ブライトリング(Breitling) ナビタイマー歴代の最高傑作腕時計をムーブメントとご紹介 AOPA
ブライトリングの名器 ナビタイマーの歴代モデルコレクション
動画でご覧になる方はこちらから↓
ナビタイマー ファーストモデル(初代ナビタイマー)Ref 806 1952年誕生
AOPA Ref 806 (1959年製) Breitling Navitimer AOPA Steel Ref. 806 - 1959
この腕時計を説明するには様々な言葉があり絞りきれません、しかし全てを集約するとすれば『驚嘆』の一言です。
ブライトリング ナビタイマー Ref 806といえば、かのブランドがこれまでに生産した中でも最も有名なモデルであり、あらゆるビンテージ腕時計収集家の欲しいものリスト上位を占める代物です。
このナビタイマー、その前のクロノマットを世に生み出したのはブライトリング家の3代目に当たるウィリーブライトリングです。
ウィリーブライトリングはブライトリング家の中でも特にカリスマ性のある経営者でもあり時計職人にでありクリエーターでした。
1950年代初めに初代ナビタイマーは、機能性重視の構想の元、時計内側のベゼル部分において回転計算尺の算出・表示機能を搭載した時計として設計されました。 現代のように便利な電子機器がない時代にこの優れた機能は、飛行機などの操縦士が必要とする乗除・速度・距離・所要時間・燃料計算といった基礎的計算を時計を見るだけで計算できることを可能にしました。
技術の発展により現代においてナビタイマー本来の機能は失われたものの、過去の操縦士達はこれを重宝し使用していたことに間違いはありません。
そのため806シリーズは、時計というジャンルの中に全く新しい概念・捉え方を生んだと言われおりました。
1950年代当初には大量生産されたものの、その多くの806シリーズは市場にあまり出回ってないのが現状です。
また多くのものが仕事で使用されていたため、とても痛んでいたり、文字盤の劣化やその復元の質が悪いものばかりです。
一目見てその複雑さがわかるように、復元と言ってもそう簡単に行える代物ではありません。
ベゼル部分は初代ナビタイマーにだけ搭載されているビーズ装飾が施された細いベゼル設計となっています。こちらのビーズ装飾のデザインはまだ手袋をした状態でもベゼルを回せるように出来るように改良されてない初代ナビタイマーだけのデザインなのです。 同じ時代の多くの物は金メッキ製であるものの、こちらは純製スチールケースの作りとなっております。
このとても貴重な一本は、機械式クロノグラフの代表、ヴィーナス178のムーブメントが搭載され50年経った今でも力強く動作しています。
文字盤、スチールケースなど、内側・外側どれをとっても、我々が今まで見た中で一番いい状態のものといえるでしょう。
詳細
スチールケース 42mm (クラウン抜き) ブライトリング 806 ヴィーナス178
・手巻きクロノグラフムーブメント 1959年物
状態: ケースは特に目立つ傷・欠陥なしです。
文字盤はオリジナルをそのままに復元等の手入れ一切なし、わずかな色あせがあります。
光沢は均一に薄れており、黄茶色に輝きます。
インナーリングは、過去に専門の人物による復元がみられます。
ケース裏面・リューズにブライトリングの印があります。 ここからはファーストモデルでもヴィーナス178に対して搭載されるのが少なかった、バルジュー72のムーブメントを搭載したファーストモデルを紹介していきます。 バルジュー72の最大の特徴は6時位置についた12時間積算計です。
これによって機械式クロノグラフは最大12時間まで計測出来るようになったのです。
6時の位置に12時間積算計のあるモデルが当時の流行でした。
このバルジュー社のばバルジュ-72は非常に効率的に設計がしてあるため多くの時計メーカーがこのムーブメントを搭載していました。
代表的なのはロレックスの初代デイトナや72にトリプルカレンダーを搭載したギャレットのクロノグラフ。
ギャレットはほとんどのムーブメントをエクセルシオパークから仕入れていましたがこのトリプルカレンダー搭載のムーブメントだけは構造上バルジュー72の方が優れていたのです。
ブライトリング ナビタイマー セカンドモデル 1959年 Ref 806
1種類だけではない文字盤の種類
その他にもナビタイマーのセカンドモデルにはロゴの上にBreitling Genevaがある文字盤とロゴの下にBreitling Genevaがある文字盤が存在します。
