ルイ カルティエ コレクションの腕時計ってどんなのだったの?
動画でルイ カルティエ コレクションをご覧頂く方はこちらから↓
この記事では、1973年に誕生した『ルイ カルティエ コレクション』とはなんだったのか?
ということについて、解説して参ります。
現行品のモデルでも十分すぎるくらいに、ラインナップ展開がありますが歴代カルティエモデルをチェックしていくと、またさらに大量のデザインがあります。
カルティエの時計が好きな方は、きっとこのような思いがあるはずです。
『このモデル名ってなんなんだろう・・・。調べるのも面倒だし、まぁいっか』
とですね。
この記事では、歴代モデルを全て紹介することはできませんが、一気にラインナップされた1973年の12モデルについて分かりやすく簡単に解説していきますので、彷徨った時の指南書としてご覧くださいませ。
1970年代初頭 カルティエ社の現状と変革
1970年代初頭の話ですが、私たち日本の会社であるSEIKOがクオーツウォッチの技術進化とともに市販化に成功したことで、それまでの腕時計の常識はくつがえされ、人々の時計に対する要求も好みも変化しました。
今の私たちは、手巻きも自動巻もかっこいいと思うし購入の候補に入ってきますが、当時としてはクオーツが最強であり手巻きと自動巻に、時代遅れ感があったんですね。
また、この頃のカルティエ社はそういった煽りを受けて1972年には経営難に陥り、一族経営が終了してしまいます。
このため、カルティエ家は同業界の有力企業の支援を求めることになりました。
そこで、スイスの時計製造業界の巨人であるヴァンドーム・ルキセリング・グループ(現在のリシュモン・グループ)が、カルティエの経営権を取得したのです。
新経営陣の元で、長期的な経営戦略が打ち立てられ、 カルティエの腕時計コレクションに新たな生命が吹き込まれることになりました。
それは歴史と伝統を持つカルティエ社のメリットを活かして、古典的なモデルを中心に据える戦略でした。
また、時計を動作させるムーブメントも積極的にクオーツの採用に力を入れました。
時代に適応しながら、新しい独創的なデザイン要素を取り入れつつも、スタイルは古典的なものに忠実であり、ルイ カルティエが描いた平面図を頼りに再びそのデザインを採用したのです。
よって、ルイ カルティエがデザインしていたものを復活させたことから、『ルイ カルティエ コレクション』と名付けられたんですね。
1973年に『ルイ カルティエ コレクション』のシリーズが創作され、12点のモデルが誕生しました。
これらのモデル名は下記になります。
・サンチュール
・スクエア
・エリプス
・サントス
・ベニュワール
・VLC(ヴァンドーム ルイ カルティエ)
・クリスタロール
・タンク ノーマル
・ゴンドール
・タンク ルイカルティエ
・ファベルジェ
・クッサン
の12モデルで構成されました。
女性向けの「ベニュワール」を除いて、各モデルには男性向けと女性向けが作られました。
高級ラインとして誕生したこれらのシリーズは、全てのモデルに18Kゴールドが使用され、レザーストラップには、デプロワイヤントバックルが装飾されていました。
デプロワイヤントバックルについては、こちらの動画をご覧ください↓
12モデルのデザインと特徴解説
これらの12作品はケースの形を見ていくと、カルティエらしくシンプルなデザインなのですがその奥には、色、形、サイズ、配置、素材などの要素によって深い調和が生まれ見る人に心地良い印象を与えてくれます。
デザインの形と、そのモデル名がどういう意味なのかが分かれば、記事を何回か見ただけである程度一致するようになると思います。
サンチュール
「サンチュール」はフランス語で「ベルト」や「帯」を意味します。
日本人の私たちの感覚で、分かりやすいものといえば浴衣や振袖の帯がありますが、結び目は帯からつらなり帯の延長線上にありますよね。
そのような感じで、サンチュールもその名前が示すように、時計のケースとストラップが一体化した独特のデザインが特徴となっています。
これにより、まるでベルトや帯のような印象を与える、エレガントなスタイルが生まれています。
スクエア
「スクエア」は英語で「四角」や「正方形」を意味します。
カルティエの「スクエア」モデルは、その名前が示す通り、四角形のケースデザインが特徴となっています。このシンプルで洗練されたデザインは、エレガントなスタイルを表現しており、カルティエのクラシックな美学を象徴しています。
エリプス
「エリプス」は英語で "Ellipse" と書かれる言葉で、数学や幾何学でよく使われる概念です。
エリプスは、二つの焦点を持つ平面上の閉曲線で、円形に似ていますが、縦軸と横軸の長さが異なるために楕円形になっています。
カルティエのエリプスモデルは、この楕円形状をデザインに取り入れていることから、その名が付けられました。
ケースや文字盤がエリプス(楕円)形状をしており、独特の美しさと優雅さを演出しています。
サントス
サントスは現行ラインでも存在するモデルなので、ほとんどの方はご存知だと思いますので、ここでは割愛させて頂きますね。
サントスはこちらの動画で詳しく解説してますので、気になる方はこちらの動画もご覧ください。
ベニュワール
ベニュワールはフランス語で「浴槽」を意味し、この名前は時計の独特な楕円形のケースが浴槽に似ていることに由来しています。この時計は1912年に初めて登場し、その後も様々なバージョンが生まれています。
ベニュワールについては、こちらの動画で詳しく解説しておりますので、気になる方はこちらの動画もご覧ください。
VLC(ヴァンドーム ルイ カルティエ)
