クロノグラフとは?クロノグラフ腕時計にあるタキメーターを始め見方や機能の使い方
時計は人類の英知や歴史が詰まった文化遺産であり、芸術品でもありますが何よりも精密計器であることを忘れてはなりません。
この記事では、クロノグラフの使い方と、各部の名称をご説明いたします。
クロノグラフとは1本の中にさまざまな計測機能を凝縮した装置
クロノグラフとはラテン語の「クロノ(時)」と「グラフ(計測)」を合わせた造語です。
クロノグラフは、最も身近な複雑時計であると言えますが、操作方法はいわゆるストップウォッチと同様です。
簡単に分かりやすく言いますと時計の動力源を使ったストップウォッチ機能がついた
腕時計と言うことになります。
それではクロノグラフってのがだいたい分かったところでもっと詳しく見ていきましょう。
スタート→ストップ→リセット(クロノグラフ針と積算計の針を、時間を計る前の状態に戻す)という一連の動作をリューズ上下それぞれのプッシュボタンで行います。
手順を画像も含めて下記で説明します↓
それでは画像も含めて解説します。
2時位置のスタートボタンを押します
↓
2時位置のストップボタンを押します(計測がストップします)
↓
4時位置のリセットボタンを押します
スタートボタンを押すと、上の画像の赤い針が動き出します。
(時計によって針の位置は異なります)
基本的には、スタートボタンを押したら計測が開始され、もう一度スタートボタンを押したら計測がストップします。
そして、リセットボタンを押すと0時位置にリセットされます。
これがストップウォッチ機能になります。
下記は動作してるところの動画になります。
モデルによっては、これら全てが一つのボタン操作で出来る物もあります。(ワンプッシュクロノグラフと言いましてほとんどの場合100年前に作られたアンティーク品になります)
クロノグラフ針は中心軸にセットされており、経過時間はインダイアルに表示されます。インダイアルは、通常は30分と12時間の積算計ですので、停止時に"何時何分何秒"まで読み取ることができます。
文字盤から役割を確認
ここからは実際の時計の文字盤を見ていく方が分かりやすいので下の画像を見ながら解説していきます。01.スタート/ストップボタン
クロノグラフのスタート/ストップ作動ボタンはリューズ上部(12時位置側)にあります。
一押しするとスタート、もう一押しすると停止します。
停止させた状態で、積算時間を確認します。
02.30分積算計
30分までの経過時間を表示する積算計です。メーカーによっては45分積算計もあります。クロノグラフ針1周(1分経過)ごとにひと目盛り進みます。
03.リセットボタン
ストップボタンを押して計測を停止すると、中心軸とそれぞれの積算計に経過時間が表示された状態になります。リューズ下部(6時位置側)にあるリセットボタンを押すと、これら全ての針が一度にリセットされます。
04.クロノグラフ針
時分針と同じ中心軸にセットされています。鋭い先端部を持ち、赤やオレンジなどの配色によって見えやすくしてあります。スタートボタンを押すと同時に動き始め、秒単位までの記録ができます。
05.スモールセコンド
インダイアルで表示される小秒針です。これはクロノグラフ機構とは関係のない通常の秒針で、不要であると言っても差し支えないでしょう。ですが、時計が作動していることを示すために装備するのが原則となっています。例外として、装備されていないモデルもあります。
06.12時間積算計
12時間までの経過時間を表示する積算計です。30分積算計1周(30分経過)ごとに12時間積算計がひと目盛り進みます。通常は9時の位置にありますが、スモールセコンドと30分積算計のみで搭載されていないモデルもあります。
07.回転計算尺
回転可能なベゼルに計算尺がプリントされており、これをダイアル内の数値と合わせることで、飛行(走行)速度の算出や、掛け算・割り算等の計算をすることができます。
ここまでが基本的なクロノグラフ腕時計の使い方と使用用途になります。
ここからの内容は応用編なので、気になる方はそのまま読み進めて行ってください。
ここからはそんなクロノグラフ腕時計の中でも、タキメーターと言う機能がついた時計について解説していきます。
クロノグラフ腕時計のタキメーターの使い方
クロノグラフはただのストップウォッチなので使い方は簡単ですよね。
ではここからは、タキメーターの使い方についての説明に移ります。
クロノグラフ機構タキメーターの使い方
まず、タキメーターの解説をする前にタキメーターの場所を知っておかなくてはいけません。
上記の画像で言うと文字盤の周りにある細かい数字(メーター)がある部分になります。
このようにタキメーターは文字盤の外周を取り囲むメーターだと理解してから
読み進めていきましょう。
タキメーターを使うには少し数学的な計算をしなくてはなりませんが、使い方が理解できればあなたは燃料の消費量も含めて速さや移動距離など多くの種類のものを計測できるようになります。(燃料の消費量を計測するには、特別なルーラースライドタキメーターベゼルが必要です。)
タキメーターというのは、時計のベゼルの周りか、時計の主要な文字盤の外側の縁にある目盛りのことです。
この目盛りは次の公式で構成されています。
タキメーターの目盛りの値=3600(一時間の中に含まれている秒数)÷経過した秒数
この目盛りはあなたに経過時間(用いる単位は秒)を速さ(用いる単位は時間)に変換することを可能にしてくれます。
ほとんどのタキメーターの目盛りは7.2秒から60秒までの経過時間を計測するために用いることができ、その時間の範囲でのみ有効です。
このスピードマスターの目盛りは7.2秒の位置にある、500の目盛りから始まっていることに注意してください。
