最高峰のヴィンテージミリタリーウォッチ 英国防省「ダーティダース」WWW 一覧
最高峰のヴィンテージミリタリー 英国防省「ダーティダース」WWW 一覧
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ここ最近、ミリタリー時計は非常に人気があり、入手するのが困難になりつつあります。
ダーティダースの全てのブランドを、知っておきたいという質問を多く頂きましたのでダーティーダースの作品を一覧にしてみました。
機能に優れている点、歴史の重みを感じさせる点でこれらの腕時計はコレクターの間で珍重されています。
多くのミリタリー時計は実際の戦争をくぐり抜けてきており、また高い値段にふさわしい、最高の状態にあります。
ダーティーダースの名前の由来
ダーティダースという名称は、1960年代の映画のタイトルで、12人の架空の戦士とその冒険物語に由来しています。
映画に出てくる戦士一人一人がミリタリー時計を着けています。
現実には、映画で戦士が着用している腕時計は防衛省から依頼を受けて生産されたものであり、主に第二次世界大戦期の英国軍の兵士が着けていたものでした。
針、ケースデザイン、サイズ面でよく似た幾つかのバリエーションを除いて、ダーティダースは、その時代しか手に入らないものです。
黒の文字盤に光り輝くアラビア数字と針が特徴です。
風防はアクリルで割れても粉々にならないほど耐久性に優れており、またケースはステンレスでできているのが特徴です。
最初のミリタリーウォッチは一般モデルだった
ひとつの分野に特化した役割を、可能な限り高い精度で果たせるよう設計されたヴィンテージのミリタリー時計。
そのミリタリーウォッチは、機能性を重視したデザインが魅力です。
ミリタリーウォッチは余計なものを加えず、本当に必要なもの以外は全てデザインから排除した、究極の時計です。
第二次世界大戦中、イギリスがスイス製の腕時計を輸入し、”A.T.P. (Army Trade Pattern: 軍貿易パターン)”という名前のもとに支給しました。
この時支給された腕時計のほとんどは大きさが29~33mmほどで、クロムまたはスチール製のケースにシルバーか白の文字盤、夜光塗料はインデックスが使われているものでした。
秒針は時針・分針と同じ位置にあるもの、独立しているもの(スモールセコンド)の2種類が存在し、15石ムーブメントで裏蓋にもスナップ式、スクリューバック式の2種類がありました。
しかし、当時の腕時計は軍事用の文字盤、品番、支給番号が付けられているだけで、本質的には一般用のモデルでした。
したがって、このような腕時計が戦場には適さないと判断したイギリス国防省は、戦場において特別に必要とされる機能を備えた新しい腕時計をつくるため、独自のスペックを設定しました。
イギリス国防軍 ミリタリーウォッチであるダーティダースの誕生
そのスペックは“Wrist(腕)”、“Watch(時計)”、“Waterproof(防水性)”の頭文字をとり“W.W.W.”と名づけられたのですが、このスペックを備えた腕時計を製造したのがスイスにある12のメーカーであったことから、1967年制作の有名な戦争映画のタイトルをとって、一般にはThe Dirty Dozen(ダーティ・ダース)の名で知られるようになりました。
ダーティ・ダースの腕時計は1945年の5月または12月まで支給されなかったため、第二次大戦中に実際に使われることはそれほどありませんでした(第二次世界大戦のヨーロッパ戦勝記念日は1945年5月8日)。
しかし、その数年後も腕時計は世に出回りつづけ、なかには他国軍に支給されるものもありました。
W.W.W.スペックには以下のような決まりがありました。
サイズはリューズを除いて直径35mm~38mmまで。
文字盤は、色が黒でインデックスの周りに夜光塗料を配置し、秒針を独立させること。
11.75~13リーニュ(約26.5~29.3mm)の15石のムーブメント、飛散防止の風防、クロムまたはステンレススチール製のケースを使用すること。
防水で、クロノメーターの認定を受けたものであることもスペック要件に含まれていました。
裏蓋(IWCを除き全てスクリューバック式)には、ブロードアロー(イギリス政府の所有物であることを示すマーク)、“W.W.W.”の文字、メーカー番号、そしてアルファベットで始まる軍事用品店番号の4つが刻印されました。
ダーティ・ダースと呼ばれた12のメーカーは、それぞれ規模も生産能力も異なっていましたが、各メーカーで可能な限りの腕時計を生産し、全体でおよそ15万点の腕時計が支給されました。