ブライトニング ナビタイマー ファースト・セカンドモデル
ブライトニングの回転計算尺搭載のナビタイマーはクロノグラフとベゼルを回転させることで、パイロットが燃料・上昇、下降計算などが機能性に優れた腕時計です。
現在はデジタル化されその計算はいとも簡単にできますが、当時はこの機能は現在とは違う意味で評価され価値があったのです。
そんな、ナビターマーは制作者が機能性、使いやすさを考案して設計されたモデルばかりです。
ファーストモデルとセカンドモデルの違いや同時期モデルのデザイン、搭載されたムーブメントなど、時間を遡りながら見比べてみてください。
ブライトニング ナビタイマーファースト・セカンドベゼル
この当時のナビタイマーモデルは実際にパイロット向けの機能性が重視されています。
ファーストモデルのベゼルは丸いビーズのような装飾が施されていますが、セカンドモデルからベゼルには縦型の彫飾が施されています。
しかし、これはデザイン性を重視して施されたわけではありません。
ファーストモデルの丸いビーズベゼルはパイロットが実際に装着したときに手袋をはめ、ベゼルを回転させると滑りやすいく使用しずらいという難点が指摘され、セカンドモデルから、滑りにくい機能性の充実した縦彫りベゼルが考案され採用されました。
左:セカンドモデルのベゼル 右:ファーストモデルのベゼル(1959年)Ref.806
ナビタイマー ファーストとセカンドモデルのインダイアル
ナビタイマーのファーストとセカンドの違いは、3つのインダイアルです。
インダイアルの文字盤に段差がなく黒色の文字盤に白色のメモリと針がファーストモデルとなります。
セカンドモデルではインダイアルが白色文字盤で段差ができ、メモリと針が黒色になっています。
これは、ファーストモデルで同じ文字盤の色だとインダイヤルが見ずらいということで、セカンドモデルでは反転色が採用されたためです。
左:セカンドモデルの文字盤 右:ファーストモデルの文字盤(1959年)Ref.806
ブライトニング ナビタイマー セカンドモデルの文字盤
※国際パイロット協会のマークはウィングと1939年がモチーフです。
ブライトニングはその後、マークロゴを複数変えています。
ナビタイマーのセカンドモデルには文字盤のマーク表記に違いがあります。
「AOPA」はウイングの下に表記されている通り、「AIRCRAFT OWNERS AND PILOTS ASSOCIATION」の略です。
これは、「国際パイロット協会」のことを意味します。 ブライトニングは、AOPAの公認クロノグラフとして認められ、このウィングマークを文字盤に採用しています。
しかし、セカンドモデルにはこのウイングマークあるものと、ないものも存在し「BUEITLING」と「GENEVE」と表記されたモデルがあります。
左:AOPAのウイングがマークの表記 右:「BUEITLING」と「GENEVE」
ブライトニング ナビタイマーAOPAファーストに搭載されたムーブメント
ブライトニングのファーストモデルに搭載されたムーブメントには、「ヴィーナス178」ムーブメントと「バルジュ-72」ムーブメントがあります。
特に、ヴィーナス178に比べバルージュ72はファーストモデルにはあまり搭載されていません。
※1995年前後に製造されたナビタイマーの一部にしか搭載されていません。
ファンの間では、バルージュ72が搭載されているモデルを、「ジェネレーション2」こう呼んでいます。 ・左:ヴィーナス178ムーブメント ・右:バルジュ-72ムーブメント
ブライトリング ナビタイマー サードモデル Ref 806 1960年
セカンドモデルからの大きな変更はブライトリングのロゴが 「AOPA」から2つの飛行機(2羽の鳥)に変更されたことです。また、ベゼルの溝の深さが深くなりより手袋をした状態でも操作しやすくなりました。
ここからのムーブメントはビーナス178はそのまま残されてバルジュー72が廃止されています。
その代わりにバルジュー社の新型ムーブメントのバルジュー7736のムーブメントが搭載されました。
バルジュー7736が搭載されたブライトリングサードモデル
バルジュー7736の豆知識
ハート型ブリッジが特徴的なバルジュー7736はコレクターの中では非常に人気のムーブメントです。このバルジュー7736には数字の上にRのマークが入っています。
バルジューであればBがは入ると普通に考えれば思います。
しかし、なぜこのバルジュー7736にはRの文字が入ってるのでしょうか?
