ウランガラスの歴史

あなたはウランガラスというものをご存知でしょうか。

原子力の原料であるウランを使用した美しいガラスなのですが、その存在と歴史について今回は触れていきたいと思います。

1.ウランガラスとは

ウランガラスとは、製造過程でウランを極微量混ぜることによって淡い黄色や緑色に着色された透明度のあるガラスです。

その歴史は、1830年代から始まります。

当時は、まだ原子力としてウランを利用されていなかったのですが、1940年代になるとウランの持つ強い放射性が問題視されるようになったため、1830年代から1940年代のおよそ100年間の間に作られたものがほとんどになります。

また、新たに製造されていないわけではなく、極少量ではありますが製造はされ続けています。

これは、民間企業がウランを取り扱うことが難しいことが原因となります。

また、ウランガラスと呼ばれるのはドイツ語圏独特なもので、英語圏では【ワセリンガラス】と呼ばれています。

これは、黄色いウランガラスの色彩がワセリンクリームのそれとよく似通っているからと言われています。

ウランガラスのほとんどは黄色や緑色なのですが、ピンク色・青みを帯びた色・茶色掛かった色なども存在していて、コレクターの中では珍重されています。

2.ウランガラスの歴史

ウランガラスが作られた経緯は、元々黄色の発色剤がウラン化合物であったことからです。

当時の職人たちは、正体不明の病気【被曝】を患いました。

それでも尚、この美しいガラス器を作り続けることに日々邁進してきました。

ヨーロッパで最初にウランガラスを作られたボヘミア地方の多くの国で盛んに作られてきました。

アメリカでもフェントン社、ボイド社のような大手ガラス器メーカーでもウランガラスは作られてきました。

現在も尚ウランガラスの製作は続けられていますが、それはコレクターのために極僅かな量でしか製作されていません。

市場で取り引きされているそのほとんどが、過去に製作されたアンティークのものばかりです。

また、鉄道車両の前照灯にもウランガラスは使用されていました。

現在はLED照明が自動車などでも主流となっていますが、HID照明やハロゲンランプを使用していた前照灯の場合、輝度を上げるためにメッキ加工された反射板が使用されています。

鉄道でも同じように反射板を利用して前照灯の輝度を上げていましたが、その反射板にウランガラスを利用していました。

それだけではなく、前照灯全体をウランガラスで製作したものもありました。

ウランガラス自体に光を反射する機能はないのですが、ウランガラスの持つ最大の特徴である蛍光現象を利用して前照灯の輝度を高めるために補助灯的に使用されていました。

3.ウランガラスの蛍光現象

ウランガラス最大の特徴がこの蛍光現象です。

暗い中でウランガラスを紫外線ランプ(ブラックライト)で照らすことで、緑色に妖しく蛍光発色するのがコレクターの心を掴んでいる理由です。

ウランガラスが発光することは昔から知られており、夜明け前の紫外線に満ちた時間には妖しく光るウランガラスが確認されていました。

現在では、紫外線ランプがホームセンターでさえ入手できることから、この発光現象はいつでも愉しむことが出来るようになりました。

4.ウランガラスによる被曝の心配

放射性物質であるウランを使用してガラスを着色していることから、人体への影響を心配される方も少なからずいます。

数字的に説明をされるところもありますが、実際理解できるものなのかと言われれば私自身もできません。

しかし、体内に摂取したカリウムの中に含まれる放射性物質の体内蓄積量と同レベルでの影響だということから、人体への影響は少ないものと考えられます。

しかし、決して影響はありませんとは言えません。

少しずつでも確実に影響があることは確かですが、それは地球上で生きている生物であればどこにいてもある危険性と同レベルでしょう。

ラドン温泉ラジウム温泉のようなものに通い続けても被曝したという事例はありません。

それと同レベルだと考えて頂ければ納得頂けるものかと思います。

まとめ.現在のウランガラス事情

ウランガラスは、現代では一部のコレクターのために製作されるだけの大変希少価値の高いガラスとなっています。

しかし、こんな希少価値の高いガラスですが、日本国内でもウランガラスを製作する体験ができる場所があります。

人形峠近くの【妖精の森美術館】にあるガラス工房がその体験をさせてくれます。

http://kanko.town.kagamino.lg.jp/fairywood/index.html

 

もし、ウランガラスに興味があるようであれば、一度覗いてみることをオススメします。