日本のガラス 氷コップの紋様 明治・大正ロマンを感じる和ガラス
氷コップの世界へようこそ!
氷コップとは、明治から昭和にかけて作られた、いわゆるかき氷を入れて楽しむ ガラスの器のことです。 ここでは、レトロで美しい氷コップと、それに関わる様々な文様や技法について ご紹介させていただきます。
氷コップ メダカ文
こちらは、柔らかな乳白色の碗にメダカ文がデザインされている氷コップです。 メダカ文という名前は、メダカが泳いでいるように見えることに由来しているそうです。
後にご紹介する糸巻き文の方法を応用して作られており、 今でも残る数々の氷コップの中でも、珍しい柄です。 鮮やかなグリーンが柔らかい乳白色の下地に映えて、とても綺麗な作品ですね。
ダカの列の間に縦に入るうっすら透明の線は、まるで水面の揺らぎを表しているかのようです。 足元は、爽やかなブルーの透明ガラスで、夏にはぴったりの配色です。 ブルーの中に光って見える空気の泡も涼しげですね。
サイズは、高さ約8cm、口径9.3cmです。
足元も碗もしっかりしたガラスで、使用時の安定感はバッチリです。 かき氷の器としてだけでなく、もちろんアイスクリームを乗せてもOK!! その他、可愛いカラフルなキャンディーをたっぷり入れて、テーブルセンターのように使っても楽しめます。
メダカがゆらゆら泳いでいる様子が眼に浮かぶ、可愛らしくてちょっとお茶目な作品ですね。作品によって、メダカモチーフがもっと丸みがあったり、泳いでいる様子がもっとはっきりしていたり、様々あります。 是非、お気に入りのメダカ柄を探して見てください。
氷コップ 三色つなぎ卍文
鮮やかな赤、白、青のコントラストがモダンな氷コップです。
乳白色の卍つなぎの紋様が、透明なガラスの上に柔らかく浮かび上がっています。
この卍紋様は、あぶり出しという方法によって、無色透明の下地に表されます。
*詳細はページ最後の「ガラスの技法」をご覧ください。
あぶり出しの製法で浮かび上がった紋様は、同じ紋様でも作品ごとに異なるので、
たくさん揃えて微妙なニュアンスの違いを楽しめます。
また、この3色のコントラストが魅力的なこの作品ですが、
一般的に赤や青の色を着色するために、金属酸化物が用いられます。
この真っ赤な赤は、セレンという金属による発色と思われ、
大正時代にから使われ始めたそうです。
口縁部の赤い下地では、特に卍文がはっきり浮かびます。
サイズは、口径8cm、高さは11.5cmほどで、とても使いやすい大きさです。
氷コップの形はいくつかありますが、これまでご紹介した碗型とは異なり、コップは縦長で、なつめ形と呼ばれています。
本来、氷水を飲むためのものがかき氷用に応用されたものという説もあるくらいなので、もちろんドリンク用としても使えます。
むしろ、底が深いので、我が家ではドリンク用としての活用頻度の方が高いです!
氷コップ 糸巻き文/千筋文
ピンクのボーダー柄と薄いグリーンがなんとも可愛らしい配色の氷コップです。
このボーダー模様は、正式には糸巻き文/千筋文と呼ばれ、糸を巻きつけたように見えることからこう呼ばれています。製作工程の中で、ガラス紐を幾重にも巻きつけて作られます。
ステムとフットは、ウランガラスを使用しており、この独特の蛍光色がとてもモダンですね。
ウランガラスは1830年前後(江戸時代)にチェコで発明されたそうで、現在ではチェコとアメリカで作られているのみで、とても貴重なガラスです。
※ウランガラスに含まれる放射能は人体に影響のない程度です。
写真でも少しゆがんで見えますが、大量生産品にはない手作りの温かみが伝わってきますね。
巻き糸のうねりも柔らかい印象を与えてくれます。
<サイズ> 口径 9.7cm 高さ 8.7cm 高台 7.1cm 重さ 233g
ピンクのお花を思わせるようなこの作品は、夏まで待てず、ついつい春から使ってしまいます。
我が家ではヨーグルトやアイスクリームをのせて使うことが多いですね。
また、インテリアにもなるので、アクセサリーを入れたりすることもありますよ。
レトロなだけじゃない、私のお気に入りのオシャレな氷コップです。
氷コップ 千段巻文
こちらは、上でご紹介した糸巻文と同じく、ガラス糸を巻きつけて作られた模様で、
繊細な柄が印象的な作品です。
細くたくさんの糸が巻きつけられていることから、千段巻きという名前がつけられています。
このように、熱されたガラスに細い糸を均等に巻きつけるのには、非常に高い技術が要求され、
熟練の技が光る作品です。
また、口元は真紅のバラの花びらを思われるかのような膨らみがあり、他の氷コップには見られない、エレガントで妖艶な雰囲気が漂っています。
<サイズ> 口径 9.7cm 高さ 8.7cm 高台 7.1cm 重さ 233g
しっとり大人っぽい色合いのこのコップは、 洋食器のようにコンポートとして使うのもありですね! この作品は、明治時代のものと思われるため、きっと当時のハイカラな家庭では、西洋からのアイデアをたくさん取り入れて、この氷コップを存分に楽しんでいたことでしょう。
温かみのある色合いなので、我が家では年中使っています。 クリスマス時期には、小包装のチョコレートを入れてお客様をおもてなしすることも。
評判が非常に良く、丁寧に作ってくださった職人さんに感謝です!