それはバルジュー社の歴史の中で解き明かされています。
そもそもバルジュー社はムーブメントのエボージュメーカーとして創設された会社です。
エボージュとは未完成品という意味です。
なので、バルジューのムーブメントは様々なメーカーに搭載されています。
70%完成したムーブメントをそれぞれのメーカーに納品して最終的なサイズの調整や仕上げのバリ取りなどはそれぞれのブランドに任せるという方法です。
それと同じエボージュメーカーがレマニアやビーナスということになります。
そして、エボージュメーカーには今回のバルジューのRのようにムーブメントのどこかに自社のマークを入れています。
今回のバルジューのRのマークはテンプの下の目立たない位置にありますね。
これは納品する際にそのブランドのブランド名より主張しないようにという控えめなブランドマークにしているためです。
ではなぜここがBではなくRなのかと言いますと、バルジュー社の創設社がレイモンド兄弟という兄弟です。
この兄弟に敬意を払うという意味合いを込めてレイモンド兄弟の頭文字のRをムーブメントに刻印したのです。
ちなみにこちらのモデルは時計の老舗メーカーLIP社とのダブルネームが入った 珍しいモデルになります。
ブライトリング ナビタイマー フォースモデル Ref 806 1965年
※バルジュー72のムーブメント 2つの飛行機ロゴはそのまま受け継がれ変化点は・インダイヤルの大きさが大きくなったこと(Generation V)と呼ばれるもの・メーターの部分に赤の矢印を入れることによっての視認性の向上 となっています。Ref 806ムーブメント バルジュー72このあとに、フォースモデルからデイト表示が搭載された文字盤が発表されます。 キャリバーにはバルジュー社のcal.7740が搭載されています。
ブライトリング ナビタイマー ファイブモデル Ref.816
ブライトリング クロノマチック キャリバー11 1969年
(画像:デュボワが発明したキャリバー11)自動巻を可能にしたナビタイマー
ナビタイマーが数々の改良をしていく中、時代は大きく動いていました。
自動機械時計には新たに日付(日/月)の他に暦まで表記されるのが当たり前となっていました。
この変化に対応するためにブライトリングではムーブメントをVenus178からバルジュー7740に変更しました。
1969年にナビタイマーは大きな変革を行います。
その時中心にいたのがジェラルド・デュボワです。
彼はバーレン社のキャリバーをベースとして使用しながら、ジャック・ホイヤー・ハミルトン
とウィリー・ブライトリングの協力を得て新たな自動巻き時計の開発を行いました。
その結果誕生したのが伝説のキャリバーとも呼ばれているキャリバー11です。
このキャリバーの特徴は竜頭が以前のものと違って左側に取りけられていることです。
このムーブメントの発明はナビタイマーの改革の方向性を大きく左右するものでした。
この後1971年ににcal.11を改良したcal.12がクロノマチックには搭載されるようになります。
このムーブメントの違いはcal.11は毎時19800振動、その後製品化されたcal.12は21600振動になります。
(画像:デュボワが発明したキャリバー11の改良版キャリバー12)
1970年のクォーツ危機の打撃を受けたウィリー・ブライトリングは会社をパイロットでもあったアーネスト・シュナイダーに経営権を譲ります。
1978年にウィリーは会社を元パイロットでもあるアーネスト・シュナイダーに渡すのでした。
そしてここから新生ブライトリングが再び動き始めるのです。
クォーツショックは時計業界において大きすぎる打撃をもたらしました。
ブライトリングの会社の売買の状況は非常に複雑だったため、以前のような名品を作ることが厳しくなってしまいました。その理由は時計パーツに関わる部品の所有権です。
パーツによって権利を持っていた会社が異なっていたため、多くの人に馴染みのあるロゴの使用すらできなかったのでした。
しかしこのような暗い時代でもシュナイダーは模索し続けました。
会社にとって希望の光が見え始めたのは1990年代でした。
※ブライトリング家の経営するブライトリングおブランドはこの3代目の経営者ウィリーブライトリングによって終わります。
ブライトリング ナビタイマー クオーツ 1973年 Ref 9106
