機械式時計・手巻き時計 オーデマ ピゲについて
~世界3大時計 その名に恥じぬ 最高級時計ブランド~
オーデマ ピゲはヴァシュロン・コンスタンタン、パテック・フィリップと並んで、世界三大時計と呼ばれています。
時計愛好家の中でも垂涎の時計です。
初心者には全く手が届かない、世界最高峰の時計となっていて、値段も1000万円以上することも決して珍しくはありません。
エントリーモデルでも200万円はくだらない天上時計です。
と、いうのもオーデマ ピゲは創業以来「超精密時計を作る」ことを実践し続けているためなのです。
超精密時計を作るにはマシンに頼り切りではできないため、手作業が加えられている部分も多い、職人気質のブランドでもあります。
そのため年間4000本も満たないため市場に流通することも少なく、大都市の店舗でもないかぎり、日本においても滅多にお目にかかれないブランドにもなっています。
時計愛好家の心をつかんで離さないのは、やはりトゥールビヨン、永久カレンダー、ムーンフェイズといったような複雑機構をほぼすべてのモデルに搭載されているからでしょう。
その作りこまれた世界観に引き込まれるのです。
このクラスの時計になると、その時計を持っていることが大きなステータスを表すことになります。
アーノルド・シュワルツェネッガーやミハエル・シューマッハもオーデマ・ピゲの愛用者で、アーノルド・シュワルツェネッガーは自身が出演したターミネーター3に同作とのコラボを発表し、
シューマッハは同ブランドのアンバサダーも務めています。
一般社会とは一線を画しているからこそ、この世界観が保たれているのです。
オーデマ ピゲは今日も創業一族の手から離れたことがない非常に珍しいブランドとなっていて、他のブランドがスウォッチ、リシュモン、LVMHの傘下になる中で、
どこの傘下にも入ることなく経営が紡がれています。
オーデマ ピゲのマスターピースはなんといってもロイヤル・オークでしょう。
世界初のステンレス製スポーツウォッチコレクションは誕生した1972年に世界中を席巻し、その名を歴史に刻みました。
さて、世界3大時計の名を背負い、常に時代の先を行く時計ブランドの歴史を紐解いてみましょう。
■歴史
1875年、このブランドはやはりスイスはジュラ山脈に位置する、ル・ブラッシュにて始まります。
ジュール=ルイ・オーデマとエドワール=オーギュスト・ピゲは高精度のムーブメント制作会社を協力して設立しました。
そこから次第に自社製時計を作ることを始めたのが、ブランドの草創期になります。
ブランド名は創業者であるジュール=ルイ・「オーデマ」とエドワール=オーギュスト・「ピゲ」からとられています。
これはヴァシュロン・コンスタンタンのジャン=マルク・「ヴァシュロン」とフランソワ・「コンスタンタン」と共通していますね。
1928年に懐中時計の時代から腕時計の時代へとシフトをしている流れに乗り腕時計の製造を始め、
1930年代にはすでにジャンピングアワーやミニッツ・リピーターといった先進技術を開発していきました。
1940年代から1960年代は時代の流れに合わせて、世界中で最も薄い、複雑時計を製作し、人気を博していました。
当時はピアジェなども(ピアジェは今でも複雑機構を有した薄型時計の開発に日夜取り組んでいるブランドのひとつですが)薄型時計を発表しており、
市場でしのぎを削ってブランド名を残してきました。
オーデマ ピゲが掲げている理念として「大胆であれ」というものがあります。
その理念を実現したのが、先にも紹介したロイヤル・オークです。
1972年というと、時計業界にセイコー社が開発したクオーツ機構によるクオーツショックがスイス時計業界全体に大嵐を巻き起こしていた時期です。
そんな中で発表したロイヤル・オークは、今まで貴金属をちりばめていたオーデマ・ピゲ自身も含めた従来の高級時計の概念を覆すものでした。