氷コップ 掻き上げ文
こちらは、透明感のあるブルーが海を思わせるような氷コップです。
乳白色の柔らかなラインが波を想像させ、とても涼しげですね。
このような波のような乳白色の紋様は、掻き上げ文と呼ばれます。
糸巻文と同様にガラス紐を何重にも巻き、
熱いガラスの表面を引っ掻くことに由来しています。
技法もどんどん進化していったのですね。
明治時代の職人さんたちの思考を凝らした工夫が生きています。
素材は違えども、何だかラテアートの要領に似ているな~なんて思います。
この鮮やかなブルーを出すのは、酸化銅が使われているのかな。
このブルーを引き立たせるかのように、足元は無色透明のスッキリした配色です。
サイズは、口径 9.3cm、高さ 8.5cmです。
碗が深く安定感がありますので、もちろん氷菓子だけでなく、幅広い用途に使えます。例えば、わらび餅を盛ったりすると、庶民的なおやつが一段とハイセンスなお茶菓子に大変身です!ディップ用の野菜を簡単に盛り付けるだけでもOK!
本当に良いものは、時代を超えて楽しめますね。
氷コップ 象嵌
エメラルドグリーンがパッと目を引くこの作品。
このような模様は象嵌(ぞうがん)と名付けられています。
この模様は、ガラスの棒をスライスして作られたパーツを、ベースとなる地に埋め込むようにして作られます。スライスされた断面により、模様の形がきまります。
お花に見えるものもあって、ひとつずつじっくり見るととてもおもしろいです。
この作品もステム+フットは気泡入りのウランガラスを使用しており、
白とグリーン系の配色で、スタイリッシュですね。
<サイズ>
高さ 11.5cm
直径 8.0cm
コップの縁は滑らかに作ってあるので、口当たりは非常に良く、
安定感もあって、日常的に使えるアイテムです。
なつめ形なので、飲み物用またはシャーベットグラスとしても、
またカジュアルに白ワインにも使えちゃいます!
象嵌はもちろんひとつひとつ手作りなので、形や色合いが全く同じものはありません。象嵌は、手作りならでわの温かさが感じられる模様の一つです。
骨董屋さんで見かけた時は、じっくり模様を観察して見てくださいね。
氷コップ 赤縁
こちらは、赤縁という口縁部を赤く縁取ったデザインの氷コップです。のちにご紹介しますが、青に縁取った青縁も同様に人気があります。
大正時代から昭和初期にかけては、赤ベリ/青ベリという名称で親しまれていたそうです。色のついたところに、部分的にぼかしが入った作品もあります。
高さは、8.5cmほどの一般的な氷コップの高さです。
また、この作品のような口縁が反った形状はベル型と呼ばれていて、
なつめ型と同様に、西洋の食前酒やリキュール用または氷水用のグラスが、
かき氷やシャーベットのような氷菓子用に改良を重ねられたようです。
妖艶なワインレッドと、ベル型の凛とした形がとてもフェミニンな印象ですね。
フルーツたっぷりのゼリーなど入れると、乳白色のコップとは違って外からでも綺麗なフルーツが見えてテンション上がります!
赤縁、青縁以外の縁色のものはまだ持っていないのですが、あぶり出しの紋様と組み合わせたデザインもたくさんあります。同じ赤縁でも紋様の違いで、どのように印象が変わってくるのか、想像するだけでもワクワクします。
氷コップ 青縁
こちらは、青縁が施された氷コップです。
通称、「青ベリ」ですね。
口縁が青で縁取られているだけでなく、花びらのようにデザインされています。
上から見ると、お花に見えとても可愛らしいです。
完全に同じ形の花びらのない、手作りの良さが伝わります。
また、青縁としてご紹介していますが、この青と緑の中間色がレトロですね。
この微妙な色合いについて調べてみたところ、孔雀青という名前の色が一番近いのかな~と思います。明治時代に西洋から取り入れられた色だそうで、氷コップが作られた時代とマッチします。当時、流行りの色だったかもしれません。
ガラスの着色には、以前にもご紹介したように、配合する金属の割合で微妙な色合いを作ることができます。なかなかこのような中間色を出すのは、経験豊かな職人さんでないと難しかっただろうと思います。
この氷コップは温かい色味なので、意外と秋から冬にかけて使いたくなる作品です。ガラス製の食器が少なくなってくる時期の食卓では、とても目を引くアイテムです。是非、赤縁と一緒に並べたいですね。
<サイズ>
直径 約11.5cm 高さ 約7cm
氷コップ 色吹雪文(ピンク)
何とも美しいこのデザインは、吹雪文と呼ばれています。
吹雪が舞うように見えることに由来しています。
ピンクとなると、まるで桜吹雪をイメージさせてくれますね。
このような模様は、ガラス成形前の熱された柔らかいガラスをベースとして、金属板などの上に散りばめられた着色ガラスを棹で巻き取るようにして作られます。
したがって、異なる色はもちろんのこと、着色ガラス片の大きさや巻き取られ方によって、様々な表情を見せてくれます。手作りならではの楽しみ方ができる紋様のひとつです。
透明ガラスとオパールガラスの柔らかな境界線が、ふんわり優しい気分にしてくれますね。特に女性に人気の作品で、私も骨董屋さんで見つけた時には、胸がキュンとしてしまいました。
この氷コップは、夏を待たずに春先から食卓を華やかに飾ってくれます。
私が持っている中でもこうして2つ揃っているのは珍しいので、ずっとセットで使えるよう大事に使っています!
<サイズ>
口径7.6cm 高さ11.3cm
氷コップ 赤縁 (口縁折り返し)
こちらの氷コップは、赤縁の口縁部が外側に折り返してあるデザインです。
ベル型の反った口縁部をそのまま折りきったイメージですね。
柔らかいガラスを綺麗に完全に折り返すのはとても難しそうです。
これこそ熟練の職人さんの成せる技です!
初めて、この氷コップを手にした時は、とてもフェミニンな印象を受けました。
もちろん、赤という色のせいもあるのでしょうが、なんでかな~?と考えてみると、襟ぐりが大きく折り返しになっているオフショルダーの洋服に似ていることに気づきました!!