これら12のメーカーとは、Buren(ビューレン)、Cyma(シーマ)、Eterna(エテルナ)、Grana(グラナ)、IWC 、Jaeger LeCoultre(ジャガー・ルクルト)、Lemania(レマニア)、Longines(ロンジン)、Omega(オメガ)、Record(レコード)、Timor(ティモール)そしてVertex(バーテックス)です。
Enicar(エニカ)もW.W.W.認定腕時計を製造するために設立されましたが、時計の精度が不十分であったためこのメーカーがダーティ・ダースとして知られることはありませんでした。
W.W.W.の腕時計は「雑用時計」と称されましたが、実際には砲兵や通信士などといった、比較的高い階級の兵士たちの手に渡り、歩兵に支給されることはありませんでした。
どの兵にどのような理由でW.W.W.認定腕時計が支給されたのかに関して、はっきりとした記録はありませんが、いずれにせよこの腕時計が生産される頃には終戦が近づいていました。
ヨーロッパでの対戦が終わりを迎えた1945年以降も世界各地で紛争が続いていたため、ダーティ・ダースの腕時計は番号を振りなおされてイギリスやその他の陸軍に販売されました。
当時、独立を宣言したインドネシア抵抗運動と対立関係にあったオランダも、イギリスからW.W.W.認定腕時計を購入しました。
しかしオランダが手に入れた腕時計のうち、最終的に敵対するインドネシアの手に渡ったものもあり、それらの腕時計からは“K.N.I.L.(Koninklijk Nederlands Indisch Leger: オランダ王立東インド軍)”の刻印が消され、かわりに“A.D.R.I.(Army of the Republic of Indonesia: インドネシア共和国軍)”の文字が刻印されました。
W.W.W.認定腕時計を取り扱う権限は、イギリスの王立電子・機械技術軍団と呼ばれる軍部隊にあり、この部隊には腕時計がきちんと動作しスペック要件を満たしていることを保証する責任がありました。
したがって、スペック要件を満たすため、長い年月をかけて多くの非正規パーツがW.W.W.認定腕時計に使われていくようになります。
元のラジウム文字盤はトリチウムやプロメチウムの代替品と取り替えられ、このため正規メーカーの名前とブロードアローの刻印がありながら、夜光塗料にプロメチウムやラジウムなど異なる材料が使われているものなどが生まれました。
このほか、ブロードアローとダーティ・ダースのメーカーであることを示す5つの数字が刻印されたイギリス国防省の文字盤と、ブロードアローにトリチウムを意味する“T”を丸で囲んだマーク、ストック番号、メーカーコードが刻印されたNATOの文字盤が存在します。
さらに複雑なことに、上記の違い以外にも正当なW.W.W.認定の文字盤であるとみなされるでだろうとされる細かなバリエーションが現在でも新しく見つかることもあり、こういったすべてのことが、コレクター市場をさらに盛り上げることになりました。
ブランドごとに腕時計の生産量が違っていたため、どのブランドの製品かということもその腕時計の価値を決めるうえで重要なポイントとなります。
たとえばオメガ製の場合、35mmステンレススチールケースに由緒正しい30T2ムーブメントが使用されているにもかかわらず、その生産量が25,000点と多かったために現在30万~40万円ほどの価値がつけられてます。
現代の腕時計ファンにはあまり知られていないCyma(シーマ)というブランドの製品も、37mmステンレススチールケースにキャリバー234のムーブメントが使われており、現在の基準で考えても実用的といえるため軍事用品コレクターに好まれそうな名品ですが、こちらも生産量がおよそ20,000点と多く25~40万円の価値がつけられてます。
一方、Grana(グラナ)のモデルは非常に高値で取引されています。
35mmステンレススチールにインハウスのキャリバーKF320が使われたこのブランドのモデルは、1,000~5,000点ほどしか生産されておらず、現在は一点250万円もの価値が付けられています。
「ダーティダース」WWW 一覧
12-Buren(ビューレン)
ビューレーンの魅力
1) 個人的に、ミリタッリーグッズとしての腕時計の価値を減じているようで、Burenのシグネチャーの下にある「グランプリ」の文字が好きになれないから。
2) 知名度があまりないから。
11 - Eterna(エテルナ)
エテルナの魅力
1) VertexやRecordと比較すると、Eternaは収集家のあいだでより価値が高い腕時計ではありまうが、WWWとして、注射器のような針が理想的とは言い難いから。
レコードの魅力
1) 個人的にRecordブランドが好きだから。
2) 「9」の数字の丸い部分が開いているところなど、細かい部分がユニークで11、12位に優っているから。
