イタリアのベネチアングラス・ムラノガラスのペーパーウェイト(置物)の魅力
ベネチアングラスの歴史
1268年にベネチアガラス同業組合が結成され、1291年にはベネチアンガラスの技法を守り抜く為、全てのガラス工房のガラス職人やその家族・販売者とともにムラーノ島に住まわせました。
それほどまでにして守ってきた伝統手工芸のベネチアングラスは、ルネサンス期の15~16世紀に最も栄えました。ヴェルサイユ宮殿の有名な「鏡の間」はこのムラーノ島の職人が作り上げたと言われています。
ベネチアングラスと聞くと高級なイメージイがありますが、これだけの歴史を歩んできたベネチアングラスの価値が高いのも納得です。
そんな歴史あるイタリアのベネチアングラスですが、本日はペーパーウェイトの事について話していきます。
ペーパーウェイトって何?
って思う方もいるかもしれませんが、ベネチアングラスの中でもとても人気な
商品になりますので、もっとベネチアングラスの魅力を感じて頂けると思います。
ペーパーウェイトを使う
※1960年代のベネチアングラス(ムラノガラス)
ペーパーウェイトを使う人は、実のところあまりいないかもしれません。
日本では文鎮と同じ役割ですが、ベネチアングラスのペーパーウェイトを見る限り、単なる紙を押さえるための事務用品とは思えないほどのクオリティです。
ガラスの適度な重みを利用するペーパーウェイトですが、透明感あふれるガラスは存在感はあっても重たさを感じさせません。
特に、ベネチアングラスのペーパーウェイトによく見られる代表的とも言えるデザインのミルフィオリはイタリア語で「mille」、つまり千の「fiori」(花)が語源となっています。
このミルフィオリは、ひとつひとつ手作業で作られるため、世界中のどこを探しても同じものはありません。
オンリーワンのガラス細工を凝縮するかのように、詰め込んだペーパーウェイトは文房具というよりもオブジェのようです。
インテリアとデザインが、うまく融合されています。
花をモチーフにしているせいか、彩が鮮やかで明るい印象をガラス越しにこちらに伝えてきます。
大きさや形、そして色まですべて同じところがなくひとつひとつをじっくりと眺めてしまいます。
仕事で疲れた目を休めるのにもちょうどいい目の保養になります。
※ベネチアンアートグラスペーパーウェイト花とコーラル
手に取るとひんやりとしたガラスが手のひらに心地よく、重すぎず軽すぎず適度な重みを感じさせ、指でなぞる表面はとても滑らかです。
覗き込むと、深みのある水底のようにミルフィオリの花のような模様が色鮮やかに目にうつります。
数枚の書類の上に、ペーパーウェイトを置くとコトリと涼やかな音がしました。
テーブルの上で書類が飛ばされるようなことは、正直なところあまりありませんが、ペーパーウェイトを置くことで仕事へのモチベーションが上がるような気がします。
実際のところ、ペーパーウェイトを持っていることを話すと大抵の人に驚かれます。
ましてそれがベネチアングラスのものなら尚更です。
ちょっと自慢したくなるアイテムでもあります。
※アートグラスペーパーウェイトミルフィオリ 1975年
コレクションしたくなるデザイン性
部屋のオブジェにもなりそうな、素晴らしいデザイン性のベネチアングラスのペーパーウェイトは、同じものがないオンリーワンの製品なのでいくつでもコレクションしたくなります。
本来なら書斎などの机の上にあるべきものですが、これだけの美しさを日の当たらない場所に置いておくのはもったいないので、インテリアとして窓際や玄関先など人の目につくところにコレクションを並べておくのも一興です。
窓辺の光を浴びて光るペーパーウェイトが、立派な部屋のオブジェの役割を果たしてくれます。
落とさないよう、傷つけないように気をつけて、宝物のように扱ううちに愛着もますます増してきます。
丁寧に扱うものがあるというのも、持つ人の生活の中に潤いを与えてくれます。
素晴らしいデザインのものをコレクションしたくなるものに出会えた喜びが味わえます。
