な人たちの間では圧倒的な人気で、東アジア製品、中でも装飾美術品の爆発的な需要に拍車がかかりました。

       

      ヨーロッパの製造業者はこの大流行に乗じて、中国製品を模倣したデザインのものを生産するようになりました。

       

      そうした製品は、家具、織物から美術品にわたり、陶器や漆のような中国の原材料 ( あるいは模倣品 ) を使用していたことに加えて、西洋人の視点から非常に幻想的に描いた塔や竜、植物といった中国のモチーフを特徴としていました。

       

      シノワズリのデザインの特徴は、中国本来のデザインを尊重するのではなく、特にヨーロッパ人の好みに合うように作られていました。

      マイセン シノワズリ様式の花瓶
      ※マイセン シノワズリ様式の花瓶

       

      シノワズリの流行のきっかけ

      中国製品が輸入され、自然とその人気が高まる中、転機となったのは、ルイ14世が青と白のタイルで飾られたつの別邸「陶器のトリアノン」を1671年にベルサイユ宮殿の敷地内に建てたことでした。

       

      流行の火付け役であるルイ14世のシノワズリ好きは、中国風の服装も含めて、すぐにヨーロッパ中の宮中で広まり、シノワズリは18世紀の間大変な人気になりました。

      ところが、19世紀までにはシノワズリの人気はなくなりました。

       

      中国とイギリスのアヘン戦争の影響や、ジャポニズム ( 19世紀後半にヨーロッパで流行した日本趣味 ) 、エジプシャンリバイバル ( 古代エジプトの文様に影響を受けたデザイン 、ムーリッシュリバイバル ( 19世紀のエキゾチックな建築様式 のような、他の「異国風」な様式が人気となったためです。

       
      シノワズリのデザインの特徴

      17世紀から18世紀ころにかけて特に栄えた装飾のスタイルで、建築、インテリア、陶

      器など様々なものに使われてきました。


      17世紀には、静止画や陶器に多くシノワズリのスタイルがみられました。

      中国磁器

      白磁にコバルトブルーの中国磁器は、多くの高い身分の人々を魅了しました。


      18世紀にはいると、ロココ様式に共通する部分があったことから、シノワズリとロコ

      コ様式が融合し、さらに幅広いジャンルでシノワズリのスタイルが使われていくよう

      になります。

      家具や建物などにもシノワズリが取り入れられていきます。

      中国茶室

      ↑ ポツダム サンスーシ公園「中国茶室」

       

      シノワズリのスタイルを取り入れたデザイナーたちが好んで使うモチーフは主に10

      ほどのジャンルにわけることができます。

       

      シノワズリが描かれた飾り皿


      1,中国の衣装や帽子を身に着けた男女
      世界旅行をすることはまだとても珍しかった時代、ヨーロッパの人々が知っている「アジア人」はあまりにも少ない情報でイメージされていました。
        

      結果とてもミステリアスに見えたようです。

       

      フーマンチュー博士風ひげデザイン


      2,典型的な中国人のイメージのひげ面

      フーマンチュー博士風ひげの生えた男性の顔がよく描かれました。

       

      龍デザイン


      3,龍  
      歴史上の皇帝たちは龍の絵柄をとても好みました。

       

      多層の塔デザイン


      4,中国風の多層の塔
      アジア風の公園などによくつくられ、茶室とともに愛されたシノワズリの建築物です。

       

      アジア風庭園デザイン


      5,太鼓橋や柳などがある池泉庭園

       


      6,霧がかかった山や木々を配置した水辺の風景

       

      竹、鶴デザイン


      7,蓮や竹などのアジア風の植物

       

      漆塗りのタンス


      8,漆塗りの家具や装飾品

       

      白磁、コバルトブルー


      9,特に青と白で描かれた陶器

       

      漢字風デザイン


      10,漢字風の文字や記号、数字

      漢字のようでよく見ると違う、ヨーロッパの人から見た漢字の印象で書かれています。



      これらからわかるように、当時のヨーロッパの人々は、中国も日本もイメージをまったく区別できずにいました。


      海外旅行をする機会がほぼなかった当時の人々にとっては、東洋の異国情緒、その雰囲気がとても魅力的だったのです。



      そのほかにも、アジアの花やエキゾチックな鳥も多く描かれています。

      エキゾチックな花、鳥デザイン


      カラフルな鳥たちにアジア風な植物はいかにもなイメージで人々をひきつけました。


      獅子


      獅子もよくみられるシノワズリのモチーフの一つです。
      英語では、Foo Dogsと呼ばれ、邪気から守ってくれる守り神として愛されています。


      シノワズリデザインの家具には漆や、竹など、こちらもまたアジアを連想させるような素材が使われています。
      中国の透かし彫りもデザイナーたちがこぞって模倣しました。

       

      トーマス・チッペンデールのシノワズリの魅力


      そんなシノワズリの家具を貴族など高い身分の人たちが好んで取り入れたので、当時は専門の職人がいました。
      その中でも特に人気だったのが、トーマス・チッペンデールです。

       

      チャイニーズ・チッペンデール


      彼のシノワズリ家具は「チャイニーズ・チッペンデール」と呼ばれました。

      チッペンデールのシノワズリ家具は現在でも多くの人に愛されています。

       

      格子


      家具や建築物は直線が多く、幾何学模様が繰り返されてできるモチーフがとても人気でした。

      テーブルや食器棚など、様々なところに規則正しく美しく並んだ模様が組み込まれたデザインがとても好まれました。


      シノワズリのデザインの特徴として、非対称性、スクロールフォーム、そしてファンタジーに満ち溢れているということがあります。


      これらはロココ様式にも通じる特徴だといえます。

      ヨーロッパの人の心をつかんだ理由は、ここにもあるのかもしれません。


      アジアとヨーロッパのいいところが交じり合ったシノワズリは、時代を超えて現在も多くのファンがいます。


      和室にも洋室にも合わせられるシノワズリをぜひ生活の中に取り入れてみてはいかがでしょうか?