クロノグラフ腕時計 クロノグラフに関する疑問にお答えします!

クロノグラフに関する疑問をここで解消します

一生付き合っていきたいクロノグラフだからこそ、素朴な疑問もしっかり解消していきたいものです。

さらに、自分にあった選び方やメンテナンスについてまで、すべて解説していきます。

クロノグラフの基礎

Q1.クロノグラフは誰が発明したのでしょうか。

腕時計型のクロノグラフを最初に開発したメーカーも教えてください。

 

A.17世紀にはすでにクロノグラフの原型と呼ばれるものは、完成していました。

それは、たった一人の天才時計技師による偉業だったのです。

その天才時計技師というのは、ジャン・モーゼス・ポウゼ。

ジャンは、1777年に秒針を時計から独立したものを備えている機構を考え出し、開発に踏み切ったのです。

そのジャンが考え出した機構を、他の時計技師たちが、長い年月をかけて、少しずつ改良していきました。

そして、決定的となったのが1879年のこと。

ロンジンが「ルグラン」を発表したのです。

これは、懐中時計型クロノグラフでした。

腕時計型のクロノグラフが誕生するのは、これよりまだ少し先のこと。

それは1915年のことでした。

ブライトリング創始者であるレオン・G・ブライトリングが、息子であるガストンとともに30分積算計とセンタークロノグラフ針を備えたモデルを発表したのです。

このモデルは、30分計とスモールセコンドを備えていて、ワンプッシュ方式となっていました。

さらに1923年には、ブライトリングはクロノグラフ針をスタートさせるための、独立しているプッシュボタンを装備したモデルを開発したのです。

 

Q2.クロノグラフの中でも、ピラーホイール式が高級品と呼ばれるのはなぜですか?

A.ピラーホイールというのは、そもそもクロノグラフにおいて、スタートやリセットを担当しているパーツのことをいいます。

しかし、このピラーホイールは、現在主流となっているカムに比べると、製造するのにコストが掛かってしまうのです。

そのため、現在ではピラーホイールを見かけることは、少なくなってしまいました。

しかし、オメガ「スピードマスター」も初期の頃は、このピラーホイールを使用していたのだ、と弊社では話します。

オメガ「スピードマスター」がピラーホイールを使用していた理由として、ピラーホイールのほうが、安定性、確実性、そして耐久性がカムよりも優れていたからだと言われています。

さらに、ピラーホイール式のムーブメントのほうが、修理などのメンテナンスをする際も、メンテナンスしやすいという利点もあるのです。

クロノグラフ腕時計を選ぶ

Q3.アンティーククロノグラフのチェック項目や、選ぶときに気をつけるべきポイントはどのようなところですか?

A.やはり一番大切なのは、信頼することができるショップで購入すること。これが大切です。

自分でチェックするときに、注意するべき点としては、まずダイヤルやケースの状態を確認すること。

外観が綺麗な状態を保っているものは、ムーブメントも同様に綺麗な状態であることが多いものです。ただし、例外もありますから注意は必要です。

そして、店主が許可を出してくれるのであれば、リューズを巻いてみましょう。

リューズを巻く時に、おかしな音がしないかどうかを確認します。

さらに、つっかえずにスムーズに回すことができるかというところも、チェックしましょう。

そして、クロノグラフを実際にスタートさせてみてください。

最低でも、1分間はチェックしましょう。

当然ではありますが、リセットしたときに、ちゃんと針がゼロのポジションまで戻るかどうかというところも、チェックを忘れずにしてください。

できれば、30分計や12時間計なども、連動して正常に機能するかというところも、チェックしておくことが望ましいでしょう。

 

Q4.安価なデイトナを探しています。できれば、手巻き式のデイトナにも使用されたバルジュー製キャリバーを基本としているものがいいのですが。

A.確かにRef.6262や.6263などは、100万円を超える高額な手巻き式デイトナとなっています。

しかし、そんなデイトナと同じバルジュー製Cal.72系キャリバーを使っているクロノグラフでも、10万円台から購入することは可能なのです。

参考としては「ユニバーサル」は、19万5000円からですし、「ウィットナー」は14万円からと、比較的手に入れやすい価格帯となっています。(時計の価格は2000年3月上旬、都内アンティーク店で調査しています)。

使用

Q5.クロノグラフの扱い方を教えてください。とくに保管方法や、正しい置き方が知りたいです。

A.よく耳にするクロノグラフの置き方として、リューズを下向きにして置いてはいけないというものがあります。

しかし、弊社では「こだわらなくてOK。普通に置いてください」とお伝えしております。

ですが、気をつけなくてはいけないことも、当然あります。

それは磁気。

磁気が発生する場所に置くのは、やめるようにしましょう。

さらに、長期間置いたままにするのであれば、文字盤が焼けてしまわないように、通気性の良い暗所で保管することがおすすめです。

そして、湿気や防虫剤は絶対に避けるようにしましょう。

 

Q6.時刻合わせをしてはいけない時間が、デイトのついたクロノグラフにはあるというのは、本当?