オフショルダーはイヴニングドレスに多く用いられるデザインです。
西洋の文化を多く取り入れられた明治時代には、そんなドレスを目にすることもあって、ひとつの西洋への憧れかもしれませんね。
※この氷コップのデザインの由来は不明なので、あくまでも個人的な感想です。
また、つやのある落ち着いた赤が、さくらんぼをイメージさせます。
氷菓子だけでなく、プリンとの相性も抜群です。
サイズは、内径11cm、高さ7cmと、一般的な碗型氷コップの大きさです。
シンプルなデザインなので、飽きがきません。
色違いの青縁バージョンもコレクションしたくなるアイテムです。
氷コップ 色吹雪文(イエロー/オレンジ)
こちらは、華やかなイエローとオレンジの吹雪文がデザインされた氷コップです。
以前ご紹介した可愛らしい桜のような吹雪文とは異なり、
着色ガラス片は小さなものかあら大きなもの、また丸いものから四角に近いものなど、
形や大きさのバリエーションが豊富です。
これによって大胆な印象がぐっとアップしています。
また、エネルギー溢れる鮮やかなイエローとオレンジの配色が、見ているだけでも元気を与えてくれます!
口縁は、花びらのように優しくカッティングが施されており、大胆さの中にも美しさを兼ね備えた作品です。
このようなデザインがゆえに、写真で見ると大き目のコップに感じられますが、
サイズは口径11.7cm、高さ6.7cmで、通常の氷コップの大きさです。
使い回しがきいてとても使いやすいです。
私の場合は、春先から秋にかけて、氷菓子のコップとしてだけでなく、テーブルセンターとしてお菓子を飾ったり、玄関の小物入れに使ったりすることもあります。
誰もが目を引くような存在感があり、空間がパッと明るくなるので、とても気に入っています。
氷コップ 水玉文
こちらは、モダンな水玉文が浮き出ているラッパ形の氷コップです。
この水玉文も、あぶり出しの技法により現されています。
*あぶり出し技法については、ページ最後の「ガラスの技法」をご覧ください。
水玉模様は、世界中で衣服やアートなどにも頻用され、日常生活で目にすることの多いとても親しみがある柄ですね。
洋服のデザイン画を描く友人いわく、水玉模様はすでに安土桃山時代には日本の歴史に登場していたそうです。私の印象として、水玉模様はポップなイメージだったので、水玉模様も明治時代くらいに日本に取り入れられたのかな~と想像していましたが、歴史の古さに驚きました!
意外と純和風だったのね、この氷コップ。
ラッパ形は、カクテルグラスの背を低くし多様な形で、とてもお洒落です。
ラッパ形のコップにブルーの足元という組み合わせは、残っている氷コップの中でもとても貴重なものだそうです。
透き通るブルーが海を、水玉は海の中の水泡を連想させてくれます。
このような清々しい氷コップならば、どんなシンプルな氷菓子でも気分は爽やか!蒸し暑い日本の夏も乗り切れそうですね。
<サイズ>
口径 約10cm 高さ 約9cm フット直径 約7cm 重量 約200g
氷コップ 市松文
こちらは、市松文と呼ばれる紋様があぶり出し技法*によって表されている
大正時代の氷コップです。
(*詳細は、ページ最後のガラスの技法を参照)
皆さんご存知の通り、市松模様は2020年の東京オリンピックのエンブレムで近頃話題となっています。海外で言う「チェック」ですが、日本での歴史は古く、古墳時代(3-7世紀頃)の埴輪にもこの模様が用いられているそうです。
言ってしまえばシンプルな正方形のデザインなのですが、製作時にガラス自体の重さによって柄がよれたりしないよう、あぶり出しの際に用いられる金型は一定の正方形ではなく、一部は横長に彫られているそうです。
こういった工夫があるからこそ、出来上がりには美しく並んだ市松文を目にすることができるのですね。
オリンピックのエンブレムのように白と紺色の純和風な市松文が、この作品のように白と無色透明のコンビネーションになると、一気にモダンになります!
また、ステムとフットのウランガラス特有の鮮やかなグリーンによって、
一層おしゃれ感が増しています。
伝統敵な柄とカジュアルさを兼ね合わせたこの氷コップは、使う機会を選びません。コップの部分は、底が平たく、またステムもしっかり太いので、何を盛り付けても安心ですよ!
<サイズ>
口径 約12cm 高さ 約7.8cm
氷コップ 黒脚
こちらは、真っ黒な足元がシックな乳白色の氷コップです。
ガラスに着色原料を混ぜる際、色々な着色原料を混ぜたら黒っぽくはなりますが、完全な真っ黒というのはかなり難しいそうです。
私が持っている黒系のガラスの中でも、紫がかったものはありますが、ここまでピュアな黒はこれだけです。熟練の技ですね!
また、黒脚が出回り始めたのもちょうど昭和初期くらいだそうで、氷コップの歴史から見ても比較的新しいものです。
さらにこの作品の素敵なところは、この黒脚にほんのりピンクがかって見える乳白色とのコンビネーションです。この淡い色が重たくなりがちな黒を程よく中和してくれて、むしろ軽やかな印象をも受けます。
写真のように横から見るとボウルの部分がお花にも見えますが、実は上から見ると少し丸みを帯びた正方形なんです。私はこれまで正方形の氷コップはこれしか見たことありません!とてもレアな作品だと思います。
氷コップとしてご紹介していますが、透明ガラスの部分がなく、
どちらかというと温かみが感じられる作品ですので、使う機会は断然冬が多いですね。シックで且つほっこりした気分にさせてくれるハイセンスな作品です!
