バカラ ローハン

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美しい文様が魅力的なバカラのローハンとは?!

 

バカラの数あるシリーズの中でも、人気の高いモデルのひとつとしてローハンがあります。

透明感と重厚さをあわせもつベースメントに、美しい唐草文様が施されたグラスは、ローハン独自の美しさを表出しており、一目見ただけでその完成度の高さを理解する事ができるでしょう。

ちなみに、唐草文様は日本でも呼称であり、唐草という植物はありません。

バカラのローハングラス

この唐草模様の起源は、イスラム美術の睡蓮だと言われておりこの模様もアラベスク文様と言われる場合がほとんどです。

ローハンは、正式にはRohanと表記し、フランスにある町の名前(注1)に由来します。フランス北西部に位置しているこの町は、人口1500人ほどの小さな町で、子爵や公爵を輩出したローハン家の拠点でもあります。

 

バカラのローハンは、とても優れた出来栄えをもつシリーズで、1930年のアールデコ時代にデザイナーのジョルジュ・シュバリエによってデザインされました。

 

アールデコ時代の価値観は、規則的に並ぶ模様の幾何学模様でありこのローハンも、その時代のニーズに合わせて作られたものだと推測できますよね。

ローハン特有の唐草文様(アラベスク文様)

 

ローハンの特徴

 ローハンコレクションを象徴する特徴的な文様は、酸によるエッチング加工(注2)によって描かれています。

まず、松脂とワックスを混合した液をガラス表面に塗り、その上から文様を描いて酸に浸します。

すると、ガラス表面に特有の文様が刻まれて、美しいデザインが表れます。

 

その文様は、優雅で洗練されていて、手で触っても程よいなめらかさがあり、見た目にも優秀であり、高い芸術性を有していると言えるでしょう。

 

文様のひとつひとつは、S型の唐草が描かれて出来ており、それらが繰り返し描かれる事によって美しいデザインのパターンが生み出されています。

これは、透明なままだと分かりにくいのですが、内部にウィスキーなどを注ぐと、注いだ分だけ飲み物の色に染まった文様が浮かび上がって見えるように出来ており、見た目にも楽しい工夫がなされています。

このような仕掛けは、バカラの職人による優れた技巧が表れていると言えるでしょう。

 

古いモデルのローハンは、この文様の彫りが深いのですが、2000年以降の比較的新しいモデルは、彫りが浅く、文様の線も細い点が特徴です。

それぞれどちらが良いかは、好みが分かれるところですが、このような時代ごとの形態の違いに注目する事も、ローハンの楽しみ方のひとつではないでしょうか。

 

ローハンのコレクションには、デキャンター、グラス、シャンパンフルート、ハイボールグラス、タンブラーなどがあります。

 

どれも優れた出来栄えをもっているのですが、特に、ローハンのグラスは、手に持った時の重さ、文様の緻密さと触った時の手触り、ウィスキーなどの飲み物を入れた時の美しさ、底面部の重厚さと文様の軽妙な美しさの対比、など、様々な魅力をもったグラスです。

 

少し距離を置いて眺めているだけでも美しいのですが、一度手に取ってみれば、その完成度の高さがすぐに理解できると共に、優れたグラスとはこういうものか、これがバカラか、という、そこに息づく哲学のようなものを体験する事ができるでしょう。


バカラのローハングラス2

 

バカラのサイン

 

(注1)ローハン:フランス北西部のブルターニュ地方にある小さな村。2018年度の人口は1633人で十年近く同じような水準で推移している。家の数は781件という小規模な村であり、セカンドハウスや別荘が65件、空き家が39件ある。子爵や公爵といった著名な人物を多数輩出したローハン家の拠点でもある。

 

(注2)エッチング加工:ガラスにエッチング加工を施す技術は、1800年代中頃に発達した技術であり、現在でも広く使用されている技法のひとつ。酸、苛性物質、研磨剤などによってガラス表面に文様などを描く技術であり、ガラスが形成された後に加工する方法が一般的。ガラス表面を微量に削り取る事で、荒い表面、フロストガラスのような質感を出す事ができる。