この時計は、時計デザイナーとして有名なジェラルド・ジェンタ氏がわずか1日の間に
「鋼へのオマージュ、そしてスポーティでラグジュアリー」というものをテーマにデザインを手がけ完成させたといわれています。
こういった形の時計は今ではさほど珍しいものではないかもしれませんが、船の舷窓をモチーフにしたベゼルや、
ケースと一体化したブレスレットも当時としてはきわめて斬新かつ「大胆」なデザインだったのです。
このマスターピースは今でもコレクションの中でナンバー1の人気を保持しています。
■コレクション
1 ロイヤル・オーク
紹介が重複するので、一部省略してご紹介します。
1972年に発表されたこのモデルは現在、オーデマ ピゲを代表する看板モデルです。
8角形のベゼルとケース、ベゼルから裏蓋まで貫通している周り8本のネジが特徴的な時計です。
時計を覚え始めた方が見ると、そのケースに取り付けられているネジからウブロのビッグバンと間違える人もいらっしゃるかもしれません。
ウブロは円形ですが、このロイヤル・オークは8角形になっているので、見分けるのは簡単です。
スポーティ・ラグジュアリーがコンセプトになっているため、そのステンレスでできたケースは頑丈そのものです。
派生モデルとしてクロノグラフ機能を持つ「ロイヤルオーク・クロノグラフ」、クロノグラフ機能を持ち耐磁防水性能をアップさせた「ロイヤルオーク・オフショア」などもロイヤル・オーク同様人気の時計となっています。
価格は並行輸入のもので180万円ほどなので、やはり敷居は少し高めになっているといったところでしょうか。
2 トラディション
1920年代に製造されたコレクションがトラディションです。
オーデマ ピゲが誇る秀逸な懐中時計がモチーフとなっており、そのクラシカルでレトロな形が特徴的なモデルです。
コレクション トラディションは、オーデマ ピゲのコレクションの中でも現在は珍しいシリーズとなっており、2016年現在では発表されていないコレクションとなっているようです。
基本的に一切無駄のない2針でデザインされています。
価格はロイヤル・オークよりも高く250万円はかかるモデルとなっています。
3 ミレネリー
楕円形のケースがミレネリーの特徴となっています。
「1000年」を意味するミレネリーは、1999年に、ローマの古代建築物・コロッセオから着想を得て誕生したコレクションです。
オーデマ ピゲの開発部には日本人時計師・浜口尚大氏がムーブメント設計責任者を勤めたことでも有名です。
このミレネリーはそんな氏の開発した新型自動巻きモデル「ミレネリー4101(Millenary 4101)」が搭載されているものもあります。
ムーブメントを表裏逆に設置し、文字盤の表からもムーブメントを見ることができるようになっています。
なお、氏の手掛ける時計は1000万を超えるモデルばかりです…。
4 ジュール・オーデマ
オーデマ ピゲ創設者のひとり「ジュール=ルイ・オーデマ」の名を冠したモデルが、この『ジュール・オーデマ』です。
オーデマ ピゲを代表するラウンドウォッチコレクションで、美しさと機能性を備えた極上の2針モデルから、オーデマ・ピゲの技術を結集した複雑なコンプリケーションモデルまで幅広く展開しているのが特徴です。
高級時計ブランドらしい貴金属をあしらったモデルが多いのもこのモデルです。
5 クラシック
このコレクションは懐中時計専用のコレクションとなっています。
腕時計の前身は懐中時計です。
そのコレクション名に間違いのない、もっともオールドなスタイルを体現しているコレクションとなっています。
■最後に
オーデマ・ピゲはロレックス同様、中古商品も高値で取引されることの多いブランドです。
中古商品を買う場合は必ず現物を確認し、専門の鑑定士による診断を仰いでから購入されることをお勧めします。
みなさんもぜひ、世界3大時計の世界観をのぞいてみてはいかがでしょう。