<サイズ>
口径 10cm 高さ 7.5cm
氷コップ 輪つなぎ文
こちらは、輪つなぎ文と呼ばれる美しい文様の作品です。
輪つなぎ文は市松文と同様に、日本の伝統的な幾何学模様のひとつです。
オリンピックのシンボルマークである五輪のように、文字通り”輪がつながった文様”なのですが、輪の繋がり方により表される文様は異なります。
この輪つなぎは隣接するそれぞれの輪が全て重なりあっていて、
遠くから見るとまるで編まれたレースのようにも見えてとてもエレガントです。
あぶり出しの技法*により表された輪つなぎ文ですが、この作品の文様は
ヨレもなくくっきりと浮かび上がり、職人さんの技術が光っていますね。
(*ページ末尾のガラスの技法参照)
また、輪つなぎ文様が生み出す空気の通り抜け感に加え、少しだけ顔を見せる足元のスカイブルーがより清涼感を与えてくれます。
私のコレクションの中でも、夏を感じさせてくれる1番の食器といっても過言ではない作品です。
ステムのない碗型のデザインですので、脚付よりもさらに安定感があり、
フルーツや冷たい前菜の盛り付けも楽しめる作品です。
<サイズ>
口径:10.5cm 高さ:5.7cm 脚直径:5.4cm 重量:177g
氷コップ 雪解け文
こちらは、大正時代の雪解け文と呼ばれる文様の氷コップです。
道端の積もった雪が解けてゆく際に、徐々に浮かび上がる不思議な模様を表している
のでしょうか、それとも雪山がゆっくり山肌を見せてゆく斜面の様子でしょうか。
どちらも春の訪れを教えてくれる、素晴らしい自然の模様ですよね。
あぶり出しにより浮かび上がる模様も、自然が作り上げたように、
ひとつひとつの模様が異なっているのが鑑賞のポイントです。
初めて見たときはこまだの文様のことを知らなかったのですが、コップの底から模様が湧き上がってくるような、とても幻想的な気持ちになったのを覚えています。
この作品に見られるような赤縁と青脚の氷コップは、私がコレクションしている中でも幾つかありますが、作品ごとに微妙に色合いが異なります。
同じ配色の文様違いの氷コップを集めてみるのも、コレクターならではの楽しみ方です!
<サイズ>
口径 8cm 高さ11.3cm
なつめ型をしており、口径は碗型に比べると少し小さめです。
ステムとフットはウランガラスです。
このコップでよく冷えたビールを飲んだらとっても美味しいですよ!
氷コップ 矢羽根文
こちらは、赤縁に矢羽根と呼ばれる文様が表された氷コップです。
矢羽根模様は、お正月に神社で授与される破魔矢の先についている
あの羽根を簡略化した文様です。弓矢の羽根もそうですね。
弓矢は古くから男の子のお祝い事に使われ、また魔除けや”的を射る”とも言われるように、縁起物のひとつとして重宝されてきました。
大学の卒業式などで選ばれる袴のデザインとして非常に人気がある柄ですね。女性が袴を着用するようになったのは明治時代以降で、明治時代後半には女子学生の間に急速に普及したそうです。
このコップがちょうど明治後半から大正初期の作品と思われるため、かき氷の普及と共に、当時このコップは流行の最先端だったのかもしれません!
口縁部のほんのりした赤がとても可愛らしいですね。
一般的な氷コップに比べて、多少ガラスが薄めで華奢なイメージです。
<サイズ>
口径 8cm 高さ11.3cm
矢羽根文の氷コップは、あまり多くは市場に出回らない貴重な作品です。
縁起の良い柄なので、我が家では春夏秋冬問わず、お祝い事の際は
さりげなくテーブルに飾っています。ちょっとしたお花生けるのもグッドです!
氷コップ 玉だれ文
この作品は、玉だれ(玉垂れ)文と呼ばれる玉がつながった様子を描いた氷コップです。
上から見ると、まるで良く熟れたスイカの皮の柄にも似ていますね!
こちらもあぶり出しの技法*により表されています。
(*詳細は、末尾のガラスの技法参照)
縁の少し下のあたりから、玉だれが縁を沿って美しく流れている様子がお分かりでしょうか。
このようなデザインは玉だれ文でも珍しく、動きが感じられますね。
また、玉だれが集中するコップ底の中央には菊花のような模様が表されています。
目を引くチャーミングなワンポイントですね。
花模様に浮き出ているように、ステムとフットは目が覚めるようなイエローグリーンの
ウランガラスを使用しています。
大きさは、一般的な氷コップのサイズで、非常に使いやすいです。
<サイズ>
口径 約10.3cm 高さ 約9.3cm
鮮やかな色のコンビネーションで、インテリアのアクセントにもぴったりです。白いレースのコースターなど敷くと意外とエレガントなイメージにもなるんですよ。朝食時にはヨーグルトを入れたりします。インパクトある食器で、朝から元気いっぱいもらえる気がします!
玉だれ文の中でも、凝ったデザインの希少な作品です。
コレクションに追加した時は、コレクション棚が一気に明るくなりました!!
氷コップ 籠目文
こちらは、籠目文と呼ばれる文様が浮きでた氷コップです。
竹を編んだ竹かごのような網目を模した文様であり、日本の伝統的な幾何学模様のひとつです。
この文様も、あぶり出しの技法により表されています。
着物や、江戸切子などのガラス食器にも多く使われていて、とても人気の高い柄ですね。
大きさは、一般的な碗型氷コップの大きさで、コップとしてというよりは、
小鉢として、食事に使うこともあれば、キャンディー入れとして使うこともあります。
足元のスカイブルーがチラッと見えるとことが私のお気に入りポイントです!
<サイズ>
高さ8.5cm 口径10cm
氷コップ 七宝つなぎ文
こちらは、鮮やかなエメラルドグリーンのぼかしがしっかり入った、
七宝つなぎ文が表されている氷コップです。
七宝つなぎ文は、同じ大きさの輪(七宝文)を円周の四分の1ずつ重ねて繋いで作られる文様です。
七宝とは、仏教の経典記載のある七つの宝物(金、銀、瑠璃、珊瑚、瑪瑙(めのう)、玻璃(はり)、真珠)を指し、代表的な日本の伝統模様の一つです。
輪が永遠に耐えることがなく、拡大していく様から、円満や調和といった
とても縁起の良い文様です。
なつめ型の七宝文のデザインの3色の氷コップでは、赤色のぼかしが入ったものを
よく目にしますが、このようなグリーンは非常に珍しいです。
グリーン系で統一されており、とても爽やかですね。
ウランガラスのステムは太く安定感があります。
ボウル部分のガラスもしっかりしており、レトロなガラスの重厚感が感じられます。
私は夏になるとこの氷コップで冷酒をいただきます。
夫婦円満が末長く続きますように~!
