機械式時計・手巻き時計 ユリス・ナルダン 23歳の挑戦
ユリス・ナルダンについて2
■ユリス・ナルダンの歴史概略
ユリス・ナルダンは1846年にスイスのジュウ渓谷に位置する、ル・ロックルにて、若干23歳だった
ユリス・ナルダンが自身の名を冠したブランドを創業したのが、始まりです。ユリス・ナルダンのひとつの大きなテーマは「海」です。
荒れ狂う海の波にさらされても、姿勢差をものともせずに、正確に時を刻み続ける時計は、
船乗りたちの絶大な信頼を得ることになります。そして、高精度の世界中の50か国以上の国の海軍の正式時計に採用されました。
ユリス・ナルダンはスイスの高級時計ブランドの中でも、歴史が古いブランドです。
1970年代、セイコー社が開発・発表したクオーツ式腕時計の登場には、ユリス・ナルダンも大きな打撃を受けることになりました。
一時は倒産の危機にまで瀕しましたが、1983年ロルフ・W・シュニーダーが同ブランドを買収すると、
ルードヴィッヒ・エクスリン博士とともに、いわゆる天文三部作を発表し、ブランドの再建に大きく貢献しました。
しかし2011年、30年間あまりにわたり、ユリス・ナルダンを率いてきたロルフ・W・シュニーダーは残念ながらこの世を去りました。
ユリス・ナルダンは今日までに18個の金メダルを含む4,300もの賞を受賞してきています。
デザインもさることながら、積極的に各部品にシリコンやダイヤモンドを応用する技術力の高さは、
業界から「チェンジメーカー」つまり改革者といわれる所以です。
現在、パトリック・P・ホフマンがロルフ・W・シュニーダーの後を継ぎ、ユリス・ナルダンを牽引しています。
2013年には新作「ストレンジャー」を発表し、自社製ムーブメントの独自性をアピール、2014年には定番コレクションの
「デュアルタイム」に完全自社製のムーブメントを搭載するなど、「チェンジメーカー」としての活躍はとどまることを知りません。
■コレクション
コンプリケイテッド タイムピース コレクション
ユリス・ナルダンが今までに受賞してきた実績を象徴するコレクションになっています。
・ フリーク クルーザー…ユリス・ナルダンのブランド性を象徴する時計です。この時計は2001年に発表されました。
なんといっても特徴的なのは、文字盤と針が取り去られ、むき出しになったムーブメントそのものが動くという、
前代未聞の技術開発によって生み出された時計ということです。2層構造になっており、下段が時間を表示し、
シリコン製デュアル・ユリス・エスケープメントを備える上段のブリッジが分を表しています。
アンクルやガンギ車など機械式時計にはなくてはならない部品を捨て去り、
代わりのインパルスホイールという部品が搭載されています。
パワーリザーブも7日間と驚異的な記録を誇ります。
なかでもカルーセル・トゥールビヨンという独自のトゥールビヨンは完全に浮いた状態になっているなど、
他のブランドを圧倒する技術が詰め込まれた傑作です。時刻を表す「針」のかわりになっている部分は錨を模しており、
ユリス・ナルダンが今日までかかわってきた海を感じさせるデザインになっています。
・ソナタ…2003年に発表された、空気力学に基づいてデザインされているコレクションです。
カテドラルゴングを備えたカウントダウン表示付きアラーム機能、
・パーペチュアル カレンダー…ルードヴィッヒ博士が残した極めて現実的なパーペチュアルカレンダーとなっています。
GMT±パーペチュアルという1994年に発表された機能は瞬時にカレンダー表示を変更することができます。
また、機械式時計についてまわるのが、日付表示の変更をする際に時刻に気をつかうということです。
日付が変わる直前のプラスマイナス数時間の間に日付を変えたりすると故障の原因になりかねません。
しかし、このコレクションは誤って日付を進めすぎてしまっても、日付を後退することを前提に作っているので、
その心配はありません。そのため非常に実用的なコレクションとなっています。
エクセプショナル タイムピースコレクション
高級時計中の高級時計のコレクションです。ユリス・ナルダンを象徴する「天文三部作」の時計もこの中に含まれます。
実装される機能には、ミニッツリピーターやトゥールビヨンがついているのはもはや当然といった形です。
特にこのコレクションにおけるミニッツリピーターは非常に独特で、「オートマタ」と呼ばれる、動く人形をつけられています。
つまりからくり人形です。ミニッツリピーターが時刻を知らせるために音を奏でると、
その音に合わせて人形が動く贅沢なつくりになっています。
・ロイヤルブルー…海の色のブルーがこのコレクションのコンセプトのひとつになっています。
フライングトゥールビヨンという、スケルトンの文字盤からのぞくと、宙に浮いているかのような
トゥールビヨン機構が特徴的なデザインになっています。
・ストレンジャー…2013年に発表された新作になります。時刻が変わると、1966年に作られた名曲
「夜のストレンジャー」のメロディを旋盤が回転して、オルゴールをならせます。
2015年にはイギリスの伝説的ロックバンド、クイーンの「伝説のチャンピオン」を奏でるモデルも発表され、
ユリス・ナルダンの驚異的な技術力を物語る作品になっています。
・オートマタシリーズ…「アレキサンダー・ザ・グレート」や「ジンギス・カーン」といったような歴史上の
偉人になぞらえた名前で売り出しているのがオートマタのコレクションです。
ジンギス・カーンなどを文字盤に「からくり人形」としてかたどり、時刻を知らせるミニッツリピーターが作動すると、
それにあわせて人形が動く仕組みになっています。このような特別な時計はまずユリス・ナルダン
以外において見ることはできないでしょう。
・サファリ…文字盤が絵画のようなサファリ。その名のとおり、カラフルな色柄にゾウやワニなど様々な動物が描かれています。
ただ見た目だけではなく、ミニッツリピーターもついている優れものです。
・トリロジーセット リミテッド エディション…これが「天文三部作」の3つの時計になります。
値段も1000万ではとてもきかない、天上時計。時計というよりも、もはや芸術作品としてみたほうがよさそうですね。
マリーン クロノメーター コレクション
ユリス・ナルダンのブランドイメージが最も色濃く受け継がれているコレクションです。
100年以上前からマリン・クロノメーターの雄として、名を馳せてきた同ブランドの傑作が詰まっています。
値段も天上レベルの価格が多いユリス・ナルダンの中でも90万円ほどで手にすることのできる、
このコレクションは一番人気のひとつともいえるでしょう。
マリーン ダイバー コレクション
マリーン クロノメーター コレクションが海洋上を舞台とするならば、こちらは深海が舞台となります。
困難な環境の中でもダイバーに正確な時を伝えることができる時計となっています。また、深海において、
どれだけこれらの時計が動けるかを示す「パワーリザーブ」機能もついているため、安心なコレクションです。
クラシコ コレクション
その時計の仕組み、外観において、特別さを感じさせるものが多い、ユリス・ナルダンですが、
こちらのコレクションは非常に落ち着いたデザインとなっています。
特に、クラシコ・ルナなどは、太陽をイメージしたモデルですが、ケースのふちが太陽の赤い光を模しているのみで、
サファリのような派手なデザインとは全く異なる大人のデザインとなっています。
■最後に
ユリス・ナルダンはコレクションの中で、さらに細かく分別すると、限りないほど、色々な種類の時計を世に送り出しています。
その他のどのブランドよりも、あっと言わされることは間違いないでしょう。なかなか見かけることの
少ない時計ですが、見かけた時は、必ずチェックしてみてください!