日本のSEIKOがクオーウ時計を発表したことによって機械式時計の時代が終わると思われた危機感からブライトリングの新型モデルのムーブメントはクオーツ式が採用されました。
ブライトリグ家の3代目ウィリーブライトリングは、未来のクオーツ化を予想していたため機械工学に詳しいことと自社でシクラ(sicura)というブランドの腕時計を生産していたためアーネストシュナイダーを時期経営者に任命したいのです。
このブライトリングナビタイマーのLEDモデルはそんなアーネストシュナイダーの電子工学の技術が詰まったブライトリングの中でも大変歴史が深いモデルなのです。
オールドナビタイマー バルジュー7750
航空ウォッチの規範となったブライトリングのフラッグシップ・モデル
オールド・ナビタイマーはブライトリングの象徴的存在であり、ナビタイマー・ラインの基軸となる名作です。
オールド・ナビタイマーの前身、ナビタイマーが誕生したのは上記でも紹介している通り1952年です。
クロノグラフにあらゆる航空計測が可能な回転計算尺を搭載して誕生し、この革新的な腕時計はパイロット・ウォッチの規範となっています。
その後、ナビタイマーシリーズは一時生産終了となっていましたが1985年に「オールド・ナビタイマー」として復活します。
このオールドナビタイマーを復活させたのが、ウィリーブライトリングから経営を受け継いだアーネストシュナイダーなのです。
その頃には時代の流れとしても、機械時計に再び注目が集まるようになっていました。
そこでシュナイダーは、ナビタイマーを再度リニューアルして発表します。
その中に搭載されたのはファンも多いバルジュー7750でした。
その後ナビタイマーは、エアーボーンやオールドナビタイマーなど複数のモデルを発表しました。
オールドナビタイマーはドーム形風防や回転計算尺など、初代ナビタイマーの伝統はそのまま踏襲され、インダイヤルの配置、日付表示の追加などの改良が施されました。
ブライトリング・スピリットが凝縮したナビタイマーを現代的なスペックで継承し、 再び航空時計界のフラッグシップ・モデルとして誕生させたのです。
オールドナビタイマーは、当初は手巻きだったが翌1986年に自動巻きに変更しています。
1992年のモデルチェンジでは3気圧防水を実現し、風防もミネラルクリスタルから硬質のサファイアクリスタルに変更されました。
針の根元にロゴマークがついた現在のスタイルとなりました。
オールド・ナビタイマーは「タイプ52計算尺」によって対地速度、燃料消費、上昇/下降時間などの計算ができるうえ、裏蓋に摂氏華氏換算表が刻印されており、℃で表記される摂氏と、°Fで表記される華氏を素早く換算することが出来ます。
時計ファンを魅了する多機能の腕時計は、多くのパイロットが愛用している”計器”でもあるのです。 OLD NAVITAIMER DATA
ムーブメント | キャリバー「ブライトリング13」、 自動巻きクロノグラフ、1/5秒クロノグラフ秒針、 30分計、12時間計、毎時28,800振動、25石、 カレンダー表示、パワーリザーブ最低42時間 |
ケース | ステンレススチール、 ステンレススチール&ゴールド、 18Kゴールド |
ケースサイズ | 直径41.50mm、厚さ14.20mm |
防水機能 | 30m(100フィート) |
ベゼル | 両方向回転ベゼル(回転計算尺) |
リューズ | 非ねじ込み式(2ガスケット) |
ケースバック | ねじ込み式 |
ガラス | ドーム型サファイアクリスタル、 両面無反射コーティング |
重量(ベーシックモデル) | 75.80g |
ベルト/尾錠幅 | 22/18mm |
ストラップ/ブレスレット | レザーストラップ、ナビタイマーブレスレット |
ナビタイマーの新たな道
2012年に創立60周年を迎えたナビタイマーはその歴史を記念した特別モデルを500個限定で発表しました。ダークブルーのダイヤルやケースバックから中のムーブメントが見えるつくりは称賛を浴びました。 (画像:ブライトリング ナビタイマー60周年記念モデル)機械時計の中でも伝説的な存在として時計ファンの間で愛されているブライトリングのナビタイマーは2012年で60周年の記念イヤーを迎えました。
飛行専門に開発されたこの時計は現在も数多くのパイロット、そして機械時計ファンたちに愛用されています。