矢羽根文などの縁起ものを一緒に是非そろえておきたい作品です。
<サイズ>
高さ 約12cm
口径口径 約8cm
氷コップ 亀甲文
こちらは、亀甲文と呼ばれる文様が表されたシックな氷コップです。
ご覧の通り、六角形をつないで作られる幾何学文様が亀の甲羅に似ていることからそう呼ばれています。また、亀が長生きすることから、長寿の吉祥文として知られています。
この作品の亀甲文のように、紋様がはっきり美しく表されているものは
とても珍しいのではないかと思います。
文様が集まるボウルの中心には、小さな白い菊の花が描かれていて、
全体に広がる文様をぐっと引き締めてくれています。
四季を通して食卓を上品にかつモダンに飾ることができ、また
脚のない碗型なので、小鉢として前菜からデザートまで和洋問わず幅広く使えています。
文様の意味を知っていると、毎日の食器選びも楽しくなりますね!
<サイズ>
口径 約11cm
高さ 約5cm
氷コップ 毘沙門亀甲文
こちらは、先ほどご紹介した亀甲紋のバリエーションの
毘沙門亀甲文という文様の氷コップです。
見慣れないとなんだか不思議な文様ですが、七福神の一人である毘沙門天が着用する
鎧の柄に由来して名付けられました。
毘沙門天は、元々ヒンズー教の神様ですが、日本では福や財をもたらす神様として
知られています。
文様がはっきりと見え、赤縁とボウルの底にさりげなく見えるグリーンの足元が
とても美しい作品です。
全体としては、インパクトのある柄と鮮やかな色あいなので、
野菜の前菜などを盛るととても食欲を沸かせてくれます。
手作りの温もりを感じられるぽってりとしたガラスの感触なので、
我が家では、和食の際に出番の多い食器です。
食べ終わった後に顔を見せてくれる中央の菊の花が嬉しいですね。
楽しんで使って欲しいという職人さんの気持ちが現れているかのようです。
<サイズ>
口径 約10cm 高さ 約10cm
氷コップ 鱗文
こちらは、足元の鮮明なブルーが珍しい、鱗文の氷コップです。
魚の鱗に似ているからそう名付けられたのだと思っていたのですが、
魚だけでなく、龍や蛇の鱗に由来しているとも言われているそうです。
三角形を規則正しく並べられた日本の伝統ある幾何学模様の一つです。
歴史は古く、古墳時代にも用いられたいたそうですが、外国ではそれよりもさらに古い時代に確認されていたとか。
鱗だけに、護身や身を固めるなどの縁起の良い文様として、着物やその他のデザインに
広く使われています。
この作品の素晴らしい点は、美しい文様だけではありません。
氷コップに使われるブルーの中でも、際立って発色の良いブルーの足元が鱗文の重厚感をさらに高めています。上品で凛とした印象のこのブルーが私は大好きです!
深みのあるブルーなので、ガラス製品の出番が少なくなる冬でも大活躍してくれています。
暖かい部屋で、この氷コップで食べるアイスクリームは格別の美味しさです!!
<サイズ>
口径 9.8cm 高さ 7.6cm
氷コップ 十字絣文
こちらは、十字絣文と名付けられた文様の氷コップです。
着物の柄としてだけでなく、こうして氷コップのデザインとしても使われるんですね。少し丸みを帯びたような十字が木綿に織られたような独特の雰囲気が出ていて、とても温かみが感じられます。
幾何学模様はシンプルなところが魅力でもありますが、こうして中央に
花のモチーフがあることで、可愛らしさも兼ね備えた作品です。
写真では少しわかりにくいですが、この氷コップは黒脚です。
ステムとボウルの接合部が、淡い乳白色ガラスと黒ガラスが程よく混ざって見えて、神秘的なぼかしになっています。
<サイズ>
口径 約10cm 高さ 約8cm
この十字を少し斜め45度くらいに傾けた十字絣文もあるそうです。
私のコレクションにもそんな十字絣を追加してみたく、探し中です!
氷コップ 碁盤文
こちらは、碁盤の目のようなデザインの碁盤文と呼ばれる文様が表されている
氷コップです。
ふんわりとした乳白色のガラスを下地として、碁盤の目がくっきりと規則正しく浮き出されています。
幾何学模様のデザインと黒脚のコンビネーションは、とても相性が良いですね。
昭和初期の最先端の黒だった黒脚と合わせることで、
伝統的な文様もファッションとしての流行りを迎えたことの表れかもしれません。
もちろん、アイスクリームを入れても良いですが、私はこの氷コップには
和のデザート、例えばわらび餅や冷やしぜんざいなどを合わせることが多いです。
口縁は滑らかで、ガラスの厚さもちょうどよく、つめたーいぜんざいは特にオススメです!!