ですから、あなたが7.2秒よりも短い時間で計測したいときにはタキメーターは役に立ちません。
60秒以上かかるものの速さを計測したい時もタキメーターを用いることはできますが、
少し数学的な計算をする必要があります。
また、タキメーターは正確に分かっている距離を測ることしかできないということを覚えておいてください。
少し数学的な計算をすれば、既定の長さよりも長い、もしくは短い距離を移動する物体の速さを計測することは可能です。
いくつかの場面を想定して、タキメーターでどのように速さや距離を測ることができるかみていきましょう。
タキメーターを使って速度を計る方法
タキメーターを使って正確にある物体の速度を計るために、測定を始める位置と終わる位置の距離を知っておく必要があります。
競走場にいて、その競走場の第1コーナーと第2コーナーの間が1マイル(1.6km)であるとしましょう。
第1コーナーから第2コーナーの距離が分かっているので、あなたは車の平均速度を測定することができます。
車が第1コーナーを通過したらすぐに、あなたのクロノグラフのスタートボタンを押します。
車が第2コーナーに到達したら、測定を止めます。
このクロノグラフによると、車が第1コーナーから第2コーナーに移動するまでに40秒かかっています。
ベゼルの上のタキメーターを見てみると、40秒の目盛りはタキメーターの91の目盛りと直線上にます。
これは、車が第1コーナーから第2コーナーを移動したときの平均速度が時速91マイル(146.45km)であったということを示しています。
タキメーターは、国際的な距離の単位であるキロメートルのような、マイル以外の計測単位を求めるために使用することができます。
例えば、キロメートルの単位を用いて作られた競走場にいるという場合について考えてみましょう。
あなたは第1コーナーから第2コーナーの距離がちょうど1キロメートルだと知っています。
車が第1コーナーを通過したらすぐに、あなたのクロノグラフのスタートボタンを押します。
車が第2コーナーに到達したら、測定を止めます。
クロノグラフによると、車が第1コーナーから第2コーナーまで移動するのに22秒かかっています。
22秒の目盛りはタキメーターの180の目盛りの直線上にあるので、車の第1コーナーから第2コーナーを移動したときの平均速度は時速180キロメートルです。
もしも1マイルもしくは1キロメートル以下の距離で経過時間を計測したいのであれば、平均速度を求めるために少し計算をする必要があります。
車がスタート/フィニッシュラインを通過した時にクロノグラフをスタートし、車が完全に1周したら止めます。
4分の1マイル(400m)を1周するのに、16秒かかったとします。
16秒はタキメーターの225の目盛りの直線上にあります。
しかし、このトラックは4分の1マイル(400m)しかないので、車が1時間で225マイル走ることはできません。
正確な平均速度を求めるために、あなたはトラックが4分の1マイル(400m)しかないということを思い出す必要があります。
そして、225の4分の1である56.25を計算して出します。
すると、車の平均速度が時速56マイル(90km)であると求めることができます。
それでは、60秒以上かかるものを測定したいときにはどうすればよいでしょうか?
タキメーターの目盛りは既に決まっていて、1分までの時間しか測定できないということを覚えておいてください。
しかし、少々数学的な計算をすることで、もっと長い時間での平均速度を計測することができます。
1マイルの競馬のレースを見ていて、優勝した馬の平均速度を知りたいという場合を考えてみましょう。
優勝した馬が、1マイルを94秒で走ったとします。
94秒というのはタキメーターで計測するには長すぎます。
そこで、優勝した馬の速さを2分の1マイルで考えてみましょう。
2分の1マイルを走るのに、馬は47秒かかったと見積もることができます。
(94秒÷2=47秒)
47秒はタキメーターで計測できる範囲で、75の目盛りの直線上にあります。
時速を求めるために、75マイル÷2をすると、37.5マイルという時速を求めることができます。
車や人、馬の速さの他に、ある製品を1時間でいくつ製造できるかということをタキメーターで求めることができます。
例えば、時計の製造会社が1時間でいくつの時計を製造できるかということを知りたい場合には、1つの時計が製造され始めてから完成するまでに何秒かかるかをクロノグラフで測ればよいのです。
製造機械のおかげで、1つの時計を製造するのに55秒しかかかりません。
タキメーターの目盛りを見てみると、55は65の目盛りの直線上にあります。
このことから、時計の製造会社は1時間で65個の時計を製造できるということが分かります。
タキメーターを使って距離を測る方法
物体の速さを求めることに加えて、あなたは移動距離を求めるときにもタキメーターを使うことができます。
移動距離を求めるために、まず移動するときの速さを知る必要があります。
そして、移動する速さは一定でなくてはなりません。
あなたが時速75マイルで高速道路を走っているとしましょう。
クロノグラフの秒針をスタートさせます。
秒針がタキメーターの75の目盛りに達したら、1マイルを移動したことになります。
もう一度確認しますが、タキメーターで距離を求めるためには、測定している間の速度がずっと一定でなくてはなりません。
あなたのクロノグラフのダイアル付の時計の使い方は、それほど難しいものではありません。
そして、クロノグラフの使い方を理解することができれば、あなたは時計のデザインの他にもクロノグラフの機能を有効活用することができます。