装飾的価値もあるベネチアングラスのペーパーウェイト
ペーパーウェイトといえども単に押さえるだけであれば、デザインなどに凝る必要はまったくなかったはずです。
ですが、ベネチアングラスはあえて確かな技術をもった職人の手でペーパーウェイトを作らせています。
インテリアにもなり文具としての実用的な性能を重視しつつも、ベネチアングラスの歴史とプライドにかけて装飾にも一切の手抜きをしないペーパーウェイトは本当に素晴らしい仕上がりです。
※ベネチアングラスペーパーウェイト 1960年
※ベネチアングラスペーパーウェイト 1960年
ガラスに動きをもたせる気泡の流れもその都度、天候や熱、手がける職人によってみせる顔が違ってきます。
滑らかな曲線を描くガラスに閉じ込められた当時の空気は時を止めたままこれからも存在し続けます。
色がついているガラスも趣があり、好みに合わせて選ぶこともでき、どっしりとした存在感と高級感も感じさせてくれます。
ベネチアングラスのペーパーウェイトは、普通にテーブルに置いた状態で見えるデザインだけではなく、裏を返しても、また横から見ても見応えがあります。
クルクルと表情をかえる万華鏡のように、見る角度によって見える美しさも違ってくるので、何度も見直してしまいます。
テーブルの上のペーパーウェイトをついつい気が付くと手にしてしまうのは、この見応えのある美しさのせいかもしれません。
光を通すとその都度、また違った輝きを見ることができるのも何度見ても飽きない理由です。
愛らしくも美しいモチーフのペーパーウェイト
ベネチアングラスのペーパーウェイトには、動物や果物をモチーフにしたものもあります。
ガラスの扱いに長けていた職人ですから、造形もお手の物だったのかもしれません。
※ベネチアンアートグラス リンゴと梨のペーパーウェイト1950 年
白鳥のしなやかな首と美しい羽根が職人の手によって、完璧な彫刻のように型どられています。
可愛らしくもあり、美しくもある動物のモチーフのペーパーウェイトは、丸い球状のペーパーウェイトよりも繊細にも見えます。
※ベネチアンアートグラス スワンオーナメントペーパーウェイト年
ベネチアンの職人の遊び心にも思える動物や果物のモチーフは、ペーパーウェイトと分類するよりもガラス細工として分類したほうがいいほどの出来栄えです。
繊細な出来栄えは、デザイン的でもあり、動物のシリーズなどはまだ他にもあり、それぞれに動物や果物の特徴をうまくいかした造形は途中で削ったりすることができないガラスの扱いの難しさを超えて、私たちの目を楽しませてくれます。
見た目にも十分楽しませてくれるモチーフのペーパーウェイトの下には書類よりも思い出の写真を一枚置くほうがお似合いかもしれません。
大切な思い出をちょっと飾れるインテリアとしても最適です。
上品に、そしてオシャレに部屋をデザインしてくれること間違いなしです。
ペーパーウェイトを持つ贅沢
わざわざ卓上にペーパーウェイトを必要とする人はほんのわずかです。
ペーパーウェイトの役割は、本来は紙を押さえるための文具です。
しかし、文具でありながら、真の目的はもしかするとインテリアや装飾の意味合いの方が強かったのかもしれません。
高級な文具を持ち合わせるステータスに当時の人々は夢中になり自慢げに書斎に置いて使用していたことでしょう。
自分の身の回りの物にこだわりの1品を持つ贅沢というのは、単に贅沢な食事を食べることとは違い、女性が高級なアクセサリーを持つような感覚に似ています。
光を通すガラスの煌きは持つ人の心を時に弾ませ、時に和ませてくれます。
ここでいう高級と言うのは、値段が高いということではなく例えばベネチアングラスのように歴史と職人の技が光るものの価値のことです。
ペーパーウェイトだからと手に取らないのは、本当にもったいないことです。
絵画のように鑑賞するだけではなく、実際に手に取り使用することができ、尚且つオブジェにもできるペーパーウェイトは、手の届く贅沢品と言えます。