<サイズ>
口径 約10cm 高さ 8cm
氷コップ 菊花文
思わず、れんこん??と言ってしまいそうなこの可愛らしい柄は、菊花文と呼ばれる文様です。
食器に菊の花をモチーフとした真意はわかりませんが、菊は桜と並んで日本の国花です。
パスポートの表紙にも、菊の花が描かれていますね。
昔から菊は皇室の象徴でもあるため、高貴や品格を表すものとして日本人にはとても親深い花です。
写真でご覧の通り、花を形作る乳白色の地に、8枚の花びらがどれもヨレることなく明瞭に映し出されています。繊細な菊花文とそれ全体を包むかのような淡いブルーの入ったガラスも印象良く、爽やかさと華麗さの両方が味わえる作品ですね。
私はデザートよりも断然、和食のサイドメニューに使用することが多いですね。この食器に合わせて作る料理は、自然と優しい味付けになります。
この文様を見ているといつのまにか穏やかな気持ちになり、
やっぱり日本人だな~とつくづく思います。
<サイズ>
口径 10.6cm 高さ 8.3cm
氷コップ 鼓文
可愛らしいリボンのようにも見えるこちらの文様は、鼓文と呼ばれています。
舞楽で使われる鼓の形を図式化したものです。
古くから鼓文様には、美しい音が鳴るというのと 素晴らしい実がなるというのをかけて、豊作の縁起物として着物の柄などとしても広く愛されてきました。
縁起が良い上に、見ているだけで楽しい音楽が聞こえてくる気がします。
<サイズ>
口径 約10cm 高さ 約8cm
氷コップ 斜格子文
こちらは、格子が斜めに浮き出ていることから、斜格子文と呼ばれている文様です。
碁盤文とのはっきりした区別が実は私もよくわかりませんが、碁盤の目も斜めにしたら、
こうなりますよね、きっと。
格子柄は日本の伝統文様のひとつで、この写真でいう白く浮き出た菱形の部分をアレンジすることで、例えば花を描けば花入り菱格子、竹節を描けば竹節入り格子などバリエーションが豊富です。このような細かい格子柄は氷コップではみたことがないのですが、古くから着物の柄として愛さ、現在でも人気の高い柄です。
長い間愛される柄とは、こういったシンプルなデザインなのかもしれません。
昭和初期の作品とは思えないほど、今でも十分おしゃれ感がありますよね!
<サイズ>
口径 約8cm 高さ 約12cm
氷コップ 波千鳥
こちらは非常に珍しい柄で、波千鳥文と呼ばれています。
写真のちょうどステムを口縁部まで伸ばしたところに、可愛らしい二羽の鳥が見えるかと思います。澄み切った青空と大海原の間を飛んでいる姿です。
この柄もあぶり出しにより表されていますが、氷コップに動物が浮き出されているのはとても珍しいのですが、波千鳥はとても縁起の良い柄だそうです。
波は世間を表し、二羽が寄り添って飛ぶ様子から夫婦円満、家内安全を意味するそうです。
この氷コップを祖母からもらった時は、可愛い~!だけど色も少なくちょっと地味~!なんて思っていましたが、込められた意味を知るとさらに愛着が湧いてくるものですね。今でも大事に使っています。
日本の伝統文様を知る楽しさを教えてくれた作品です。
<サイズ>
口縁 約10cm 高さ 8.5cm
氷コップ 梅鉢文
こちらは、梅の花を模式化した梅鉢文が浮き出た氷コップです。
梅の花は日本人にともても親みのある春の花ですが、
歴史上の人物で特に梅に対して特別な想いがあったと思われるのは菅原道真です。
「東風吹かば 匂いおこせよ 梅の花 主なしとして 春を忘るな」
これは、菅原道真が太宰府への左遷が決まった際に、
可愛がっていた自宅の梅の花を見ながら詠ったと言われています。
この梅は、後に主人を追うようにして太宰府まで飛び、道真を慰めたともいわれています。
福岡の太宰府天満宮の庭にある飛梅とされる梅の木ですね。
太宰府天満宮だけでなく、北野天満宮やほとんどの菅原道真を祀る日本各地の天満宮や天神様の文様は梅に関するものです。なんと、家紋だけでも梅に関するものは50種類も超えるそうです。梅鉢の家紋は菅原家の子孫の家系または天満宮、天神様に由来する家系の可能性が高いんだとか。
この作品は特に文様の抜けが良く、口縁部の真紅がとても麗しい食器です。
大正時代にはどんな人が使っていたのかな。
道真公を思うとちょっと切なくなる早春です。
<サイズ>
口径 約10cm 高さ 約8cm
氷コップ エンボス/あられ文様
こちらは型吹きの技法で作られたと思われる、あられエンボスの氷コップです。
立体的な水玉をついつい触ってみたくなるような、とても遊び心のある面白い作品です。
口縁部は鮮やかな赤縁、そしてほんのりピンクがかった乳白色がとても優しい印象で、
ステムに近くほど透明感が増していきます。
この美しいグラデーションもこの作品の見どころですね。
さらに上から見ると口縁部は花びらの形をしていて、とっても可愛いです!
立体的な柄を入れると重たいイメージになりそうですが、その点はなつめ型の
凛とした形が上手くスタイリッシュにまとめてくれています。
デザイン性の高いこの氷コップは、テーブル上ではひときわ目を引きます。
食器としてでなくても、ちょっとしたインテリアとしても主役級です!!
<サイズ>
口径 8cm 高さ 約12cm
氷コップ 縦縞文
縦縞文と黒脚がとてもモダンな氷コップです。
白のラインはあぶり出しにより表されています。
文様としてはそう珍しくない柄ですが、氷コップの文様としては
意外と珍しいのではないかと思います。
碗型のぽってりした型にも関わらず、縦のラインによる引き締められ、
むしろシャープな印象さえも与えています。
シンプルで飽きのこないこのデザインは、四季を問わず活躍してくれる
食器です。また、ツルツルとしたガラスの肌触りは他と比べても格別です!
<サイズ>
口径 9.5cm 高さ7cm
氷コップ 赤縁乳白
こちらは、口縁部の鮮やかな赤と乳白色の下地の混ざりが美しい氷コップです。
赤いガラスの上に乳白ガラスを巻くように作られるため、
赤色がボウルの内側に現れ、外側は乳白色のヴェールで覆われたような
柔らかな色合いになります。
光にかざすと透明感が増し、ロゼワインのように輝いて見えます。
口縁部が小さな花びらのイメージで作られているので、
飲み物用としては不向きですが、デザートならなんでもよく合います。
でもやっぱり、イチゴの練乳がけかき氷がベストでしょう!!