A.本当です。

時刻合わせをしてはいけないのは、午後9時から午前3時までの間の6時間。

なぜなら、この時間帯はデイト表示機能を動かすパーツが、動いているからなのです。

パーツが働いているときに、ムーブメントに余計なストレスをかけるのは好ましくありません。

ですが、基礎キャリバーの段階で、しっかりと作られているものであれば例外。

たとえ何時であっても時間合わせをおこなっても大丈夫です。

しかし、どんなものであっても、極力上記時間帯の時間合わせを避けるようにと、心がけておいたほうが、無難ではあります。

 

Q7.クロノグラフをオーバーホールしてもらう目安はどれくらいですか?

A.クロノグラフの使用頻度によっても、オーバーホールする目安というのは変わってきます。

しかし、新品のクロノグラフで、一般的な時計として使っているのであれば、だいたい3年から5年に1度程度オーバーホールに出すのが理想的でしょう。

ですが、クロノグラフの使用頻度が高く、さらにブライトリング旧「ナビタイマー」のように防水になっていないタイプのモデルであれば、2年に1度くらいの頻度でオーバーホールするのがベストです。

非密閉性ケースの場合は、使用していなくてもムーブメントの油が劣化してしまい、変質してしまうこともあるのです。

 

Q8.クロノグラフをオーバーホールするのに、必要な金額はどれくらいでしょうか?

A.アンティーク時計店であるケアーズの場合を参考にご紹介します。

海外製の場合は、3万8000円。

日本製の場合は、3万3000円です。

しかし、どちらの場合も基本料金と交換に必要となるパーツの代金は別となります。

さらに、交換の必要なパーツがない場合は、個別に制作することにもあるのです。

その場合は、若干割高となります。

そして、ショップによってはその店で販売した商品以外の、修理、メンテナンス全般は取り扱っていないというところもありますので、ご注意ください。

一方、直接メーカーへオーバーホール依頼をした場合ですが、4万円から6万円が、機械式クロノグラフをオーバーホールする際の基本料金となっています。

メーカーによって違いはありますが、国内正規品の場合なら割引になるケースもあるようです。

 

Q9.クロノグラフによっては、ストップウォッチ針を常に動かしているほうがいいと聞きますが本当ですか?

A.クロノグラフ針を動かし続けていたほうが、本当にいいのかどうかということを、太平堂の栗崎氏に聞いてみました。

レマニア製のムーブメントの場合は、クロノグラフ針を動かし続けている状態にしたほうが、機械にストレスを与えないので、ベストなのだそうです。

しかし、バルジュー製の場合は、動かしていても、止めていてもどちらでも問題はないのだそうです。

 

腕時計がもしかして故障かと思ったら?

Q10.リセットを押したとき、クロノグラフ針が瞬時に戻るものと、ボタンを押している間ゆっくりと戻るものがありますが、どちらか故障しているのでしょうか。

A.ムーブメントの構造によって違いがあります。

リセットを押したときに、瞬時にクロノグラフ針が戻るものとして、レマニア製Cal.321やCal.861を搭載しているオメガ「スピードマスター」。そしてヴィーナス製Cal.170系のブライトリング「ナビタイマー」などがそうです。

一方、ボタンを押している間ゆっくりクロノグラフ針が戻るものとして、ユニバーサルのムーブメントなどがあります。

構造上ゆっくりと戻るようになっているのです。

 

Q11.リセットボタンを押しているのですが、クロノグラフ針がゼロの位置に戻りません。

A.実は、クロノグラフ針をきっちりとセットするには、とても高い技術が要求されるのです。

ですから、もしもクロノグラフのメンテナンスを行ったのが、まだまだ技術的に未熟な職人さんだった場合、針の袴をしっかり固定できていないことがあるのです。

その場合に、リセットボタンを押してもクロノグラフ針がゼロの位置に戻らないというようなトラブルが発生してしまいます。

メンテナンスを依頼する際は、針入れ、針抜き技術が優れた職人さんがいるかどうかということを気にしながら、リペアルームを選ぶようにしましょう。

そして、念の為にムーブメントのハンマー系やバネの調整具合もチェックしてもらうようにしましょう。

Q.12なぜか12時間計が勝手に動き出してしますのですが。

A.もしも、ハンマーが減ってしまったことによる不具合でなければ、その調整はオーバーホールの範疇に入ります。

ですからそのときは、ムーブメントのストップレバーの緩みなどをチェックして、調整してもらうといいでしょう。

ハンマーが減ったというような致命的な状況でない限り、料金が加算されるということはないようです。

しかしパーツのゆるみというのは、使う年月が長ければ長いほど起こりやすくなってくる問題でもあります。

ですが、このような状態の商品が店頭に並んでいるということはないはず……。