サンルイ(ST LOUIS)

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      歴史から継承された類のない美術性のクリスタルガラスメーカー:サンルイ(Saint Louis)

       
      サンルイ(Saint Louis)は1767年にフランス東部に位置する鉄鉱石が豊富なロレーヌ(Lorraine)のMünzthal(フランス語でSaint-Louis-lès-Bitche)に設立された世界で最も有名なクリスタルガラスメーカーの1つです。また、サンルイ(Saint Louis)はフランスで最も古いガラスメーカーであり、ヨーロッパ大陸の最初のクリスタルガラスメーカーでもあります。

      サンルイのシャンデリア


      1767年にルイ15世(Louis XV)はMünzthalに設立されたガラス工場に「サンルイロイヤルガラス工芸品(Saint-Louis Royal Glassworks)」という名前を付けました。15年後、クリスタルガラスの製造方法がFrançoisde Beaufortによって発見され、1781年にはヨーロッパ大陸で鉛のクリスタルガラス工芸品が普及されるようになりました。1829年以来、サンルイ(Saint Louis)社は独占的にクリスタルガラスの生産に専念し、1995年以来、サンルイはフランスのエルメス・グループの1つとなりました。

      レ・メイユール・ドゥ・フランス(Les Meilleurs Ouvriers de France)とはフランスで4年ごとに開催される権威のある職人コンテストであり、Saint-Louisでは、このコンテストに受賞した、熟練したガラスメーカーとガラスカッターによってクリスタルの工芸作品が造られています。彼らはすべての世代から世代に受け継がれた豊かで独自の専門知識と経験を活かし、熟練した技術に基づいて造っています。化学的および機械的プロセスの進歩により、サンルイは最も洗練されたパターンの彫刻と金の装飾で、着色、ホットシェイピング、そしてコールドカットクリスタルなど最も高度な技術を導入しました。

      サンルイの手書きデザイン



      フランスの劇作家、詩人、外交官でもあったポール・クローデル(Paul Claudel)は20世紀前半におけるフランス文学の最も重要な存在の一人であり、彼はかつてガラスを凝固された息と比喩し、クリスタル(水晶)は人間の魂の火花と表現したそうです。クリスタルガラスは、1781年にVerreries Royales de Saint-Louisのディレクター、フランソワ・ド・ブルボン(Françoisde Beaufort)によってフランスに初めて導入されました。ガラスのように、クリスタルはヴォージュ(Vosges)の土地と森林から生まれた自然の物質によりつくられ、また、火の揺りかごに鉛を入れることで、適度な重さ、輝きそして音の響きを付け加えることができたのです。これは鉛の含有量が上がるほど光の透明度や屈折率、そして比重が大きくなることで打音が澄んで余音もつことになるためです。また、もともとガラスは植物の灰の中の炭酸カリウムを砂の二酸化ケイ素と融解して得られ、この灰を集めて炭酸カリウムを抽出するのに大変な労力を要したとされていますが、今や化学的に製造されるようになりました。この混合物に金属酸化物を加えることによって着色された結晶を得ることができます:紫色には酸化ニッケル、Saint-Louis青色には酸化コバルト、ルビー赤色には塩化物を含む銅と金がそれぞれ使われています。

      古代の錬金術から継承されたこれらの結晶の着色プロセスは、今なお科学者たちもクリスタルガラスの組成と融合の改善のために研究テーマとして探究し続けています。現代の技術の発展により、電気とガスが炉の木と石炭に取って代わっていますが、サンルイ職人の仕事自体は事実上変わっていない程、クリスタルガラスは人間にしか作れない特有の創造物と言えるかもしれない。


      サンルイ(Saint-Louis)では、MoulinsとSarrebourgの職業学校で訓練されたヨーロッパ各地からのガラスメーカーを雇っています。学生は16歳で就労を開始し、6年から8年間の訓練プログラムを受けています。巧みで情熱的な彼らの工芸品は、ガラス職人のもつ専門技術によってガラス工芸家、ガラス吹き工、カッター及び彫刻家の3つの専門職に分類され、造られています。彼らは全てはしごの一番下から始め、下積みを重ねることで、エリート職人という位置にまで登り詰めていくのです。(多くのサンルイの職人は、フランスの職人であるMeilleur Ouvrier de Franceの称号を持っています)
       
      サンルイの「ホットグラス」というワークショップでは、重なる鋳造タンク炉が設置され、1350℃で結晶の融解が行われます。白熱の溶岩のように溶けたガラスはある領域に堆積され、そこでガラスの不純物が取り除かれます。


      次に、液体状態のガラスで作業を始めますが、ここからの作業はガラス製造において一番肝心な工程となります。ガラス職人の一呼吸がガラスの内側の形を変え、彼らのジェスチャーは外側のデザインを変えることができるため、非常に高度な技術が必要となります。このようにガラスを吹く人は、バレリーナの繊細さを持った暴君のように例えられます。彼らは強靭な肺の持ち主でもあり、ブローパイプの端にオレンジの塊を付けて燃やし、ブナの木や鋼の鋳型に熔融ガラスを置きながら900℃のとてつもなく熱い炎と蒸気の中で、ガラスの最初の形を造っています。

      小人数グループで作業する数秒または数分の間で、ガラス職人は目、手、口を駆使して一連の迅速な作業を実行しています。カット、トリム、オープンするための鋏、型をまっすぐ造るための木製のパレット、握って伸ばして、ねじるための釘抜きを使用しながらガラスの形を完成させます。また、このガラス吹き工の技術の真髄は、600℃の高熱が結晶に及ぼす影響を随時測りながらロッドを同時に吹き飛ばして回す能力にあります。この熱気と活気に満ちたガラスは、焼きなまし炉に置き、450℃から低温に移行することで静かに固化させます。2~3時間ガラスを冷やしたあとは、熱ストレスを解消するため、3~4日さらにほっておきます。

      サンルイの「コールドワーク」というワークショップでは、切削、彫刻、金メッキ、研磨の作業が行われます。"ホットグラス"を扱うガラス吹き工と同様に、コールドワークではマスターカッターやデコレーターは、道具の先端まで最大限に使いこなしてガラスの彫刻および装飾をしていきます。一つのドリンクグラスやティーカップ、花瓶、デカンターが完成するまで、30から35種類の一連の洗練された操作で彫られており、瑪瑙(めのう:微小な石英)で磨いた後は、ガラスに24Kゴールドの装飾が施されます。これはサンルイ独自の卓越性と芸術性を表し、サンルイ・ガラスの作品の特徴でもあります。
       

      サンルイの工芸品


      長年にわたり、サンルイ(Saint-Louis)社は数多くの新しい技術を開発してきました。例えば、繊細で独創的な装飾、手描きによるデザイン、エッチングと彫刻の装飾、着色ガラスの製造のためのダブルオーバーレイ技術が含まれます。これらの技術はサンルイ社が初めて考案されたものであり、他の有名なガラス製品であるトミー、エクセス、バブルは少なくともサンルイ社から学んでいったのだと思われます。 また、サンルイは生産プロセスが非常に厳しいことに有名で、いくつかのガラス吹き職人と彫刻家の手に渡り、すべて手作業で製作されています。

      職人そのものが専門知識となり、人にしか教わることのできない製造方法によって造られたサンルイガラス製品は、食卓や家を輝かせただけでなく、町全体を豊かにし、大きく発展させました。かつて家父長の小さな村から始まったガラス製造技術は、世代から世代に引き継がれ、4世紀にわたってその文化遺産を保持してきており、まさに歴史を継承したガラスと言えるでしょう。