<サイズ>
口径 約8.5cm 高さ 約11cm
ソーダコップ 古代文
こちらは、古代文が浮き出されているソーダコップです。
現在でも、ラムネがレトロな瓶で販売されている様子は夏の風物詩とも言えますが、
すでに明治10年代頃には、瓶に入れられた天然の炭酸水が民間に出回っていたそうです。
ラムネは西洋のレモネードを起源としており、製法自体は幕末に伝わっていたそうですが、
広く一般に普及したのは明治に入ってからなのですね。
古代文という呼び名の由来は不明なのですが、古代エジプトの彫刻や壁画などにみられそうな
不思議な文様ですね。あまり多くは出回っていない珍しい柄だと思います。
口径は氷コップより少し小さめで、ソーダ用のコップは、氷コップに比べてこの作品のように縦長のスタイルが一般的です。
<サイズ>
口径 6.5cm 高さ 11.5cm
もちろん、ソーダだけでなくビールや白ワイン、スパークリングワインに使っても
美味しくいただけます!!色のついたの飲み物だと、柄がはっきりみえてとても楽しめる
作品です。
アイスクリームコップ 千段巻き/千筋文
こちらは、氷コップでもご紹介した千筋文が、コップの上部にのみ施された
アイスクリームコップです。千段巻きとも呼ばれます。
日本人としての初めてアイスクリームを口にしたのは、幕末まで遡り、
アメリカへ航海中の日本の使節団だったそうです。
一般的に、国民に広がったのはかき氷と同時期の明治初期だそうで、
クリーミーなミルク味のアイスクリームは、当時においては流行最先端の
デザートだったことでしょう。
アイスクリームコップは、かき氷用とされていた氷コップに比べると
全体的に小さめで、底上げのスタイルが主流です。
このアイスクリームコップは、ブルーの縁取りが美しく、細く白い千筋が見事な作品です。アイスクリームコップは開口が小さめなため、小さいアイスクリームディッシャー(お店などでアイスクリームをすくう丸い大きなスプーン)をお使いになることをお勧めします!
<サイズ>
口径 約6cm 高さ 約12cm
アイスクリームコップ 取手付き
こちらは、取手のついた赤縁が可愛らしいアイスクリームコップです。
このように、底上げで取手のついたアイスクリームコップも一般的なもので、
取手のおかげで冷たいコップも手を滑らせることなく使えます。
取手のホールは大きく、女性でしたら指がしっかり入ります。
この作品は、特に小さく作られており、ちょっとした食後のデザートとして
重宝しています。
飽きがこないシンプルなデザインなので、何年かかけて実家では家族の人数分そろえました。
もちろん全て手作りなので、形や色が微妙に違ってそれぞれの顔を楽しんでいます。
<サイズ>
口径 約6cm 高さ 約7.5cm
アイスクリームコップ グラヴィール 羊歯
この作品をアイスクリームコップと呼ぶかどうかは正直わかりませんが、
一般的なアイスクリームコップと同じくらいの小さなコップで、
大正時代から昭和初期にかけての作品と思われます。
この作品の羊歯(シダ植物の総称)の文様は、グラヴィール*またはグラビュールと呼ばれるガラスの表面を削るようにして模様を描く技法が用いられています。
羊歯の葉が風で揺らめいている様子がとても繊細に表現されていますね。
*グラヴィール技法の詳細については、末尾のガラスの技法を参照ください。
我が家では大き目のショットグラスとして、または冷酒などに使っています。
耐熱ガラスではないので、冬場でしたらぬる燗ぐらいまでなら大丈夫です。
持ち手が大きくて持ちやすく、使い勝手がとても良いです!
<サイズ>
口径 約6.5cm 高さ 9.5cm
氷コップ/盃グラス グラヴィール 蔦文
こちらは、グラヴィールにより蔦の文様が施されたコップです。
蔦が作り出す自然の曲線美が素晴らしく表現されていますね。
*グラヴィール技法の詳細については、末尾のガラスの技法を参照ください。
蔦がどんどん広がって伸びていく生命力の強い植物であることから、縁起の良い
文様として、家紋に採用されることの多い柄だそうです。
美しいだけじゃなかったんですね!!
盃としても、もちろんお口直しのシャーベットなどにも活用できます。
ちょっとした前菜を添えたい時でも、テーブルをとてもオシャレに演出できますよ。
お祝い事などには最適な食器です。
<サイズ>
口径 5.5cm 高さ 4.5cm
サンデーグラス
こちらはサンデーグラスと呼ばれている食器で、アイスクリームにフルーツやチョコレートのソースなどでアレンジされたデザートを盛り付けるグラスです。
先にご紹介したアイスクリームコップとしてまとめて呼ばれることも多いですが、
一般的なアイスクリームコップに比べて、トッピングを乗せて楽しめるように
口径は広く作られており、食べやすいよう改良されています。
口縁部は乳白色のぼかしが入っていて、幻想的ですね。
上から見ると口縁は六角形をしており、とても凝ったデザインです。
シンプルなゼリーなどでも豪華に見せてくれるサンデーグラスです!
<サイズ>
口径 14cm 高さ 10cm
小鉢 蝶と菖蒲文
こちらは、大正時代の作品と思われる(花)菖蒲と蝶の文様の小鉢です。
緑縁とうっすら緑がかった乳白色の地に、文様がはっきりと浮かび上がっています。
なぜかあまりコップでは見かけない文様ですが、小鉢においてはとても人気が高かった
ようです。
菖蒲はしょうぶと読むことから、「勝負に勝つ」や「礼儀正しさ」を意味するそうです。
蝶は、その生涯同じパートナーと寄り添うことから、夫婦円満の演技の良い文様です。
西洋では、菖蒲の花(Iris)には「メーッセージ」や「希望」「信頼」といった意味合いもあるそうです。まるで良い知らせを蝶々が運んできてくれるかのようですね。
花菖蒲の季節(梅雨)は憂鬱なお天気が続きますが、この美しい小鉢を使うと
自然と爽やかな気持ちになります!