フランスのパリにある有名な『ヴァンドーム広場』に由来しており、この広場はフランスの高級宝飾ブランドにとって重要な場所とされています。
この時計は、エレガントかつ洗練されたデザインで知られ、カルティエのクラシックな美学を体現しています。
クリスタロール / クリスタラー
フランス語で「水晶」を意味する「クリスタル」(Cristal)に由来しており、時計のケースがまるで水晶のような美しい形状をしていることから名付けられました。
クリスタロールは、独特の六角形のケースデザインが特徴で、カルティエの伝統的なデザイン要素と革新的な形状が見事に融合しています。
このモデルは、ベゼルが3段のステップベゼルになっており立体感があるのが特徴です。
タンク ノーマル
「タンク ノーマル」は、カルティエのアイコニックな時計モデルである「タンク」シリーズの一つです。
タンク ノーマルは、1917年に初代タンクが発表された後、1919年に登場したモデルで、シンプルでクラシックなデザインが特徴です。
タンク ノーマルは、長方形のケースと並行に伸びるサイドバー、ローマ数字のインデックス、シルバーの文字盤、そしてカルティエのシンボルであるブルーサファイアのカボションカットのリューズを備えています。
「タンク ノーマル」と呼ばれるモデルは、1973年の発売時から男性用と女性用の両バージョンがあり、イエローゴールドとホワイトゴールドの2タイプが用意されていました。
違いとしては、1919年のオリジナルはブレゲ針と呼ばれる、針の間に穴が空いてるタイプから、1973年の「タンク ノーマル」ではシャープで細いバトン型の針が採用されていることです。
ゴンドール
ゴンドールの名前は、その形状がイタリア・ヴェネツィアの伝統的な船である「ゴンドラ」に由来しておりそこから名付けられました。
このモデルは、長方形と楕円形のちょうど中間の形状で、ケースの両サイドにある流れるような流線型のベゼルが特徴的です。
ファベルジェ
ファベルジェのしっかりしたルーツを探ることが出来なかったのですが、ロシアの宝石商および金細工師であるピーター・カール・ファベルジェにちなんで名付けられたものだと考えられます。
彼の代表作品には、ファベルジェ・エッグという貴族や富裕層の人々に贈られた宝飾品があるのですが、それに由来しデザインされたという説が有力のようです。
ファベルジュについては、正確ではないので詳しい方がいらっしゃいましたら教えて頂けると幸いです。
クッサン
クッサンは、フランス語で「クッション」を意味し、このモデルの形状がクッションに似ていることから名付けられました。
文字盤は四角形で、四隅が丸くなっており、そのデザインがクッションのような形状をしています。
現行ラインにも、クッサンは展開されていますが角にあった楔は外され、スタイルもスクエアも入ってきたりと、ルイ カルティエ コレクションの時のものとは、大きくデザインが刷新されています。
タンク ルイカルティエ
すでにご存知の方が多いので、多くを語る必要はありませんがこの時計は、エレガントで洗練されたデザインが魅力であり、その歴史と名声から多くの著名人や時計愛好家に愛用されています。
タンク ルイ カルティエは、そのデザインが時代を超越した普遍的な美しさを持っているため、現在でも非常に人気があり、カルティエの代表的な時計の1つとされています。
これらのモデルには、手巻きはもちろんのこと、自動巻を搭載したムーブメントが採用されており、同じモデルでも入ってるムーブメントが違うことがよくあります。
このように、カルティエは1970年代において、古典的なデザインを活かしつつ、新しい技術やデザイン要素を取り入れることで、時代の変化に対応し続けることができました。
この戦略により、ブランドは高級時計業界においてその地位を維持し、さらに高めることができたのです。
ここまでが、ルイ カルティエ コレクション12モデルの解説になります。
ここからは、先ほど出てきたタンク ノーマルとタンク ルイ カルティエの違いについて解説して参ります。
タンク ノーマルとタンク ルイ カルティエって何が違う!?
一番最初のタンクは1917年に誕生しましたが、実際に市販が開始されたのは1919年であり、ルイ カルティエ コレクションで復活されたのは、この1919年に誕生した方です。
これが先ほど解説した、タンク ノーマルのことですね。
こちらはガッチリしたスタイルで正方形の形をしており、フレームにエッジが立っており、厚さもあるものです。
そして1919年のタンクが発売されてから、5年後の1924年に誕生したのが、タンク ルイ カルティエであり大体私たちがイメージするのは、こちらのスタイルだと思います。
よってこれらのモデルを区別するために、初代のタンクはタンク ノーマルと名前がつけられ、1924年のものにはタンク ルイ カルティエと名前がつけられているんですね。
まとめ
12モデルありますので、今日だけで覚えるのは難しいと思います。
しかし、記事を何回か見ることである程度理解できるようになると思いますので、忘れた時の指南書として活用して頂けると幸いです。
このようにカルティエの時計というのは、時代を遡っていくと様々なモデルが存在し、自分のお気に入りのデザインが見つかることが良くあります。
また、カルティエというブランドの魅力はそれらのデザインを廃棄することなく、時代を超えてまた復活させることにあります。
今を生きてる私たちは、現行ラインしか目にすることが出来ませんが10年、20年というスパンで見れば、もう一度旧モデルを新しく刷新して現行モデルとして追加してくれる可能性があるということですね。
一部は現行ラインで存在していますが、廃盤になったものは首を長くして待っているのも、また楽しみのひとつなのかもしれませんね。