ティモールの魅力
1) ブランドとしてはそれほど知られていませんが、特にケース部分の形が(下位にランクインしている)他の3つのブランドより優れているから。
8 - Vertex(バーテックス)
バーテックスの魅力
1) 数字の横幅が大きく、文字盤で存在感を放っているから。
2) 「Vertex」のフォントが立体感を醸し出しており、他のブランドと比較すると文字盤におけるバランスが整っているから。
3) 針の軌道の上にスイス製シグネチャーがある点で、他のWWW腕時計と異なっているから。
7 - Omega(オメガ)
オメガの魅力
1) ブランドの知名度という点ではトップ4に入れるべきですが、あまりによく見かけるため私たちは敢えて下位にランキングしました。
2) 文字盤とケースの形状は、もっと改善の余地があるから。
6 - Lemania(レマニア)
レマニアの魅力
1) Lemaniaというブランドに対する個人的な意見ですが、Omegaよりも文字盤のバランスが取れているように思います。Omegaの方がブランドの知名で優っているのでよい勝負です。
2) 円状のベゼルと段々状になっているケース。
3) 時計メーカーというよりは、ムーブメントメーカーであり精度に信頼をもてるから。
5 - Grana(グラナ)
グラナの魅力
1) 円形に並んだ細かな数字が、とても珍しいから。
2) 最も美しいという訳ではないですが、単に好感が持てるのでLemaniaとOmegaより高いランクにしました。
3)何より、ダーティダースの中で生産数が1番少ない事です。
4 - IWC MK X
IWC MK Xの魅力
1) IWCはブランドの知名度が高く、時計業界だけでなく多くの人々にとって馴染みがあるから。
2) マーク11(Mk.XI)が人気があるが10の方も生産数が6000本で非常に少なく希少性が高いから。
3) IWCのシグネチャーのフォームがもっと長く、且つまた注射器のような針でなかったなら上位にランクインしていたでしょう。
ちなみにこちらは後継機のマーク11になります。
10との違いは、航空パイロット用に規格が変わっている事です。
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IWC&ジャガールクルトは最高傑作のミリタリーウォッチ
3 - Cyma(シーマ)
シーマの魅力
シーマの腕時計にはステンレススチールが使用されているため、現在でも保存状態の良いものが多いのです。
また、リューズを除いたケースサイズは直径38mmとダーティ・ダースの中では最大で、現在でも使いやすい点も人気のひとつ。
ラグを含め、長さはおよそ45mmあります。
下記の画像は私が個人的に使用してるシーマのミリタリーを着けてるところの画像です。
2 - Jaeger-LeCoultre(ジャガー・ルクルト)
ジャガー・ルクルトの魅力
ジャガー・ルクルトが作り出したこちらの腕時計は、戦闘用に作られた本当の意味での“実用時計”です。
珍しい商品で、他のメーカーのものに比べなかなか表に出てくることはありません。
どのような天候や環境にも耐えられるよう、特にケース部分が頑丈に作られています。
黒い文字盤が太陽光を最小限に抑え、太字のインデックスに夜光塗料と太い針を使うことで、最大限の読みやすさを実現しています。
1 - Longines Greenlander(ロンジン・グリーンランダー)
ロンジン・グリーンランダーの魅力
1) ロンジンだけが採用しているステップドベゼル。
2) 3社しか採用してないベンツ針(コブラ針、カテドラル針)
3) 非常に知名度の高いブランドの一つであり12.68zのムーブメントも魅力的です。。
4) 歴史的価値があるから(グリーンランドブリティッシュ北方遠征で使用されたものと言われてましたがどうやらそれは違うようです。でもそのヒストリーが面白いから)
まとめ
現在、IWC、Longines(ロンジン)、Bell & Ross(ベルアンドロス)など、多くの腕時計メーカーが当時のものを現代風にアレンジしたミリタリーウォッチを生産しています。
Vertex(バーテックス)は創業者の孫の代までに再び持ち直し、今では当時自社ブランドで生産していたW.W.W.認定腕時計の現代版を販売しています。
しかし、ブランドの大きさにかかわらず当時のW.W.W.認定腕時計に共通する特別な点がひとつあります。
それは、こういった時計はある一つの目的を、『逆境の中でも高い精度で実現するために精密につくられた』という点です。
自分の腕につけながら、この時計がこれまでに行ってきた場所や見てきたものに思いをはせる、そういったことは本物のW.W.W.認定腕時計だからこそできるのではないでしょうか。