<サイズ>
口径 約11.5cm 高さ 約5.5cm
みつ豆鉢 瓢文/まゆ玉文
こちらは、珍しい瓢(ひさご)の文様が浮く出されているみつ豆鉢です。
見方によっては、まゆ玉にも見えますね。
瓢とはひょうたんのことですが、ひょうたんは古くから薬入れとして用いられた
ことから健康成就として、または魔除けの意味で福岡県の太宰府天満宮ではひょうたん
祭りも開催されます。
みつ豆は江戸時代から甘味として知られていましたが、現在のような形は
明治30年頃に浅草の和菓子店 舟和 がその発祥だそうです。
今でも全国のデパートで取り扱われているかの有名な舟和さんですね!
きっとみつ豆の発展とともに、器も様々なデザインが流行ったことでしょう。
足元のちらっと見える鮮やかなブルーもお気に入りのポイントです。
祖母の家の庭にはひょうたんが植えられており、乾くのを心待ちにしていた
幼いころを思い出させてくれる、私にはとても思い出深い柄です。
<サイズ>
高さ 約5cm 口径 約10.5cm
小鉢 花形吹雪文
こちらは、無色透明のガラスに吹雪文が浮き出されている小鉢です。
ひらひらとした花びらを形取ったデザインがとても華麗で美しい作品です。
この写真のように背景に濃い色をもってくると、吹雪文が映えて見えるため、
私はわざわざこの食器のために深い色合いのテーブルランナーを買いました!
センターにこの小鉢を置き、ちょっとしたお菓子を盛り付けることもありますし、
短く切ったお花を生けることもあります。
そうすると、急な来客の時でもすぐにおもてなし用のテーブルに早変わりです。
小鉢なので、大きなテーブルだと物足りないのかもしれませんが、
我が家の小さめなダイニングテーブルならば、十分アクセントになります!
<サイズ>
口径 約16.5 高さ 約 7.6cm
小鉢 桜文
こちらは、桜文が中央に表されている大正時代の小鉢です。
文様のぬけが素晴らしく、丁寧に作られたことがわかります。
赤紫の縁取りが艶やかで、口縁部の玉繋ぎ飾りの装飾により、
いっそう華やかな印象を与えてくれます。
また、桜の花から伸びるように浮き出されている細い白線が、
器の中の世界の広がりを感じさせてくれ、とても凝ったデザインです。
桜は菊と並んで日本の国花です。
春に限らず、日本の心を思い出させてくれるそんな作品です。
ショットグラス プレスガラス
こちらは、プレス式でデザインが施されているショットグラスです。
型吹きの製品よりも、プレスガラスの方が大掛かりな設備が必要だそうで、
当時はプレス製品の方がより大きな工場で生産されていたそうです。
この作品は、大正から昭和初期にかけて無職透明なガラスを作るのに
思考錯誤していた時代のもので、ガラス自体が少し黄色味を帯びていますね。
現代の大量生産で作られるガラスよりも、このグラスのように歴史を感じられるような味のある色合い私は大好きです!
手のひらに乗るくらいの大きさで、食後の甘いリキュールなどにぴったりです。
<サイズ>
口径 4.6cm 高さ 5.4cm
剣先コップ
こちらは、大正時代の型吹きの剣先コップです。
剣の先のようなデザインが施されることに由来しています。
ヨーロッパでは、今でも同じようなデザインのコップが レストランなどで水用のコップとして使われていますが、このデザインはヨーロッパから伝わったものです。
そう言われれば、日本の”刀”というより西洋の”剣”の形ですよね、納得です!
この作品のように、下に行くほど細く作られるのが剣先コップの一般的な形です。
シャープでカッコいいですよね。
とても丈夫なので、水やジュース用として日常的に使えるコップです。
<サイズ>
高さ 9.5cm
タンブラー 霞文
氷コップでも少し紹介させていただいたあられ文様のタンブラーです。
あられ文は霞文とも呼ばれており、欧米ではdewdrop(露滴)やhobnail(鋲釘)として親しまれている欧米由来の文様です。
この作品は上にいくほど乳白色のぼかしがはっきり見えるデザインになっており、
湿度の高い霞がかった情景が素晴らしく表現されていますね。
持った時のポツポツ感がなんとも心地よく、水やアイスコーヒー、ビールなど
用途は様々です。
クラシカルなデザインで、テーブルが一気に洋風になる存在感のある食器です。
<サイズ>
口径 7.6cm 高さ10.8cm
リキュールグラス 算玉付き
こちらは、立ち姿がエレガントなリキュールグラスと呼ばれるグラスです。
リキュールグラスは、この作品のように高さ8cm程の小さなものが一般的で、
アルコール度数の高い洋酒を飲むためのコップです。
洋酒を飲む文化の広がりとともに需要が高まったようです。
この作品に見られるようなステムについた突起状のものは
算玉(そろばんの玉)と呼ばれています。これでは薄いピンク色のガラスが使われていて、
シンプルな中の効果的なアクセントとなっています。
とても小さなグラスですが、先日立ち寄ったアンティークのお店では、
このようなリキュールグラスに華奢なネックレスがトップをボウルの外に流す形で
素敵にディスプレイされていました。
短めなステムと算玉がついているので、多少持ちにくく感じますが、
リキュールをいただく際には特に問題になりません。
今夜はこのグラスで何をいただこうかな~
<サイズ>
口径 4.5cm 高さ 8cm
リキュールグラス 花形脚
引き続き可愛らしいリキュールグラスをご紹介します。
こちらはフットがお花の形をした作品で、
おそらくこの部分はプレス技法で形作られたと思われます。
この作品にはボウル部分に装飾は施されていませんが、
リキュールグラスにはボウルは宙吹き、ステムとフットはプレスなど異なる技法を
組み合わせた作品も多く作られています。
また、非常に重いグラスになれば、鉛を含んだ製品かもしれません。
鉛が含まれたグラスはさらに古い時代に作られた可能性が高く、
指で軽く弾くと、金属のような高い音が響きます。
ちなみにこの製品はそんな音がしないので、鉛ガラスではなさそうです。
ライターより少し大きいくらいのサイズですが、
上でご紹介したリキュールグラスに比べ、しっかりしたフットのおかげで
安定感は抜群です。
フットのデザインは様々あるようなので、もっとコレクションしたいな~!